誓い
『ねぇ・・・大ちゃん・・』
2人でいても、特に何もする事も無く音楽を聴いていた休日、ふいにヒロユキが話し出した。
「なに?」
『例えばさ・・・目と耳、どちらかの機能が無くなるとしたら、どちらを残したい?』
「・・・いきなりどうしたの?・・・」
『ちょっと思いついたから。どちらも困るけど、もし・・もし・・そうなったらどっち?』
「う〜〜ん、そうだね」
「ヒロはどっちなの?」
『オレはね・・・目かな。見えていたらどうにかなる、って気がするし』
「野生のカンで生きているヒロらしいよね」
『それにさ・・・・』
ヒロユキの腕がダイスケを優しく背中から抱き締める。
『大ちゃんの可愛い顔が見られなくなったら淋しいじゃない』
「ばぁか・・・何言ってんの・・」
胸に回されているヒロユキの腕を照れ隠しにポンッと叩いた。
『で?大ちゃんは?』
「僕は耳かな・・」
『あぁ・・やっぱりね。大ちゃんは音が無いと生きていけないもんね』
「それもあるけど・・・」
ダイスケはヒロユキの方に身体を向けて、キスをした。
「ヒロの声が聴けなくなったら淋しいから。ヒロが僕の生きる目印だから・・・」
『大ちゃん・・・』
ヒロユキのありったけの・・愛しさ・・・を込めてダイスケを抱きしめる。
『でもオレの顔を見られなくなるよ?』
ダイスケはヒロユキが映りこんでいる瞳を閉じた。
「こうやって・・・」
ヒロユキの顔を白く細い指が撫ぜてゆく・・・。
「ココが目でしょ・・・」
「ココが鼻でしょ・・・」
一つ、一つ確かめるように指をずらす。
「ココが唇だよね・・・あ・・・」
『目、開けないで・・大ちゃん」
ダイスケの指にヒロユキは口ずけをした・・・
その白く細い指に自分の指を絡めて、何度も口ずける。
「ヒロ・・・ん・・離して・・」
『オレ達、2人で1人で良いよね?
オレが大ちゃんを見ているから、大ちゃんはオレだけの声を聴いていて・・・』
「うん」
『大ちゃん・・まだ目、開けちゃダメだよ』
ヒロユキはダイスケの指を口に含んだ。
「だぁめ・・ヒロ・・」
ダイスケはくすぐったそうに笑う。
軽く舌を這わせるだけの愛撫が・・・強くなってゆく
指の間まで舐めねぶられて・・・
「・・いやだ・・・もうやめて・・ヒロ・・」
ダイスケの吐息も次第に快感の色を帯び、目を閉ざしたままの顔が紅色に染められてゆく。
『大ちゃん・・オレしか見なくて良いから・・他の誰も見ないでくれる?その為にあなたの目を潰して良い?』
愛しさと同じくらいの二人を繋いでいる絆の儚さにヒロユキは心が震える・・・。
「・・・・良いよ。今、ココで潰して。それでヒロが救われるなら」
閉じられた瞼から流れる涙が、この愛は永遠なのだと教えてくれる。
『変な事言ってゴメンネ・・・オレを見て・・・』
開かれたダイスケの瞳に自分の姿を見つけて、ヒロユキは安心する。
「ヒロが誰かの為に歌ったら・・・・すぐに喉を潰すよ・・・・良い?殺すかもしれない・・それでも良い?」
『良いよ。』
「ヒロがいなくなったら僕も生きていないって知ってて言ってるの?」
『うん・・・・オレずるいもん』
「本当にずるいよね・・この男は・・・」
言葉にならないうちにヒロユキの首に腕を絡めてダイスケから口ずけを強請る。
『そんな仕草して・・・大ちゃんの方がずるいかもしんない』
今・・この瞬間にお互いの存在を確かめる為に、肌を重ねて温もりを分けあう・・
いつか来る別れが一日でも先になればいいと願いながら。
*****END*****
何?どうした?私・・・(ーー;)
初めは明るいお話を書いていた筈なのに・・・???
こんなに暗くなるなんて?????
人は幸せ過ぎると逆の事を考えてしまうらしい・・・。
suika
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