この作品は、1日1回更新されていたものです。
1ヶ月以上の連載でした。。
ほのぼのサイトには似つかわしくない作品ですので
覚悟の上でお読みいただければ幸いです(苦笑)

『こんなヒロも、たまにはいじゃないさ』 by suika





















蒼の睡蓮(前編)  








「あぁ・・・やだ・・やだ・・・・」

ヒロユキの雄を埋め込まれながらダイスケは痩躯を捩った

瞳からは涙が・・・

唇の端からは涎が・・・

とめどなく流れ、それさえもヒロユキの欲情を駆り立てる

「やだ・・なんて思ってないよね」

ダイスケの深い部分を抉り取るように激しい抽挿を繰り返しながらヒロユキが問い掛けた

「いやぁ!・・・動かさないで!」

白い無機質な部屋の壁にダイスケの抗う声が吸い込まれた



『振り向かない貴方を独り占めしたくて この部屋に閉じ込めた』



1



「よろしくお願いします。君となら良い音楽が作れる気がします」

ゆったりしたジャケットの袖口から細い手がヒロユキに差し出された

「あっ・・・こちらこそ、よろしくお願いします」

てらいなく向けられるダイスケの笑顔が眩しくて思わずヒロユキは下を向いた

何を話したとか覚えていない

ただ、ダイスケの肌の白さだけが脳裏に焼き付いた

ヒロユキは初めて会った時からダイスケの顔をまともに見ていない

瞳がぶつかると己の心が全てさらけ出されるような気がして・・・




『貴方の瞳に見えているオレはどんな顔をしているんだろう』



2


一緒に仕事をしているといろいろな事が分かり始める

ダイスケは可愛い外見には似ず仕事も言動も男らしく、自分よりは遥かに大人なんだとヒロユキは思った

若いのに誰にも左右されない強さを羨ましくも感じた

尊敬と嫉妬・・・

様々な想いがダイスケに向かうのにそう時間はかからない


「ヒロ、歌詞書けそう?」

一枚のアルバム全ての歌詞を書けと言われヒロユキは内心焦っていた

「うん・・・大丈夫だと思う・・・かな・・・」

「かなり弱気だね」

苦笑しながらダイスケの手がヒロユキの肩に何気に置かれる

それだけの行為がヒロユキの血を熱くさせた




『貴方が触れる全てに嫉妬する、この思いを静められない』



3


モゾモゾと動く気配にヒロユキは目覚めた

身体を起こすと隣りで横たわるダイスケが身体をビクッと震わせる

時間を忘れるくらいの凌辱の痕が痛々しい

「どうしたの?大ちゃん」

ヒロユキは優しく囁いた

過激な行動を取ってしまったものの初めからダイスケを苛めたいわけではない

ダイスケは返事をするのも億劫なのか抵抗なのか、横を向いたままヒロユキを見ようともしなかった

それでも、生理的欲求には逆らえない

「・・・行きたい」

「んっ?」

「トイレ行きたい」

「あぁ・・・ごめんね」

ヒロユキは立上がりスウェットの下だけを穿くとダイスケを抱き上げた

「そんな事してくれなくていいから・・・これ解いて」

ダイスケは悲しげに縄でキツく結わえられている両の手を差し出した



『貴方を繋ぎとめておけるなら命さえいらない』




4


「ヒロ・・・解いて。お願いだから」

両手を縛られていては己で用を足せず

嫌悪しながらもヒロユキの手を借りたダイスケは懇願した

「恥ずかしかったんだね・・・気にしないで。大ちゃんには何でもしてあげるから」

ヒロユキは冷蔵庫から冷えた飲料水を取り出して来た

「喉乾いたよね・・・はいっ」

目の前に置かれたソレにダイスケの喉が唾液を流し込む

艶を帯びた嬌声はダイスケの喉から湿り気を奪っていた

震える手で掴んでも固いキャップを捻る事すらままならない苛立ちにダイスケは叫んだ

「もうやだよ!許して・・・ヒロ、許して!」

「大ちゃん、どうしちゃったの?オレに甘えれば良いのに・・・

その唇で言って・・・゛飲ませて下さい゛って」

「そんな事・・・言いたくない!」

「そうなの、じゃあオレが飲むよ」

勢いよくキャップを捻りヒロユキは喉に流し込んだ

「あ・・・」

ダイスケは観念して震える声で告げた

「飲ませて・・下さい」



『貴方を手に入れる為ならモラルは関係ない』



5



ヒロユキは目を細めダイスケの腰を引き寄せると強引に唇を重ねた

抗う間もなくダイスケの口腔に冷たさが広がり、それを貪り飲み下す

ヒロユキは口づけをやめようとはしなかった

「あふっ・・・」

息苦しさにダイスケは顔を背けた

しかし、その目は水滴が浮き上がったボトルを探す


「欲しかったら、もっとねだって」

ヒロユキは水を多めに含みわざと唇の端から滴らせた

ダイスケは吸い寄せられるようにヒロユキに腰を押しつけ耳元で囁く

「いっぱい欲しい・・・」

自らヒロユキの唇に唇を重ね口腔を満たす

そっと・・・長い指が悪戯にダイスケの背中を滑り秘部へと滑ってゆく




『貴方にオレをもっともっと刻みこみたい』



6


「ヒロの彼女ってどんな子?」

レコーディングの合間の休憩時間にダイスケがヒロユキに問い掛けた

「彼女・・・?あぁ、それなりに可愛いかな。何で?」

「ヒロの話の中によく゛彼女゛が出てくるからさ・・・どんな子かなって」

世間の男なんてそんなモンだろうとヒロユキは思う

それよりもダイスケが気にしているのはオレなのか・・・彼女なのか・・・

ヒロユキはダイスケの真意が掴めなかった


「大ちゃんの彼女はどんな感じ? やっぱり音楽とかやったりしてるのかな?」

「ん〜前はいたけど。今のこの状況じゃ作れないよ」

「確かに」

「アルバム出すまで彼女と遊べないけどごめんね」

「大丈夫」

ヒロユキもすでに数か月彼女と会ってはいない

忙しいを理由にしてはいるが

本当は・・・




『貴方の存在がすべてを消し去ってしまう』



7


「もう電話しないってこの間言ったよね?!なのにどうしてかけてくるのさ!!」

ヒロユキが事務所に入ると奥からダイスケの声が聞こえた

彼には珍しく、怒りを含んだ強い口調だ

好奇心旺盛な女性マネージャーも知らぬ顔で書類に目を落としている・・・


「大ちゃんが怒るなんて珍しいね」

「あぁ・・・あれは私用電話だからね、あれがダイスケの素かもよ。ヒロも気をつけなさい」

優しげに見えているダイスケから激しい情をヒロユキは嗅ぎ取った




『貴方の心の中にオレは入っていけるのかな?』



8


「ヒロには関係ない」

始めダイスケから何を言われたのかヒロユキはすぐに理解出来なかった

・・・関係ない

確かにタダの仕事仲間でしかない自分にはダイスケの私生活に口を挟む事など許されないのかもしれない



「なぁに!その顔?」

マネージャーがダイスケの顔を見るなり叫んだ

ヒロユキも振り向いてわが目を疑った

ダイスケの左頬が少し腫れているように見えた

「殴られた」

「はあぁ!誰に?・・・まっ、誰でも良いけど顔だけは止めてって言えない訳??」

マネージャーはそれ以上深くは言わなかった

でも、ヒロユキも知っていた

ダイスケが不特定多数の人と付き合っている事を・・・

「別れるって言ったらいきなりだよ」

自分の思い通りにならないのが不思議なようにダイスケは呟いた

「大ちゃん・・・無茶しちゃダメだよ」

ヒロユキは優しく諭す

「ヒロには関係ない」

・・・2人の空気が止まる



『貴方のその言葉がオレの何かを狂わせた』



9


今まで生きて来て、誰かを束縛したいなんて思った事がなかった


初めて訪れた部屋で貴方は何も疑わずにアルコールを口にした

あまり強くないのだとトロンとした瞳ですぐに分かる

「大ちゃん・・・付き合っている奴らとは別れなよ」

「な・・・?!」

「顔を殴るなんて最低だろ」

ダイスケはフンッと鼻で笑った

「ボクが誰と付き合おうとヒロに関係ないじゃん

ボクの顔に付いた青痣が目障りなら見なきゃいいんだ」

強気な言葉とは裏腹に語尾が震えている

それを隠す為にまた酒をあおった

「一人だけと付き合っているなら何も言わないけど」

言いながらヒロユキも心の中で嘲笑う

・・・偉そうに言えるのか?



『貴方へ向かうこのドス黒い感情が溢れ出しそうだ』



10


「何かおかしい・・・少し眠って良い?」


ダイスケはそんなに飲んだだろうかと首を振りながら正気を取り戻そうとしたが

どうしようもなく眠気が襲う

「良いよ、遠慮しないで。ベッド貸そうか?」

「うぅん・・・大丈夫・・・」


意識無く崩れ落ちるダイスケをヒロユキは静かに見つめ

「大ちゃん・・・ごめん」

目を閉じる瞬間

聞こえたヒロユキの優しい声はダイスケの身体に染み入った



『貴方を抱き締めながら一緒に墜ちたい』



11


クッションに凭れかかり眠るダイスケの身体をヒロユキは背中から抱き締め

健やかな寝息と規則的に上下する胸元を確かめた

蜜色の髪も

閉じられた瞳を縁取る睫毛も

薄い唇も

華奢な肩も

すべてが愛しくて・・

すべてがもどかしい・・

ダイスケに出会わなかったら自分はこんなにも感情に支配される人間だとは気付かなかっただろう

今、この感情に素直になりたい

「大ちゃん、オレのモノになって・・・」

言いながらダイスケが着ている白いシャツのボタンを外し、露になった胸元に唇を押し当てる


抗うことのない脚からジーンズと下着を引き抜くとダイスケは生まれたままの姿になった

ヒロユキはためらいがちにダイスケの両手首をそっと縛りつける




『貴方の瞳にもう誰も映さないで欲しい』




12


「アベちゃん・・・話があるんだけど」


普段からふざけた会話しかしないヒロユキのいつにない真面目な顔にアベも茶化すのをやめた

「何?」

「大ちゃんがどういう奴等と付き合ってるのか・・・知ってるんだよね」

言葉に乗せるのも忌々しい気がする

「それは・・・私達が口を挟む問題じゃないし、ダイスケ自身が求めているんだから仕方ないわ」

・・・仕事さえちゃんとしてくれたら・・・

後に続けられる言葉に力は無い

「大ちゃんと2人きりで話す時間が欲しい。一日でも半日でもいいから」

最近のスケジュールにそんな隙間が無いのはヒロユキも分かっていた

分かっていてアベに頼むしかない

「話してどうする気? ダイスケがどうなればヒロは満足なの?」


カッコつけは柄じゃないけれど、こんな瞬間にしか言えない言葉もある


「彼を愛しているんだ」




『そう貴方に素直に言えれば傷つかずにすむのだろう』



13


「もっと、下さい」

おねだりを口にする事に抵抗がなくなったダイスケが開けた

小さな唇から覗くピンクの舌にヒロユキはプリンをそっと乗せる

ダイスケは美味しそうに舌で絡めとり喉を震わせ飲み込んだ

その仕草が艶めいて見え、ヒロユキの性欲を刺激する

いきなり、ダイスケの顎を引き寄せ乱暴に口づけしてまだ甘さが残るダイスケの口腔を味わう

「んふ・・・っ」

息をするタイミングさえ忘れたように喘ぎながらヒロユキの口づけを受け入れていく

「美味しい?」

「美味しい・・・です」

「もっと欲しい?」

コクンと頷いた

「ちゃんと言葉にしようよ・・・どっちが欲しいの?」

ヒロユキが少し怖い顔をして見せるとダイスケの瞳に涙が滲む

「・・・キスして下さい」



『貴方の涙の一粒さえオレのモノだから』



14


ダイスケが目覚めるまでヒロユキは酒を飲みながら待った

抵抗出来ない身体を弄ぶのは趣味ではない

ベッドに横たえ僅かに下半身を羽根布団で覆ってはいるが、その白く小柄な裸体はヒロユキの手中にある

さきほど自分がつけたキスマークが朱色の点となりダイスケの胸元を彩っている

その可憐さと壊れそうな儚さと、同時にこの肌に触れただろう見た事もない誰かの影に怯える


ガタン!

一気に酒を煽り空になったグラスをガラスのテーブルに叩き付けた

ヒロユキは己の中の嫉妬と言うやっかいなモノと闘い始めていた




『貴方の肌に刻みこまれた全てを消し去りたい』


15


「愛してる・・・ってダイスケに言う気なの?」

アベが静かに問い掛けた

「それは・・・」

言ってどうなるものじゃない

そんな事はヒロユキ自身が一番分かっていた

「オレの言葉なんか聞いてくれないかもしれないけど、このまま大ちゃんが傷つくのを見ている訳にいかないよ」

「そうね。ヒロにならダイスケを変えられるかもしれない。でも、何日もは無理」

提示された日にちをヒロユキは承諾した

その日のうちに友人名義でウィークリーマンションを借り、ダイスケをその部屋に誘った


2人と連絡がとれないとアベが気付いたのは次の朝だった




『貴方の為なら裏切りなんか怖くない』



16



もう、朝も夜もない

テレビもラジオも時を刻む音すらない

外の世界と遮断されたこの空間で2人だけ


うっすらと目を開けたダイスケは自分が置かれている状況に気付いた


「何??何これ?冗談ならやめようよ」

ベッドに横たわったまま、縛られた両の手を捻ったりしてもがく


「冗談じゃないよ・・・」

ヒロユキはベッドに上がりダイスケに近寄った

「ふざけるな!」

大きな声で抗うダイスケの腕をヒロユキは掴んだ

「オレの本気・・・わからせてやるよ」




『貴方の怯えた表情がオレを獣に変えてゆく』



17


「殴りたかったら殴れよ!ボクは誰からの指図も受けない」

ダイスケがキツくヒロユキを睨んだ

その視線を受け止め、尚もヒロユキはダイスケに近付く

「暴力は好きじゃない・・・ただ、乱暴にはするけどね」

「なに・・・言って・・・んぅ」

ダイスケの強がりはヒロユキの唇に吸い込まれた

抵抗してみるものの縛られていてはヒロユキの動きを妨げれられない

ダイスケの首筋から胸元に手を這わせ

途中、ひっかかるピンクの突起をゆっくり撫ぜた

「はぁ・・・」

一瞬、ダイスケの表情が快感に耐えているのにヒロユキは気付いた



『貴方の感じる場所を全て探し当てたい』



18


「オレ・・・男抱くのは初めてだから酷くしたらごめんね」

そんなヒロユキの言葉にもダイスケは睨み付けたままだ

「睨んでも、やめないよ」

普段聴かないヒロユキの声色にダイスケの肩が少しだけ震えた

「どうして・・・こんな事するの? 意味わからないよ。ボクがヒロに何した?」

ダイスケは自分の身に起こっている事の理由を知りたがった


ダイスケと出会ってから起こった数々の出来ごともこんな酷い事をする理由にはならない

もし、無理やり答えを出すならば

それは・・・嫉妬だろう

「理由なんてない」

ヒロユキは怯えるダイスケを抱き締めベッドに組み伏せた




『貴方への醜い嫉妬は見ない振りをした』


19


たやすく手に入る女達とは違う

焦がれて求めて力づくで手に入れた身体を抱き締めヒロユキは泣きたくなった

大切にしたい・・・でも、平静ではいられなくて

ダイスケの白くて薄い胸の飾りはヒロユキの唾液で濡れ、指先で軽く触れただけで痛みを感じるほど紅く熟れていた

それでも、執拗な愛撫をヒロユキはやめなかった

「もう・・・やめ・・・て・・・痛い」

「やめていいの?」

ヒロユキは指先の動きを止めた

「・・・」

「言いたくないんだ」

ヒロユキはフッと笑いながら、いきなりダイスケの雄を握り締めた

「ひぃ!やあ・・・」

ダイスケの腰が跳ね上がる

固く瞑ったダイスケの目尻から涙が一筋流れた




『貴方が愛しいほど苛めてしまう』


20

*****後編へ続く
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