内 緒 

 

普段はお堅い会議が行われる部屋に、今は「控え室」と書かれてある。

そこにダイスケはいる筈だ。

その部屋の3つ隣にはすでに100人のファンが今か、今か、とオレ達を待っていた。

・・・ゴメンネ。みんな、もうちょっと待っててね。・・・・

心の中で謝りながら「控え室」のドアを開けて、ダイスケの姿を見つけた。

『大ちゃん』

「あ・・・もう電話終わったんだ?」

『グッ・・・・・・』

やっぱり怒っているんだね・・・

『あのさ・・あのね・・・大ちゃん?』

「ん?何?」返事は返してくれるもののオレの顔を見ようとしない。

『14日・・・リハーサルの後、ちょっと付き合ってくれる?』

ビックリしたように大ちゃんが身体ごとオレの方に向いた。

「いいけど・・・リハーサルが終わる時間なんて分からないよ?それでも間に合う?」

きっとオレが考える事なんてバレバレだろうから勘の良い彼は時間まで気にしてる。

『次の日、札幌だからそんな遅くならないと思う・・・よ・・・だと・・良いね・・・』

「クックックッ・・・ヒロってば」

ほ〜ら、大ちゃんの眼がキラキラして好奇心一杯の顔になって来た。

『約束したからね・・・今から公録頑張ろうね、大ちゃんじゃないと仕切れないからさ・・・』

「うん」

トントン・・・・

《支度出来てる?10分押しだからすぐに始めるわよ》

『OK!』

足取り軽く部屋を出る大ちゃんの後について行きながら、アベちゃんに

『約束、守ってよね』念押しを忘れない。

《分かってるわよ》

大ちゃんとオレが部屋に入ると、大歓声でファンが迎えてくれた。

もちろん「公録」もバッチリ!


その後も、プロモーションで東京と地方を行ったり、来たりして忙しい日々を送った。

二人ずっと一緒なのは嬉しくて楽しいけれど、常に回りにスタッフやイベンターがいる状態だから

大ちゃんにスキンシップ出来ないのって・・・辛くないかぁ〜〜?



14日は朝からライブのリハーサルがあった。

地方のプロモーション活動が忙しすぎて、かなり煮詰めないと本番までに大変な事になってしまう。

『おはっよ〜〜アベちゃん。今日・・・リハーサル早く終わってくれるよね?』

《この忙しいのに・・って言っても約束だから。あの名古屋以来、ダイスケの機嫌が良くて、こっちは助かっているけど。どんな魔法をかけたのかしら??》

『ははは・・・内緒。』

リハーサル室に入ると大ちゃんはスタッフと何か打ち合わせをすでに始めていた。

でも、オレを見つけると「ヒロ・・・」って駆け寄ってくれる・・・

そんな瞬間が好きで入りをちょっとだけ遅くしたりするオレってズルイ?

《ダイスケ、ヒロ、今日はもういいわ》

リハーサルが佳境に入ってきて、時間ばかり気にし始めたオレにアベちゃんが助け船を出してくれた。

《明日、札幌だから、羽田に**時、時間厳守ね。絶対!!ね・ぼ・うしないでよ!》

・・・・あれ?それってオレに言ったの?・・・・・・・・・・・・・・

「お疲れ〜〜」『お疲れ』

地下の駐車場に停めてあるオレの車に乗り込んで大ちゃんが言った。

「あ・・ヒロ。ちょっとだけ僕の部屋寄ってくれる?もうちょっとフォーマルなお洋服の方がいいでしょ?」

『・・・そっか・・・オレも着替えて来なきゃ・・・って!!どこに行くか大ちゃん分かってるの?!』

「クックッ・・・」大ちゃんが肩を震わせて笑っている。

しまった!!!ばらしちゃったようなもんじゃねーか!!

「アッハハハ・・・ヒロって分かりやすい〜」

『ダメ・・・?こんなオレは??』

「ううん・・・大好きだよ」

『大ちゃん』

オレが手を伸ばすと、大ちゃんの方から胸に飛び込んできた。

一度、軽く唇を合わせて・・・すぐに深い、深い口ずけを交わす。

「ずっとヒロに触れたかった・・・」

『オレだって』



着替えを済ませて、再び車を走らせた。

都会の喧騒を抜けて落ち着いた通りに面した建物に着いた。

『大ちゃん・・・着いたよ』

「えっ!ココって・・・。今一番人気のお店じゃない?!何ヶ月も前から予約しないと入れないって有名でしょ?」

『ちょっと前に、テレビ見てて大ちゃんが行ってみたいよね〜〜って言っていたのを思い出してさ。

でもオレって計画性無いから、もう友人、知人のツテを総動員して無理やり予約したんだ。

それがちょうど名古屋のプロモーションの時でさ・・・確認のために携帯の電源切れなくて、

何回、アベちゃんに怒られただろ』

「ヒロ・・・ありがとう。すっごく嬉しい・・」

零れそうな笑顔と、泣き出しそうな瞳と、今日のオレは大ちゃんを独り占めだよね。

『行こうか・・・』

オレは大ちゃんをエスコートして豪華な店の中に入った。


「美味しかったね〜〜ヒロ♪あのお肉なんて最高だったね〜」

『大ちゃん・・・そのセリフ、もう何回目?』

「えっ?そう・・・でも本当に美味しかったよね。ヒロ、ありがとう」

『そのセリフは何回聞いても良いかも・・・』

「ばぁか・・・」

『で・・・この後、どうしようか?飲みに行く?』

「車だからヒロは飲めないでしょ??さっきだってアペリティフだけだったし・・・ヒロの部屋で良いよ・・・」

・・・・・オレの部屋。期待していいんだよね?でも明日は朝早いから無茶できないし・・・・・

・・・・・無茶?無茶しなきゃいいんじゃ?程ほどって事もあるし・・・・・・・・・・・・・・

「ヒロ・・・前向いて運転して」

『ハィ・・・』


オレの部屋に入って、ジャケットを脱ぐ。

あまり堅苦しくないようにって思っていたのに、フォーマルな服はやはり辛い。

「ヒロ、今日はありがとう。とても嬉しいホワイトデーだった」

『そんなに喜んで貰えるとは思わなかった。でもね・・・

あのお店を予約するのに必死で他のプレゼント買う暇無かったんだ。・・・ゴメンネ』

「ううん・・・何もいらないよ」

オレは大ちゃんを抱き締めた・・・大ちゃんの手がそっとオレの背中に回される。

オレが抱き締めているはずなのに・・・抱き締められている気分。

・・・・・・・・・・・・・・・・・この感触が好きだ

オレはいつだって大ちゃんに包まれて生きているんだと思う。

「ねえ?ヒロ」

『何?』

「バレンタインデーの言葉、覚えてる?」

『うん・・・大ちゃんの全部が欲しいって言った』

「じゃあ・・今日はヒロを全部くれる?』

『もちろん。身体も心も、全部大ちゃんのものだよ』

・・・・・・・・・・夜はこれから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

*****END*****

 


ハハハ・・・(^^ゞUPするのはいつだろ〜〜?って自分で言っていたのに、やはりホワイトデーに間に合わせなくちゃ!!って・・・。

でも今回Hはやめました。(たいしたHでもないけど・・・)

いつもラブラブな二人・・最近、更にラブラブだわ。

                                   suika

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