X- side HD

 


テラスに出ると 外はもう真っ暗で、微かに星も見えていた・・・・・・が、二人に星を見上げる心の余裕はない。
『ごめんね・・・・・アベちゃんが言ったこと気にしないでいいから・・・・』
テラスの手すりにもたれ掛かるように、ダイスケを見ていたヒロは微笑みながら言う。
『うん・・・・・アベちゃんさぁ、大ちゃんが心配なんだよ。 最高のマネージャーだね』
『・・・・その上、うちの事務所の社長』
『あ!そうだった・・・・』
二人で手すりにもたれて、クスクス笑う。 
『ねぇ、大ちゃん、俺のこと好き?』
ヒロの突然の言葉にダイスケから笑顔が消えた。 その顔をみれば答えは聞かなくてもわかる。
『俺はね〜大ちゃんが好きだよ・・・・・・・・・大ちゃんの “好き” とは少し違うと思うけど』
『そう・・・だね』
ダイスケは俯いたまま自嘲気味に言葉を紡ぐ。
『僕が変なんだから・・・・・・これは僕の問題だからヒロには迷惑かけ・・・』
『大ちゃん』
真剣な声に顔を上げると、すぐそばにヒロの顔があって、びっくりして横にずれようとしたダイスケの両脇は、すでにヒロの腕で遮られていた。
手すりに両手を掛けてダイスケの逃げ道を塞いだヒロは そのまま素早くダイスケの唇にキスを落とした。 羽のように軽いキス。 
吃驚してヒロを見上げているダイスケの耳元に口を寄せて囁く。
『・・・・こんなこと出来るくらい大ちゃんが好きだよ。』
不安いっぱいのダイスケの瞳をまっすぐに見て、これ以上はないくらい優しい声でヒロは言葉を続けた。
『でもね・・・・・恋愛感情ではないと思うんだ・・・。 やっぱり俺は女の子が好きだし、大ちゃんと・・・・・その・・・・
・・・・したい・・・・・とは思わないしね。 でも好きなのは確かなんだ。 わかってくれる?』
実をいえば 頭が混乱してよくわかっていないダイスケだったが この状況では頷くしかない。
『わかってる。 人の・・・・気持ちってどうにかできるものではないし・・・・でも、アクセスはやりたいんだよね?』
縋るようなダイスケの声に、ヒロは咽の奥で笑う。
『だ〜か〜ら〜! やりたいからやるんだってば! 大ちゃん、いろいろ考えすぎだよ』
ヒロの笑い声にダイスケもホッとして微笑んだ。
『だぁって、ヒロが急に変なことするから、なんか・・・・こう・・・・』
『キス? 嫌だった?』
『嫌って・・・・いうか・・・・』
覗き込むように見るヒロから、ダイスケはすっと視線をそらせる。
『あ、嫌じゃなかったんだ?! そっか、そっかぁ〜・・・』
満足気に頷きながら何事かを企んでるようなヒロにダイスケが慌てる。
『そっかぁじゃないよ! す、好きでもないのにあんなことしちゃいけないんだって!』
『あっれぇ? さっき好きだって俺言わなかった〜?』
『あ・・・・いや、言ったけどぉ・・・・でも、意味が・・・・違うって・・・・・』
『うん、うん、どういう意味?』
にやにやしているヒロを見て、やっとからかわれていることに気づく。
『もお、いい! アクセスやるのやめる!』
スタスタ歩き出したダイスケの後ろ姿にヒロが叫ぶ。
『だぁいちゃ〜ん! 愛してるよ〜!』
その声の大きさにびっくりして、思わずあたりを見回したダイスケにヒロが追いついて、肩を抱いた。
『ヒロ、あのねぇ〜』
抗議しようとするダイスケの頬にキスをして黙らせる。
『アクセス、頑張ろうね!』
その笑顔に もう何も言えなくてダイスケはヒロの腰に腕をまわすと飛び切りの笑顔を返した。
『うん! 頑張ろ!』
 
一度も見上げてもらえなかった星達の下で、二人はA*Sへの新たな道を歩みだそうとしていた。
 
 
 
 
-----end-----
 
 
 
初めて書いた小説です。 私にはいとおしい作品です。
時間や設定やらはいい加減ですので悪しからず(^_^;
                        流花

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