指先に花束






「あ〜あ〜」

可愛い指先がボクの掌の上の携帯に触れた

「ん? 愛もパパからのメール見るの?」

むんずと携帯を掴みかけボクは慌てて手を引いた

「パパ・・・」

「ちょっと待ってね」

本文をフォルダに入れ、更にメール保護のボタンを押してから娘に渡す


「ごめんね、このメールが消えたら困るから」


それはこの世で唯一無二の大切な大切な人からのバースディメール

今日は側に居てはくれないけれど必死で打ってくれたものだから間違っても消せないが

可愛い娘では文句も言えず自己防衛する事を学んだ

きっと、ボクが一日中携帯画面を見ているから娘は不思議に思ったんだろう


渡した文字だらけの画面には関心も無いらしい

すぐに変わってしまった待ち受けのパパに反応して喜んでいる

「パパ!」

画面をボクに見せようとする

「そうだね〜愛のパパはカッコ良いね」

そう言ってからボクは照れた

毎日、見ているのに決して飽きる事は無い


「今、新幹線に乗ったってメール来たから、まだまだ顔を見られないね」

娘に言い聞かせる・・・のは言い訳で実はボクが淋しいのだ


ソロライブが決まりリハーサルが始まるとヒロは家でも歌詞を口づさんだり急に発声練習を始めたりして

ボクや娘を驚かしたり笑わせたりした


ほんの時々・・・

気持ちがナーバスになる時があったみたいだけれど

娘の愛らしさにかなり癒されていたみたいだ

「ボクよりも?」

わざと拗ねてみせたりするとヒロはキスをくれる


分かっているよ・・・

ヒロとボクと愛で一つの世界だから何も欠けてはいけないんだよね

誕生日は華やかに騒ぎ立てるのじゃなく静かに生まれた事に感謝しよう

ボクはプレゼントなんかいらない

このヒロがくれたメールだけで充分嬉しい


ふと気付けば娘はラグの上で眠ってしまっている

「目が覚めたらパパにお帰りって言ってあげようね」

子供部屋のベッドに運び寝かし付けてから握り締めていた携帯を取り出す

ボクは娘の掌で温かくなったコレをヒロに見せたかった

ボク達はこんなにヒロを愛しているって

「早く帰って来い」

あ・・・プレゼントはいらないと思ったけど、やっぱり欲しいな


ヒロにいっぱい愛して貰いたい





♪♪♪♪♪終


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