秘 密

   V

 

  ミュージシャンにとっては、いつもならこれから寝ようかと言う朝・・まだ早く。

  ダイスケはスタジオに向かうタクシーの中で後悔していた・・・・。

  Dリゾートに行けるのは嬉しいけれど、瑞樹と2人きりで何を話せば良いんだろう?

  スタジオに迎えに来て貰うように言ったのだって、自分のマンションを教えるほど、彼と馴れ馴れしくしたくないからだった。

  思いを巡らしてみたって答えの出る事じゃない・・・朝の風景の中にそっと自分を置いてみる。

  スタジオに近ずくと、見慣れぬ車が玄関を塞いでいる。

  「何??迷惑だよね・・・」

  仕方が無いので、少し手前でタクシーを降りて歩きかけた時・・・

  〃おはようございます〃

  彼の特権とも言うべき爽やかな笑顔で、瑞樹がその不躾な車から降りて来た。

  「・・早いね・・・まだ約束の時間には早いけど?」

  〃浅倉さんと出かけられるって思ったら嬉しくって、ちょっと早かったですね。すいません〃

  〃用事があるんですよね?僕・・ココで待ってますから済ましてきて下さい〃

  「・・・・もう良いよ。せっかく早く来てくれたんだから行こうか?」

  〃本当に・・・良いんですか?〃

  「スタジオに入っちゃったら、当分出て来ないかもしれないよ?」

  〃あ・・・それは困ります。分かりました!浅倉さんの気が変わらないうちに・・行きましょう〃

  瑞樹は当たり前のように助手席に回って来て、ドアを開けてダイスケを座らせる

  ・・・・ヒロもいつもこうしてくれたっけ・・・・・・・

  ダイスケが稀有していた割には、会話は弾んだ。この、2人だけの空間も決して重苦しくない。

  自分よりずっと若い瑞樹の方が話し上手なのだとダイスケは思った。

  ・・・僕はどうしてこんなに彼を警戒していたんだろう??・・・・・

  Dリゾートに着くや、また瑞樹の違う一面に驚かされた。

  〃うわ〜〜〜ミッキーだ!うわ〜〜ドナルドだ!うわ〜〜うわ〜〜〃

  文字通りの子供の顔で場内を走り回っている・・

  スタッフの間では、Dリゾート内でのダイスケのはしゃぎ振りにかなう者はいない・・とまで言われている。

  そのダイスケが瑞樹を見て驚くのだから・・・・。

  〃次はどこに行きます〜〜?〃

  顔を紅潮させて次のアトラクションを探す瑞樹をダイスケは可愛いと思った。

  「この時間だと****かな?」

  〃浅倉さんってやっぱ凄いです!どのアトラクションが空く時間とか始まる時間とか覚えているんだから〜〜〃

  片手にプーさんの人形を抱えてまた走り出した。

 

  お店に入った時に、瑞樹があるストラップを見つめていた・・。

  「どうし・・あぁ・・・コレ」

  〃コレ・・凄く可愛いと欲しいなぁて、思って。でも見た事あるな・・・ って浅倉さんの携帯に付いているのだから見た事あって当然ですよね〃

  「・・・欲しいの?」

  〃いえっ・・・可愛いけど、同じ物を付ける訳には行きませんから。あ・・・こっちのも可愛いですよね〃

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  最後の花火まで見て・・Dリゾートを後にした・・・。

  〃今日は本当に本当に楽しかったです!ありがとうございました〃

  「こっちこそ、とても楽しかったよ。でもあそこで僕より早く移動する人を見たのは初めてだよ。 いつもみんなにあきれられてるけど・・・その気持ちちょっとだけ分かった」

  〃・・・スイマセン・・田舎者だから・・〃

  「ううん・・・新鮮だなぁって。」

  例えれば・・・この無邪気ではにかんだような笑顔と瞳の少年に弟の様な気持ちを抱いただけなのだとダイスケは思った。

  〃良かった・・・今、笑ってくれましたよね?良かった・・・〃

  いつも彼を見つめてしまう自分の顔は・・瑞樹には怒ったように見えていたのだろうか?

  「僕のマンションまで送っててくれる?」

  〃スタジオじゃなくて良いんですか?〃

  「この時間から仕事する気にはならないよ。」

  〃はいっ。〃

  マンションの前で車を止めると、瑞樹は先に降りて助手席のドアを開けた。

  「ありがとう・・・これ・・貰ってくれる?」

  ポケットからダイスケがDリゾートの包装紙に包まれた物を瑞樹に渡した。

  〃・・えっ?僕に?・・でも今日、チケット代とか食事とか・・全部、浅倉さんが出してくださったし〃

  「当たり前じゃない・・・15も下の君に奢ってもらう訳には行かないでしょ・・」

  その受け取った包みを開けると、瑞樹が欲しがっていたダイスケとお揃いになってしまうストラップだった。

  〃うわ・・・良いんですか〜〜でも・・でも・・うわ〜〜どうしよう〃 

  「僕は別にお揃いになっても構わないよ・・・だってファンの子だって一杯付けてるし。 君が気に入ったのなら・・・嫌でなければ・・・貰ってくれると嬉しいな」

  〃ありがとうごいます〃

  「じゃあ・・・次はレコーディングだから。厳しいよ・・・覚悟してね」

  ダイスケがマンションのエントランスに入ろうとした瞬間、瑞樹に抱き締められた。

  そして・・・キスをされた・・・決して上手くはないキス・・・

  ・・・ヒロのように甘くは無いキス・・・・

  ・・・ヒロ・・・・

  ヒロを思いながら、でもダイスケの手は瑞樹の背中に回されて、もっと深い口ずけを自分から求めた。

  それは・・・・・ダイスケがヒロユキに【秘密】を持った瞬間。

 

 

 

 

  おう〜〜〜大ちゃんがヒロ以外の人とチュウをしてしまいました・・・(^_^;

  私は別にチュウくらいなら、「浮気」とは思いませんがねぇ・・。

  でも、大ちゃんはヒロ以外とチュウしちゃダメ。←勝手だわ。

                                suika

 

      

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