*Partenaire*





「待てぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜」

廊下をドタドタと走り回る音が響く


「また…やってる」

アベは苦笑しながら煎れたばかりのコーヒーを一口啜った

「ますます賑やかになって来たよ」

「ヒロは弟が出来たような気分らしいわね」

「子犬だから扱いやすいみたいで何くれと世話してくれるよ。

 夜、ゲージに入れ忘れると朝起きた時そこらじゅうのモノが噛まれてて大変だけどね。

 でもジョンはヒロの事を同等に見てるような気がするんだけど」

「幼いから気が合うんじゃない」

「言ってやろ」

ダイスケもマグカップを両の掌につつみながら声のする方へ目をやる

「3…2…1」

言い終わらぬうちに黒い塊が薄く開いていたドアから飛び込んで来た


『ワンッ!』

新しく家族の一員になった愛らしい子犬…と呼ぶのには少し語弊がある大きさだが…が嬉しそうにダイスケの足下で吠えた

「ジョォ〜〜ン」

続いて部屋に入って来たヒロユキが子犬に飛び掛かる

『ウーー』

子犬は水色のナニかを足で押さえ付けヒロユキを威嚇する

「あれっ…それって?」

ダイスケが複雑な表情を見せた


子犬のくわえてる物体とヒロユキの足下を見れば正体は聞かなくても分かる

「…あげたばかりのバースディプレゼントも台無しねぇ」

アベが唾でデロドロになった水色のスリッパを取り上げた

高級ブランド特有の手触りの良さは犬にとっても噛み心地良いに決まってる

「ごめん、大ちゃん。トイレに入った隙にこいつ…じゃなくて…ジョンに持ってかれた」

ヒロユキは小さく言い訳を口にした

「これってヒロのイニシャルが刺繍された一品モノでしょ…高いわよ

 で、何でトイレに入る時スリッパ脱ぐの? マットも敷いてあるからそのまま入れるのに」

「子供の頃からの癖なんだよ…仕方ないじゃん」

二人のやり取りをダイスケはジョンの頭を撫でながら黙って聞いていた


「ごめんね、本当にごめん、だいちゃん?」

ヒロユキは謝りながらダイスケの顔を覗くがその表情は和らがない

「乾けばまたはけるじゃん…ねっ? だめ???」

ダイスケが口を開かない事にジョンも自分が怒られてるように思ったのかソッとヒロユキの方に歩み寄る

「ほうら、大ちゃん怒っちゃったじゃんか〜〜〜お前が悪いんだぞ!どうすんだよ!」


『クゥ〜ン』


「甘えんなよ。オレなんか許して貰えないかもしれないのに〜」

ヒロユキとジョンの奇妙なやり取りにアベに続きダイスケも吹き出した

「ヒロ面白過ぎだよ」

「せっかくのプレゼントなのにごめん」

「いいよ許してあげる。それよかヒロ、足!」

「ん?」

ヒロユキは足下を見た

「いつまで片方のまま突っ立てんの?スタッフが見たら不思議に思うよ」

「大ちゃんからのプレゼント嬉しかったのになぁ」

真新しい水色のスリッパと少し濡れて毛羽立ったスリッパを見比べてヒロユキは肩を落とした

「そんなに? そんなに嬉しかった?」

「そりゃあもう」

隣りに座ったヒロユキはダイスケの肩に頭を乗せた

「あのさ…この後仕事ある?」

「あ〜始まった。退散しよ」

その言葉にアベは白けたように手を振りながら部屋を出た



「……食事行く?」

ヒロユキは耳元で囁いた

「エッチしよ」

「ヒロ?!ちょ…?ヒロ?!」

真っ赤になったダイスケをソファに押し倒し口づけをした


『ウーー』


「しまった…ジョンがいたんだ」

ヒロユキの胸にダイスケは笑いながら抱き付いた

「いいじゃん」

「いいの? てか、ヤバくない?!」

「じゃ、ベッド行こう」

「OK!」


一匹取り残されたジョンは残されたスリッパに再び挑み始めた

きっと明日の朝は二度と履けなくなってるだろう…




★★★★★★END




HAPPY BIRTHDAY ヒロ
久しぶりにイチャイチャ書いてみました。
(短くてスイマセン)

そして、何気に可愛い新人くん活躍です(^^)

suica


「じゃ、ベッド行こう」→「OK!」→ジョン?
 
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