秘 密

    X

 

  バフッ!!!!

  いきなり瑞樹の身体がダイスケの上に被さって来た。

  〃・・お・・・・重いよ〜〜〜!!〃

  ♪ウォン♪

  「アニー・・・離したままだったね・・・」

  2人が遊んでいると思ったのか、アニーが瑞樹の背中に乗り上げていたのだった。

  ダイスケは瑞樹の身体の下から抜け出して、パジャマを整えた。

  「ありがとうね・・アニー」

  〃浅倉さん、僕・・・〃

  「明日もレコーディングがあるから、もう帰った方がいいよ」

  〃だって、このままじゃ・・〃

  「忘れるから!!」

  「さっきも言ったよね、嘘じゃないよ。・・・僕は君のモノにはならない」

  〃貴水さんからあなたを奪います〃

  瑞樹は部屋から出て行った。

  「ごめんね・・・ヒロ・・・」

  足元にじゃれついてきたアニーを抱きしめた。

  「アニー・・・またお留守番させちゃうけどごめんね。もう限界だよ・・・僕、ロスに行くね」

  明日の朝、アベに電話をしてそのままロスに行こうとダイスケは決めた。

  インターネットでロス行きの飛行機の空き状況を調べ、2.3日分の着替えをバッグに詰めてからベッドに横になった。

  起きたらすぐにアベに電話をしよう・・・・。 

  今、この状況でロスに行くなんて言ったら、彼女がどれほど困るか分かっている。 ・・・・・・・・・・それでもアベちゃんなら許してくれるよね。

  「あ・・・6時・・こんな時間に電話したらアベちゃんに殴られるかもしれないなぁ。でも・・・」

  とダイスケが受話器をとろうとした瞬間、電話が鳴った。

  「もしもし・・・」

  『大ちゃん?・・・ごめんね、寝てたでしょ?』

  「ヒロ?・・・ヒロ!?」

  『うん・・・おはよう。』

  「どうして?どうして?」

  『ごめんね〜〜ずっと連絡しなくて。大ちゃんの声聴いたら、オレ作れなくなちゃうからさ・・・

   すっごい我慢していたんだよ。前に1ケ月ぐらい前、ちょっと電話したじゃん・・それからダメダメになっちゃってさ。

   その時に決めたんだ・・・バァ〜〜〜〜って作って、即!日本に帰ろうって。でもさ・・・もうダメ!限界!!』

  「ヒロ・・・僕ね・・・今日・・・」

  『だからね、今日、帰る。もう決めたから』

  「えっ!?帰るって・・・日本に?本当?」

  『決まってるじゃん。でも午後の便だから、着くのは明日の午後になっちゃうけど、待っててね・・大ちゃん』

  「・・・・ヒロ・・・・会いたいよ・・今すぐにでも・・・」

  『大ちゃん、オレだってすっげえ会いたい。抱き締めたいよ、キスしたいよ』

  「僕、成田まで迎えに行くからね」

  『仕事に差し支えなかったら来て良いよ、あ・・・でもアベちゃんに黙って来ちゃダメだよ』

  「分かってるよ。愛してる」

  ・・・・抱えてしまった、小さな【秘密】を、いつかヒロに知られてしまうのだろうか?

      その時、ヒロは怒るんだろうか?

      その時、僕はどうなるんだろう?

      その時、ヒロに嫌われてしまうんだろうか?

      もう二度とヒロに言えないかもしれない・・・

  「愛してる・・・ヒロがいなくなったら僕は死ぬよ」

  『どうしたの?大ちゃん?・・・大丈夫、大丈夫だから。待っててね』

  「ねぇ・・ヒロ。僕、今日一日かけてヒロの部屋のお掃除をするよ、お洗濯もする、冷蔵庫にお水とビールも入れておくからね。」

  『うん・・・ありがとう。』

  「でさ・・今晩、ヒロのベッドで寝ても良い?」

  『もちろん!大ちゃんの香りがベッドに移るくらい、ぐっすり眠ってね。オレの夢も見てよ』

  「・・・・・・・ヒロは優しいね・・・・」

  『大ちゃんだからだよ・・・・好きな人には優しくなれるでしょ?』

  ・・・・僕の【秘密】を知っても、そんなに優しくなれる?・・・・・・・・

  取り留めの無い話をして、やっと2人は電話を切った。

  何をどう、どこまで話しても終わりが無いくらいに思える。

  ・・・ヒロが帰ってくる!ヒロに会える!・・・・・・

  「あ・・アベちゃんに電話!!」

  「もしもし、アベちゃん?お願いがあるんだけど?」

  《何・・・いきなり》

  「ごめんね・・・でも聞いて!ヒロが帰って来るんだよ!」

  《そう・・・良かったじゃない。じゃあ、もうすぐ林さんからこっちにも連絡があるわね。 で?お願いって?・・・嫌な予感がするんだけど》

  「今日、明日、お休みが欲しいんだけど・・・ダメ?今日中にヒロのお部屋を綺麗にしてあげたいの。 明日は成田まで迎えに行きたいの。

   こんな忙しい時期に休みたいなんて、すごい無理を言っているのは承知だけど。ダメ?」

  《まぁたく・・・あんたは新妻なの?・・・・でも、いいわよ》

  「えっ?良いの?」

  《実は、さっき小林さんから〃瑞樹の体調が悪い〃って連絡を貰ったのよ。だからダイスケに連絡をしようとしていた所》

  「ありがとう・・・で、もう一つお願い。暫くアニーを預かってくれる?僕、部屋に戻れないかもしれない」

  《・・・分かったわ。ダイスケ・・・良かったわね。》

  「うん」

  アニーをアベちゃんに預けてから、ヒロの部屋に向かう・・・部屋の鍵は僕の部屋の鍵と一緒にキーホルダーに付けてある。

  ヒロがロスに行ってから締め切ってあった窓を開けて風を通す。

  汚れてはいないけれど、整頓もされていない・・・ヒロらしい部屋だな・・・と、ダイスケは微笑んだ。

  この部屋にいるだけで心が落ち着く・・・今までの焦燥感が嘘のようだ。

  きっとヒロを失ったら・・・もう生きてはいない・・・・・。

  あまり家事を上手くこなせるダイスケではないけれど、ヒロの事を思えば楽しく出来る。

  その夜はヒロのベッドでヒロの香りがするブランケットに包まれて、久し振りに安心して眠った。

 

  ・・・ヒロのマネージャーから午後の3時着の飛行機で帰るとの連絡があったとアベが教えてくれた。

  まだ2時間まえだと言うのに、ダイスケはもう成田に着いていた。

  普段なら思っても見ない事だけど、平日の午後だと言うのに、こんなたくさんの人達が空港を当たり前に利用している

  ・・・その一人、一人に待っている家族や友人や恋人がいるんだよね。

  ・・・僕だけがこの世で一人なのだろうか・・・・?

  ロス便の到着を知らせるボードが動いた。

  手続きや荷物の受け取りなどですぐに出て来る筈が無い事はダイスケも分かっている・・・でも出口を見てしまうのは仕方が無い。

  たくさんの人が一斉に出て来る中で・・・愛する人はこんなにも鮮やかに目に飛び込んでくるのだ・・・

  「ヒロ!!!!」

  『大ちゃん!!』

  走り寄って見詰め合えばもう言葉は何も要らなかった。

  いつもいつも側にいて、いつもいつも笑い合って、いつもいつも支え合ってきた、僕の愛しい人。

  「またまた・・・ハンサムになって・・・」

  『そう?大ちゃんはますます可愛くなったね。』

  《あの・・・お邪魔かもしれませんが・・・私、一度事務所に寄りますが、ヒロは浅倉さんがお持ち帰りになって構いませんよ》

  アベ同様・・・ヒロユキのマネージャーの林もちょっとやそっとの事では動じない女性だった。

  タクシーに乗り、行き先を聞かれた時、何のためらいもなくヒロユキは自分の部屋を告げた。

  程なく・・・ヒロの寝息が聞こえてくる、飛行機でも爆睡していたんだろうに。

  「クスッ・・・ヒロらしい」

  ・・・あぁ・・・ヒロが隣にいる・・・・・・・

  ダイスケは気付くと涙を流していた・・・・。

  『たっだいまぁ〜〜〜〜』

  自分の部屋に入ったヒロユキは部屋の中を見回した。

  『すっごいじゃん・・大ちゃんが家事もこなせるとは思わなかった。綺麗になってるね。ありがとう』

  「家事って言っても掃除機と洗濯機があれば出来るよ、僕にだって・・・」

  ヒロユキはダイスケを抱き締めた。

  『膨れないの・・・気持ちが篭っているって事だよ』

  「ヒロ・・・抱いてくれる?」

  ヒロユキは大きい目を更に大きくして・・・・

  『良いの?』

  「ゴメン・・・疲れているのに・・まるで飢えているみたいだね・・」

  ヒロユキはダイスケの身体を横抱きにして寝室に向かった。

  『シャワーも浴びていないけど・・もう止まらないから・・・』

  「うん・・・・・メチャメチャにしていいから」

  ・・・僕はヒロのモノじゃない・・・

  ・・・ヒロは僕の身体の一部だから・・・

  ・・・離れていたら死んでしまう・・・

 

 

 

  ここでHに行くと思ったでしょ?←誰も思っていねーって!

  今回Hシーンは無くても良いかな?ってか、書けないもん(T_T)

  「心の中」が大事だと思うな〜〜〜?そうかな〜〜〜〜?

                   suika 

 

       

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