秘 密

    W

 

  〃僕は浅倉さんが好きです・・・ずっと憧れていました〃

  キスの後で瑞樹から告白をされた。

  〃浅倉さんは・・・?〃

  「・・・・・・・」

  〃すぐにじゃなくて・・良いです。でも・・・・〃

  「ねぇ・・・このキスは夢の王国の魔法がほんの少し残っていただけ・・・ 明日になったら覚めてしまうから・・・忘れて・・・」

  ダイスケの言葉に瑞樹は何も言わず・・・逆にその黒い瞳でダイスケを捕らえて行く。

 

  数日が経ち、アベから電話が入った。

  《あ・・ダイスケ?明日から瑞樹のレコディーング始めましょう・・そろそろ仕上げないとね》

  「僕・・・行かなきゃダメ?」

  《はぁっ?!何言ってるの?プロデューサーでしょ?曲だけならともかく、瑞樹の事は全部任されているんだから! いい事!絶対、来るのよ!》

  明日・・・明日になったら、瑞樹と顔をあわさなければならない。

  ただのヴォーカリストとプロデューサーとして会おう・・・この感情はやはり違う・・・。

 

  〃浅倉さん!!おはようございます!!〃

  誰よりも早くダイスケを見つけて瑞樹は走り寄って来た。

  「おはよう・・・」

  〃僕、一発で浅倉さんにOKを貰える様に一生懸命何度も聴いて来ました。頑張ります〃

  「そう・・・」

  〃これ、僕の御守りです〃

  そう言って携帯を見せた・・そこにはダイスケが買ってあげたストラップが付けてあった。

  「あまり・・・ココでは見せびらかさない方が良い・・よ・・」

  〃分かっています。僕達だけの秘密ですよね〃

  ・・・・・・・・・・・秘密・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     淋しかったから

     人恋しかったから

     ヒロが側にいないから

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  「ちょっと止めて」

  もう何度も曲の同じ部分で瑞樹の歌入れが止められている。

  「どうして・・・ココのキーがふらつくのかな??」

  「もう一回」

  〃ハイッ・・・〃

  伸びやかな素直な声をしている・・決して下手ではないけれど・・・・

  他の人には分からない微妙なズレがあるらしい。

  「だから違うって言ってるじゃん!!!!」

  ダイスケが珍しく怒鳴り声を上げた。

  回りのスタッフ全員がダイスケの方を見る・・・足元のアルとアニーもダイスケの声で飛び起きた。

  ちょうどアベがスタジオのドアを開けて入って来たところだった。

  《どうしたの?廊下まで聞こえて来たわよ》

  「ごめん・・・少し休もう」

  〃・・・ハイッ・・・〃

  《本当にどうしたの?今まで怒鳴る事なんて無かったのに・・?》

  「彼が悪い訳じゃない。でもどうしても1音違う・・仕方が無い。やり直すよ」

  そう言うとダイスケは機械だらけの自分の聖域に入って行った。

  《まさかとは思うけど、ヒロのキーで作った・・・何て事は無いわよね・・・・・》

  ふと、コーヒーを飲み終えた瑞樹がダイスケがいる部屋に入ろうとしていた。

  《だめよ!そこは・・・・》

  〃大丈夫ですよ、僕は浅倉さんの特別だから〃

  《あなたが特別???》

  その言い方にアベは違和感と不安を覚えた。

  〃浅倉さん・・・・〃

  「この部屋に入って良いって誰が言ったの?」

  瞬間、ダイスケの冷たい声が瑞樹の侵入を拒んだ。

  「アベちゃん!ここには誰も入れるなって、僕、言ったよね?彼によく言い聞かせておいて!」

  バタン!!とドアが閉められた。

  《あぁ・・・ごめんなさい。・・・だからダメだって言ったでしょう。あそこはダイスケの聖域だからね、 誰も入ってはいけないのよ。》

  瑞樹は蒼白になって・・・・足元をただ見つめていた。

  〃すいません・・・ちょっと風に当たってきていいですか?〃

  《ええ・・・》

  スタジオから出る瞬間、瑞樹がポケットから携帯を出すのがチラッっと見えた。

  〃あの・・・アベさん、すいません、瑞樹の事でお話があります。〃

  瑞樹のマネージャーの小林が神妙な顔つきでアベに声をかけてきた。

  長いマネージャー業で嫌な予感を感じたアベだった。

  《じゃあ・・・あちらの部屋で聞きましょうか・・・》

  ダイスケが部屋から出てきた・・・瑞樹がいないのを見て、スタッフに声をかける。

  「瑞樹は?」

  《風に当たって来るって、ちょっと外に・・・あっ・・来ました》

  「瑞樹!オケ作り直したから、ちょっと歌ってみてくれる?」

  擦れ違いざま・・瑞樹がダイスケの手を握ってきた。

  「さっきは怒鳴ってごめんね」

  〃いえ・・僕が下手だから。〃

  ダイスケはその手を振り解けないまま・・・・瑞樹の黒い瞳に捕らえられてしまう自分を感じた。

 

  《そのお話は本当なんですか?》

  〃私も直接、瑞樹に聞いた訳ではありません・・・でもそう言う噂は耳に入ってくるもので。〃

  《でも、事が大きくなる前に、手を施すのが事務所の責任だと思いますね》

  〃おっしゃる通りです・・しかし・・・社長に守られていると言う自負があるようで、私の言う事なんて聞きません。

   ただ・・最近、瑞樹の携帯が頻繁にかかって来ているようです。 浅倉さんやこちらに迷惑がかかってはと思い、アベさんに言うのを決めたのですが・・・〃

  《・・・早く何とかした方が良い様な気がしますよ》

  ダイスケを守る・・・・そう思って一番に頭に浮かんだのは「彼」だった・・・。

 

  「・・フ〜〜〜、今日も疲れたね・・・アニー・・・」

  もう日付けが変わろうかと言うこんな遅くに、やっとアベに部屋まで送って貰った。

  お風呂に入ってから、犬と遊んでいるのがダイスケにとって癒される時間だった・・・・。

  PIN・・・PON・・・

  「誰??こんな遅くに・・・」

  オートロックだから、インタフォンで確認をしなければ中には入れない。

  無視をしても良い様な時間だけれどこの業界にいると時間の感覚もおかしくなってくる。

  「はぃ・・・どちら様ですか?」

  〃・・・浅倉さん・・僕です・・瑞樹です・・・〃

  「瑞樹?!どうしたの?」

  〃・・すいません・・・迷惑なのは分かっています・・でも、どうしてもOKが貰えないのか、理由が分からないんです!〃

  「瑞樹・・・大声を出さないで・・・周りに迷惑だから・・・今、開けるから」

  〃ゴメンナサイ・・ゴメンナサイ・・・〃

  「・・・泣いてるの?瑞樹・・・開けたから、入って来て。***号室」

  暫くすると部屋のインタフォンが鳴らされた。

  ダイスケがドアを開けると、瑞樹が泣きじゃくっていた。

  〃ゴメンナサイ・・・こんな時間に、非常識って分かっています。でも何度、歌っても分からなくて・・・浅倉さんの思うようには、歌えなくて・・悔しくて・・・〃

  「落ち着いて・・・」

  瑞樹の背中に腕を回して部屋に入れる。

  「大丈夫・・君はちゃんと歌えてるよ・・・」

  無意識に瑞樹を抱き締めていた・・・・幼い子供をあやすように髪を撫でながら。

  〃・・・浅倉さん・・僕は貴方が好きです〃

  幼いと思っていた腕が急に大人の力を持ち、ダイスケの身体を床に押し倒した。

  この間とは違う、優しさの欠片もないキスを瑞樹から受ける。

  〃浅倉さん・・・オレ・・・あなたが抱きたい・・オレのモノになって・・・〃

  ・・抱く?君のモノ?・・・・・違うよ!僕は・・・・

  「それは無理だよ・・・僕はヒロのモノだから・・・」

  〃ヒロ・・・貴水さん?そばにいない人なんて忘れて僕だけを見て・・・〃

  今度は優しい、優しいキスを送った。

  瑞樹の手がダイスケのシルクのシャツのボタンを一つ・・一つ・・外していく。

  「ダメ・・・やめて・・瑞樹」

  繰り返される口ずけと、素肌への愛撫がダイスケの抵抗を奪って行った・・・・。

 

 

 

  おう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!\(◎o◎)/!

  大ちゃんが〜〜大ちゃんが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!

  良いんでしょうか?←良いわけないやろ!

  これは・・最後までヤって良いの?

  ってか、ヒロ!!早く出て来い!(−−〆)←書いたのお前だよ・・・

                                  suika

 

      

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