〜 辿り着く橋 〜






―― 心変わりをした…と言ったら君はどう思うだろう

   それでもオレを愛してくれるだろうか? ――




「これ……何?」

無造作に開かれた手帳に独り言のように書かれたその一文に目が止まる

考えるよりも先に口から驚きの言葉が出てしまった

「これって作詞なの?それともヒロの本心?」

そっと机の向こう側に遠ざけようとする指先がみっともないくらい震えている

誰に向けて、何を思って書いたんだろう・・・そう探るだけで胸が痛い


結局、僕は君の事を何も知らない


君がファンイベントで僕の真似をしてくれたと聞いてムッとしたけど・・・本当は嬉しかったよ

『だって誰よりも近い所で見ているんだから』

そんなセリフもさらって言っちゃうんだね

『ファンの子達がさぁ真似してってうるさくてね、乗っちゃうオレもオレだけどさ』


ファンの子に言われないとやらないの?

そうイジめても笑うだけ


―― 心変わり ――


まだ指先の一部が手帳から離れないでいた

愛は永久じゃない

心だけは誰をも縛り付ける事を出来ないってボクだって知ってる

バタバタと足音が聞こえる

「ヒロ??」

寝ぼけた顔でキョロキョロと見回して何かを探す

「あれ?」

「何?」

「えっと…この辺に…茶色の…表紙の…」

「これ?」

さっきまで押さえていたそれをそっと机の上でヒロに向かって滑らせた

「それ!あった〜〜〜良かった〜〜」

ヒロが安堵したように微笑む

「そんな大事なんだ…見られたら困るような事が書いてあったりするの?」

ボクの探るような言葉の意味が分からないのかヒロは頭の上に?を付けてボクを見た

「まぁ、プライベートな手帳だからね、でもさ、見られて困るような事は書いてないよ」

「ふーん」

生返事をしてボクは思う

じゃあ、それは作り事なんかじゃなくてヒロの本心なんだ

「寒くなったね」

手帳を抱えてソファに座ったヒロがポツリと言った

そりゃあ、寝起きで半袖で気温の低い部屋にいれば寒いよ

「ヒロ?まだ覚醒してないでしょ?」

「大ちゃん、ここ」

手招きされてヒロの隣りに座ると、いきなりギュウと抱き締められる

「あったかい」

明日はボクではない誰かがこの温かい胸に顔を埋めるんだろう

それでも・・・今はその手を突き放す事が出来ない

「ボクはヒーターじゃないよ」

「知ってる・・・ヒーターとは比べられないくらい大ちゃんは温かい・・・温かいね」

首筋にヒロの息を感じ抱き締められたまま背中を優しく撫でられボクは涙が出そうになる

あの一文を思い出す


――それでもオレを愛してくれるだろうか――


「ボクも温かいよ」

「あれ?・・・もうお風呂入ったんだ、そういえば、こんな朝早くに大ちゃんが起きているなんて珍しいね」

髪の香りを嗅ぎながらヒロが一筋を指で弄ぶ

「うん。今日さ早いんだよ、今から寝ちゃうと起きれなくなるから」

「言ってくれたら一緒にお風呂入ったのに〜」

「甘えない」

他愛ない会話を楽しめる、こんな穏やかな時間がいつまでも続くとボクは思っていたんだ

「ヒロ」

「ん?」

「ボクに何か言いたい事ある?」

背中を撫ぜる手が止まる

「言いたい事?ん〜〜〜〜〜〜〜ないよ」

黙って何事もなかったかのように君はボクじゃない誰かを愛するの?

嘘つきな男は冷たいキスをして感情のない笑顔でボクを惑わせる




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




今日は沢山の人達からお祝いの言葉を貰った

特別祝われたい年齢ではないけれど、それなりに嬉しかったりする


『ドライブ行こう』


ヒロから届いた短いメール

それは悲しい予感

気持ちを決めてヒロに会わなきゃならない



夜の東京は幼子の宝石箱

色とりどりのガラス玉を詰め込んで光を集めている

虹の橋・・・2人が好きな場所


「綺麗だね」

「うん」

少し窓を開けてみる

まだ肌を刺すような冷たさでは無いがボクの気持ちを冷ますには十分な風だ



「HAPPY BIRTHDAY大ちゃん」

「ありがとう」

「この場所で言いたかった事があるんだ」

ヒロがボクの瞳をまっすぐ見つめる

「何?」

「38歳の大ちゃんも好きだったけど39歳の大ちゃんはもっと好きだよ」

「・・・・・・」

いきなり何を言われたのかボクの思考が止まって理解出来なくなった

「ヒ・・・? 何言ってんの?」

「あれ?そんなリアクション? もっと感激してくれるかと思ったのに〜〜〜

 そっか!年齢言ったのがマズかったか」

「じゃなくて・・・心変わりしたんだよね、ボクなんか・・・もう」

「やっぱり手帳見たんだ、あれはホンの下書きみたいなモノだよ」

「信じて良いの?」

車内のライトを消してヒロに身体ごと引き寄せられた

熱い吐息が頬にかかったと思った瞬間

唇を塞がれていた

ボクもヒロを求める

優しくなんかしてくれなくていい

激しくて乱暴なキスが欲しい


「オレは不器用だから大ちゃんにいつも心配かけるけど・・・いつだって愛しているから」

「大丈夫だよ」


一緒に歩いて行くと決めたから・・・

一生愛していくと決めたから・・・






***** 終 *****







ぐわ〜〜〜
久しぶりに書いたけど文章変だね(-_-;)
リハビリしないとダメだ
一発奮起して大ちゃんバースデイ話書いたのに暗いね・・・ごめんなさい


suica 
(ニューヨークかよっ(怒))

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