それが僕の一日

 

 

RiRiRiRi・・・

鳴り続ける電話

ボクの頭は起きているのに身体が動かない

受話器まで手が届かないんだ

Riーー!

「あーあ・・・間に合わなかったか・・」

必死で伸ばした指先が受話器に触れた瞬間切れてしまった

まっ、いいか。

本当に用事がある時はまたすぐにかかってくるし、親しい人なら携帯にかけてくるだろう

のろのろと起き上がってディスプレイを見ると “非通知“ だった

「いたずら・・・?」

朝の目覚めは電話の無愛想な音じゃない方がいい

少しだけムカついたけどベッドの下から見つめている4つのつぶらな瞳に笑みが零れる

「おはよう。アル、アニー」

彼らと同じ目の高さになるようにソファに寝転ぶ

「うわぁ〜〜ちょっと待ってぇ〜〜〜」

一匹の体重がかなりあるので二匹同時に甘えてこられると息が出来なくなってしまう

顔中を舐められて少し湿った鼻をくっ付けられてボクのパジャマが毛だらけになるまで容赦は無い

「分かったから!ご飯あげるから〜〜」

やっとボクの上から二匹はどいてくれた

世界一可愛いけど・・・・毎日こんな感じで大変

 

それが僕の好きな時間

 

今日は久し振りのオフだからアル、アニーと思う存分楽しもうと愛犬仲間である友人と一緒に遠出をする約束をしていた

彼が来る時間までは余裕があるので食事をして溜まり始めた汚れ物を洗濯しよう

毎日の大半をスタジオで過ごしてしまうので部屋の中が散らからない

それでも流しには空き缶やペットボトルが転がっているのは仕方の無い事だ

よく “アサクラさんは生活感を感じさせませんよね“ って言われる

“空気“ を食べて “雲の上“ で眠っているように見えるんだろうか・・・?

ボクは仙人じゃないよ

花粉が酷い春とワンコの毛が抜ける時期には毎日掃除機かけたりする普通の人なんだけどな

 

 

 

友人の車が迎えに来た

ボクはアル、アニーを車まで連れて行く

「おはよう」

中を覗くと彼の愛犬2匹が尻尾を振って迎えてくれる

総勢4匹の犬たちと一緒に春の気持ち良い風の中をドライブする

「この前は山に行ったから、今日は海に行ってみるか? この子達も思いっきり泳がせられるしさ」

「良いねぇ」

飛び出し防止のネットが張られた窓から吹いてくる風にワンコの綺麗な毛がなびく

 

それが僕の好きな時間

 

「じゃあ、またスタジオでね」

楽しかったドライブを終え運転席の友人に告げる

海に入り思い切り走り回ったアル、アニーのまだ乾ききっていない身体からは潮の香りがする

「ちょっと待つんだよ、タオル持って来るからね」

玄関に待たせたままボクが洗面所までタオルを取りに行く

毛の中はまだ湿っているのでリビングには連れて行けない

明日にでもアベちゃんに犬の美容室に連れて行って貰おうか

ゲージに入れるとワンコ達は遊び疲れてすぐに寝入ってしまった

まだ昼下がり・・・

ワンコの可愛い寝息につられるようにボクの瞼も降りてきた

そのままボクもまどろみの中に入ってしまう

夢の中でワンコと一緒に海で泳いでいる・・・

 

それが僕の好きな時間

 

ふっと目覚めて時計を見る

「あぁ・・・まだこんな時間か」

今日はスタジオに行かなくても良いんだと思うと、まだ一日が始まったばっかりのような気分だ

窓の外はやっとオレンジ色の夕焼けが始まったばかり

「ご飯・・・どうするかな?」

睡眠が満たされれば次は食欲だよね

自分で作れるのはお湯を注げば出来る麺モノばっかりだからすぐに却下

それに一人で食べるのはちょっと味気ない

今日始めて携帯を手に取ってみた

楽しい時は携帯なんか見なくても全然平気

だから・・・今はちょっとだけ淋しいのかもしれない

発信履歴を調べて見てみる

「ヒロ・・・」

 

 

誰に一番多くかけているかなんて調べなくても分かっていた

暗闇でも彼の番号が押せるんだからと少し悦になってみる

でも・・・かけるのは躊躇われた

今の彼がソロ活動に力を入れているのはボクが一番知っている

『ココが踏ん張り所かな』

そう笑う彼が見えない所で歯を食いしばっているのが我が事のように伝わってくる

「せめて・・・食事だけでも・・・」

電話をかけるのはやめてメールを出した

それが彼の目に留まるのが夜中だったとしてもボクは待っていられる

 

それが僕の好きな時間

 

今夜は見たいTV番組もないので早めにシャワーを浴びる

それでも急いでリビングに戻って携帯を確認した

来る訳は無い・・・

絶対に来る・・・

目の端にだけ見えるように携帯を置き換えてボクは夕飯を食べに行く支度を始めた

たまには一人も良いかもしれないと自分自身に強がってみる

 

それは僕が嫌いな時間

 

空腹な筈なのにそれを満たす事は重要じゃなくなっている

目的は無く、結局歩き回って途中コンビニに寄り新発売のシールが貼られたスゥィーツを買った

・・・自分のマンションが近づいた時、携帯が鳴った

 

「もしもし、大ちゃん?ゴメンネ。 メール貰ったのに返事返せなくて。」

「うん、良いよ。 忙しいのは分かってるから。 それよりわざわざ電話してきてくれてありがとう」

「今、ドコ? 部屋? 仕事終ったから迎えに行く・・・でも食事には遅い時簡になっちゃったかな」

「まだ・・・食べてないよ。  待ってた」

「ダメじゃん!ちゃんと食べなくちゃ!」

「・・・・ゴメン」

「すぐに行くから待っててね。じゃ!」

げんきんなもので彼に会えると思うと急に空腹感が戻ってきた

「お腹減った・・・・早くこ〜〜い・・・ヒロ」

 

愛しい人を待つ

 

それが僕の大好きな時間

一日で一番大事な時間

 

 

 

 

 

********************************************END

 

 

 

 

ひさし振りの「大ちゃん目線」です。

大ちゃんの私生活ってまったく謎なので、私が書けるのはこれくらい(苦笑)

「好きな人は何時間でも待てる」のでしょうか??(^_^;

                           suika

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