nocturne (夜想曲)


このまま 朝が来なければ良いのにと・・・眠る君の横顔に何度呟いただろう

どこにも出さないで誰にも見せないでボクの隣でだけ君が微笑むようにしたい

・・・と何度思っただろう

それでも太陽は昇って光溢れる街へと君は長い足を運ばせる

今日会う人はどんな女性なの?

ボクの知らない話題でその人と楽しげに笑い声を立てるんだろう

その時 ボクはドコでナニをしているんだろう?




暗闇に魂を売って朝の光とは縁の無い生活を君としてみたい

夜は優しく・・・闇は密かに・・・音の無い世界は永遠を感じさせる

ボクを包む唯一の楽器は君の口笛だけで良い

どうか  ボクの為に口ずさんでほしい

その調べに身を委ねてボクは暗闇のソコに沈む・・・




ボクが居なくなったら君は自由に眩しい世界に羽ばたけば良いんだから

どうか・・・それまではボクを抱き締めて

心地良い調べを聞かせてほしい







夜の海に浮かぶ船の名は・・・・・「nocturne」 







「大ちゃん・・・これから暇?」

「ん〜〜〜〜暇じゃない」

「だよね。 じゃあ食事決まりね」

笑いながらこの後の予定をマネージャーに聞きにボクの隣から消えた

早く仕事が終ったからとボクのスタジオに遊びに来てくれたヒロ

遊びだから・・・君の唄はココに響かない

お互いのソロ活動も大事で中途半端には絶対なりたくないから

自分にムチ打ってありえないスピードでアルバムを作る

「良い結果がきっとその先の活動の刺激になると思うんだ」

綺麗事で閉じ込めた欲求・・・

二つを同時に出来ない損な性格のヒロをそっと受け止めて今を走る

ボクだって中途半端にはなりたくはない

でも、ボクは同時にいくつもの顔で世の中を渡っていけるんだ

きっとボクの方が図太い・・・そして君は悲しいほど繊細・・・そして大胆

聞かなくてもボクの答えは「忙しい」に決まってるし

それでも君は誘ってくれる・・・

いつもボクへ手を差し出して一緒に走ろうと誘ってくれる

・・・助走はいつも完璧

なのに、手を離してしまうのもヒロなんだよね





屈託無くマネージャーと話をしているヒロの笑顔はとても眩しい

そのままの笑顔でボクの側にいて欲しいと思うのは夢なのだろうか?

傷付くのが怖いから何も言わないけれど いつでもそう願って止まない自分が確かにいる





連れ出されたお店はヒロの行きつけだったのに、すでにボクも顔馴染みになりつつある

気さくな主人がボクが食べられるものをチョイスして出してくれるようになっていた

新しい店を開発したいのは山々なんだけど、

メニューを見ては溜め息を零すボクが可哀相になるってヒロは言う

「どう?アルバムの次の色は出来上がった?」

飲みたいからと車を置いてきたヒロが今はこれがお気に入りと言う焼酎を喉に流し込んだ

「うん、4枚目までは何とか・・・・すでに終わりを数え始めてる。

1枚目の頃は先が見えなくて後悔したけど」

「だよね・・・オレだったら、その企画が出た瞬間に断わってる」

「ハハハ・・・・ヒロらしい。 でもさ・・・・

accessでもこんな企画やりたいって言ったらどうする?やっぱ断わるの?」

お酒のコップを唇につけたままボクの事を真ん丸な目で見ている

ヒロ・・・驚きすぎて瞬きしてないよ

「返事は???」

コップを置いて・・・手をテーブルの上に揃えて頭を垂らした

「うんと・・・・・善処します。・・・・ダメ?この返事じゃあ?」

「楽しみだねぇ」

ヒロの何か言いたそうな表情は見ない振りでボクは目の前のご馳走に箸を伸ばす

早く食べないと天井のライトが新鮮な食材を痛ませてしまう

好きなモノは最初に食べる・・・・? 最後に食べる・・・?

ボクは好きなモノしか食べない

君を繋ぎとめておくのは 曲 しかないとボクは思っている

それは悲しい誤解なんだと誰も教えてはくれない





お腹が一杯になって夜の街へと二人歩き出した

梅雨の合間の夜空はやっぱり薄黒くて星なんて見える隙間も無い

油断していたら雨の洗礼を受けてしまいそうな湿った空気が肌にベッタリと纏わり付く

ベリっと力任せに剥がしてしまいたくなる

・・・ココが賑やかな街の真ん中でなければ叫び出したいほど気持ちが悪い

スタジオを出る時にマネージャーから言われた言葉

「今夜はもうココに来ちゃダメよ、たまには羽根を伸ばせば良いのよ。 ヒロと一緒なんだし」

スタジオには戻ってくるなとはっきり言われてしまった

それくらい最近のボクはスタジオと自宅の往復しかしてなかったって事か

「そうだ・・・先輩方のライブどうだった?

面白いだろうね〜〜でもオレには凄い上の存在な人達だからな」

「うん!そりゃあもう、凄かったよ!良い意味でしっちゃかめっちゃかだったけど」

先日参加した先輩方のライブの様子やリハーサルの時のエピソードなんかをヒロに話してあげる

遊びに行くのに遅刻してしまった子供のように目を輝かして、

ヒロは楽しそうに羨ましそうにボクの話を聞く

アッハッハッハ!

ヒロの高い笑い声が賑やかな夜の街へ溶け込んだ

それに反応したように若いお嬢さんが瞬間ボク達を振り返るけど

酔っているのかすぐに踵を返して自分の彼の腕へとしな垂れかかる

擦れ違う人々に興味などないココはそんな街なのだ




こんなに沢山の人が群れをなして列を作ってそれぞれの行き先へと歩いて行く

この中には知っている顔もあるのかもしれないけれど・・・

ボクには唯一人の人しか見つけ出せない気がする

それは・・・・・きっとヒロだけ




人々と言う海の中で君の手だけが頼りの地図になる

世間という海の上では君の声だけが頼りの磁石となる

ボクをこの世に繋ぎとめておくのはたった一人・・・

そっとヒロの手に自分の手を重ねた

「ん?」

ボクに微笑をくれたまま握り返して、そして強く繋ぎ合わされた

「はぐれたらダメだからね」




「愛」と言う荷物を二人分だけ載せて、夜の海を滑っていく船の名は・・・・・「nocturne」

明日・・・この世界が崩れても ボクはきっと後悔しない











******************END*****************






暗っ!暗っ!・・・・・・・・(-_-;
今・・・大ちゃんにもヒロにも会えない(ってか、見られない?)
私自身の不安を書いてしまいました(だめだめ)
早く〜〜〜LOVE&PEACEを私に下さい〜〜(T_T)

 suika

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