〜結婚サイドストーリー〜【敏腕マネージャーの苦悩・番外】【marriage2】
すでにもう何時間もアベはその一枚の紙を前に腕を組み、眉間にシワを寄せて考えていた
気持ち良い秋晴れの日に二人仲良くスタジオに出勤して来たと思ったら
「話があるから」といきなり言われた瞬間、いつもながらの嫌な予感が背中を走った
アベの心の焦りを無視して二人が照れ臭そうに取り出した用紙の名を見た
仰天した
・・・・・・『養子縁組』 何度読み直しても確かにそう書いてある
「これって・・・・?」
多少、声が震えてしまったのは見逃して欲しい
「ボク達ね・・・結婚するの。」
極上の笑顔で淀みなく言う金髪の彼を今ほど憎らしいと思った事はなかった
その横でただニコニコしているこの鶏冠頭の男にはとっくの昔に憎らしいを超えていた
組んでいる腕を微動だにせずに聞いてみる
「で?・・・・私にどうしろと?」
多少、声にドスが混じったのは聞かなかった事にして欲しい
「だから、アベちゃんにココの保証人の欄にサインして欲しいんだけど?ふたりでそう決めたんだ・・ネッ、大ちゃん」
ネッって・・・その意味なく見つめ合うのはやめなさいと言ってるでしょ!
見ているこっちが恥ずかしいんだってば
聞きたいことは山ほどある・・・
今の日本じゃあまだ『同性同士』の結婚は認めて貰えないのよとか、周りの偏見の目に耐えられるの?とか、
この業界にいる限りゲテモノ扱いされても文句は言えないのよとか、仕事だって来なくなってしまうかも
言いたい事も山ほどある・・・
今までだって散々あんた達のために苦労させられたわよ、夜中も明け方も関係なく仕事に付き合って別れた男も数知れず
肌だってどれだけ荒れたと思ってるのよ〜〜
でも、こんな事は二人も悩んで悩んで悩んで答えを出したと思うから・・・今更、私が言うべき事ではない
きっと声には出さなくても、顔にすべて出ていたのだろう
目の前の二人が段々不安そうな目になっていくのが分かった
「ひとつだけ、聞いて良い?」これだけは聞いておかなければならない
「何・・・?」「何?」
「『仕事』と『パートナー』どっちかを選べって言ったらどうする?」
ダイスケが一瞬絶句して、目を閉じた
「 音楽は仕事でなくても出来る、でもねヒロは一人しかいない・・・失うなんて考えられない」
・・・・・・素直になったね、ダイスケ
ヒロは少し怒った
「アベちゃんがそんな事言うなんて・・・。歌を捨てても良い。大ちゃんを守ってあげられるのはオレしかいないんだから」
・・・・・・大人になったね、ヒロ
「これ以上・・・私が何を言っても無駄ね」
目頭がジワッっと熱くなるのを感じて、それを誤魔化すように席を立った
「アベちゃんだけには分かって欲しかったのに!!」
それを否定と受け取ったダイスケが悲愴な声を上げた
「勘違いしないでよ・・・ペンと印鑑が要るでしょう」
「サインしてくれるの?」
「巻き込まれたくはなかったんだけど・・・もうこうなったら究極の腐れ縁だわ。ギリギリまでは守ってあげるわよ!
それでもダメだったら・・・・逃亡ね。 どこで歌うにしても敏腕マネージャーは必要でしょ?」
「ありがとう、アベちゃん。大好きだよ」
人のモノになってしまった男から言われても嬉しくも何ともないけどね
サインをしながらも、どうも気持ちの治まらないアベの目の前で
当人同士は「新居はどうする?」だの「今はまだこのままでも良いよね?どうせお互いの部屋に着替えとか置いてあるしね」だの
「もう少し広いマンション探そうね」だの「ワンコの部屋もいるよ」だの、挙句に「カーテンの色はどうする」と聞いた瞬間
「いいかげんにしてよ!!!」
隣の部屋で仕事をしているスタッフにまでアベの怒りの声が轟いた
どうしてこんな変な二人のマネージャーになってしまったんだろう?と、問いかけても答えは出ない
仲良しユニット改め夫婦ユニットのマネージャー、アベの自分探しの旅は果てしなく続く・・・
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【結婚】UPと同時にこちらのお話が浮かんできました。
やはり二人が結ばれるにあたってアベちゃん抜きには語れないのではないかと・・・・。
「大ちゃん+ヒロ+アベちゃん」これって普通の男女なら『3角関係』って事になってもおかしくないんだけどなぁ(爆)
生でアベちゃんを見た事がないのですが、後から聞いたりするとイベントとかですぐ近くにいたらしい・・・・(^_^;(あくまでもらしい)
suika
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