幸せのひとつ前





まだ開けきらぬ東の空が紅にそまっている

もうすぐ太陽が顔を覗かせるのだろう

秋の朝は冷たい空気を含みながらも まだTシャツ一枚でも大丈夫だ

オレはベランダに出て深呼吸を一つした

都会の空気はそれほど美味くはない



「コホッ」

軽くセキをしてから慌てて窓を閉めた

朝の気配をまだまどろんでいる彼の所に届けたくはなかった



引っ越したばかりのまだ新鮮な景色を見回す

東京は“大都会”と言うイメージよりはずっと緑が多い

その向こうにツンッとそびえる高い建物がオブジェに見えている



コンッコンッ



ガラスを叩く音に振り向いた

優しく微笑む彼にガラス一枚隔てて向き合う

その細い肩にすぐに触れないもどかしさが また微妙に良くてオレは唇を寄せた

彼は驚きながらも向こう側から唇を合わせ ひんやりしたガラス越しのキスを交わす



人肌になるにはもう少し時間がかかるだろう

オレは薄く目を開けて向こう側の彼を見る

つぶらな瞳も今は閉じられ上を向き加減の鼻先が可愛い

少し開いた唇から赤い舌が濃厚な口づけを求めるように覗いている

そこだけ違う意思を持っているかのようだ

オレも同じように舌を這わせる

お互いの唾液の染みがガラスに広がるのを見た瞬間

オレの下半身が疼き出した



・・・ヤバッ



彼の胸の辺りに唇をずらしてみた

何を求めているのか理解したのか恥ずかしそうにそっとガウンの前をはだけると、

ピンクの乳首はすでに勃ちあがりオレの愛撫を待っている

直接触れたいのを我慢して押しつけて来る冷たいだけの乳首を舐める

硬く冷たく無機質でそれでいて脆くはかない



ガラスは彼に似ている



「や・・・ヒロ・・・もう・・・」



彼が喘ぎ始めた

そして、オレもガラス越しでは我慢が出来なくなる

すぐに室内に入って華奢な肩を抱き寄せた

「ごめん、起こしちゃったね」

「そんな事無いよ。 隣りにヒロがいない方が淋しい」



彼は強い・・・決して弱音を吐かない

でも、オレの前では違う

甘えん坊になってくれる

『淋しい』とか『辛い』とかオレだけにそっと告げる

そんな秘密を共有できるのが嬉しくて、また彼が愛しくなる



「大ちゃん・・・」

「なに?」

「さっきの続きしようか」

はだけた胸に手を滑らす

「暖ったかい」

触って舐めて噛んで・・・

見つめるだけの幸せもあるけれど やはり彼をダイレクトに感じたい

幸せの数秒前はもどかしさなのかもしれない




「ちゃんとベッドでしよ」








☆☆☆☆☆☆おしまい



久しぶりのいちゃいちゃオンリーでした

           suika
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