Noah's ark 【ノアの箱舟】   

*リクエスト内容・・・・・オフの日に海岸で花火をしてみたバカップル    

 

梅雨は嫌いだ・・・ジメジメしてどこもかしこも湿っぽい、かと思うと雨が降らない日は平気で真夏日を記録したりする

そんなある日、ヒロが僕に言った

「大ちゃんさ〜明日オフだったよね?」

「うん・・・貴重なオフだから晴れて欲しいな、思いっきりワンコ達と遊びたい」

ヒロは僕に近づいて小声で言った

「遊ぶのはワンコだけなの?オレとは?」

「エッ・・・ヒロもオフ?」

「そう」

accessのライブツアーが終わっても、僕が参加している先輩達のライブツアーが待っていた

まともにヒロのお誕生日もお祝いしてあげられなかった・・・ヒロは友人達と盛り上がって楽しかったようだけど僕はちょっと悔しい

「大ちゃん、明日ちょっと遠出しようか?・・・ワンコたちも連れてさ」

「いいの?本当に?」

僕は嬉しくてヒロの顔を真正面から覗き込んだ

「まだ時期的に早いしさ・・・雨が降るかもしれないから、キャンプとかは無理だけど、湖・・・行こうか?」

「約束!!」 最後まで言い終わらないうち僕はヒロの右手の小指に自分の小指を絡めて指きりげんまんしていた・・・それくらい嬉しかったんだ

 

 

朝、起きたら梅雨の晴れ間って言葉通りの澄み切った青空だった

日頃の心がけだよね・・・ヒロ?    あれ?ヒロって雨男だったっけ?  どっちでも良いや、ヒロと一緒なんだから・・

ヒロはワンコ達の為に後ろのドアが大きく開く車を友人から借りて来てくれて

「大ちゃん〜〜」後部座席に食料やら飲料水が積んである・・こっちに来る途中で買って来たよとヒロが言った

僕はもちろん助手席に・・・ワンコ達は後ろに乗せて・・・出発!

 

 

「どこの湖行くの?」

「ここから近い所ったら、まぁ富士五湖くらいなんだけど・・・ちょっと秘密っぽい場所を見つけたからね」

「うん・・・ヒロにまかせる」

「OK〜!」ヒロは安全運転だけど、納得出来ない運転している車には厳しかったりする・・・危ないからやめて欲しいんだけどね

東京のビル群を遠く・・・緑を近くに感じ始めると、少しだけ空気が美味しくなったような気になってくる

陽射しは強いけれどエアコンよりも窓を開けて自然の風を心地良く頬に感じていく

ヒロからもお得意の口笛が聞こえだして、その上手さに僕はいつも感心させられてしまう

「今・・・ドコ?」

「あ・・・んとね・・今走ってるのが中央自動車道なのね・・・で、大月越えたからもうすぐ富士五湖に行く道に下りるよ」

免許を持っていない僕にもわかるようにヒロは丁寧に教えてくれる・・・でも大丈夫だから・・・ヒロが隣に居てくれたら何も不安じゃないから

 

道が開けてゆくと湖が見えてくる・・・湖の名前はわからないけれどお天気が良いから湖面に太陽の光がキラキラと眩しい

 

湖を横目に見ながらヒロは一向に止まる気配を見せない・・・それどころか細い道を選んで走っているような気さえする

・・・・・本当に秘密の場所なんてあるんだろうか?

後のアルとアニーもソワソワし出して来て、そろそろ外に出してあげないとヤバいかも・・・・

 

「着いたよ」静かに車は止まった

外に出て秘密の場所の意味がわかったような気がした・・・

回りが木々に囲まれて車が一台出入り出来る位の細い道を抜けると目の前に広がる一面の湖・・・まるで自分だけの湖のような錯覚になってしまう

「ね?小さい湖だけと凄い秘密っぽいでしょ?まぁ・・・今日が平日だって事もあるしね。ラッキーだよね」

その美しさに黙っている僕の隣に来て何かをねだる仕草をしている・・・

「何?・・・連れて来てくれてありがとう」

「う〜〜〜ん、嬉しいけど欲しいのは言葉じゃないんだけどな」

「フフフ・・・僕、意味がわかんない〜〜〜」ヒロの腕から逃げ出してワンコ達を外に放した・・いきなり泳ぎだしてる

思いっきり濡れた身体でワンコが僕とヒロの方に走って来た

ぶるる・・・っと二匹の身体から散らばった水が僕らを濡らした・・・着替えを持って来て正解だった

でもそれがヒロの悪戯心に火をつけたかもしれない

嫌がる僕まで湖に引きずり込もうとするなんて・・・小学生みたいだよヒロくん・・・

再びワンコ達が泳ぎ出すとヒロも「負けらんない」って湖の中に入っていっちゃった

水泳が得意なのは知ってるけどどうしてワンコ達に闘争心燃やすの??

あらら・・・・2匹と1人は微妙に牽制しあってるよ

それを見ながら僕は大きく広げたレジャーシートの上に寝転んだ

暖かい陽射し・・・心地良い風・・・そいて愛しい者達・・・きっと今地上に生きているのは僕らだけだよね

目を閉じた闇の中に聴こえる・・・・ヒロの声

---------------------

---------------------あぁ・・・あのまま眠ちゃったんだ

まだ、目は開けたくない・・・開けたらそこはスタジオで僕は機械の前に座っているかもしれないもん

現にヒロの声もワンコ達の泳いでいる水音も聞こえない・・・

スースー・・・・・あれ?   自分以外の寝息がたくさん聞こえる・・・

おそるおそる目を開けて・・・飛び込んできたのはヒロの可愛い寝顔  

「ヒロ・・・ってば」 寝息はヒロとワンコ達のものだった

広いレジャーシートなのに僕達は小さく固まって眠っていた

僕の身体が冷えないようにお腹の辺りにタオルが掛けられていて、ヒロの左手が添えられている

そして、僕の横にはアルが、ヒロの横にはアニーが・・・やはり身体が冷えないようにくっついて眠ってくれている

・・・・君達は何て優しいんだろう、僕は幸せすぎて泣きそうだよ

・・・どうしてこの瞬間を切り取って『永遠』に残しておけないんだろう

 

 

青かった空の色に朱色が混じりだして、湖上を渡る風が冷たくなってきていた

「ヒロ・・・もう帰ろうか?東京に着く頃には夜中になってしまうからさ」

「あ!・・ちょっと待って!メインイベントが済んでいない〜〜」

ヒロは車の後部座席に顔を突っ込んで何かを探していた

「あった〜〜〜ホラッ、大ちゃん」花火セットを持って満面の笑みを浮かべて・・・

「メインイベントね・・・」

 

花火の音と火薬の匂いが苦手なワンコ達は僕らと少し離れた所で見守っている

仕掛け花火に火を点ける度に僕とヒロの嬌声が響き渡る・・・心は少年だもんね

「綺麗だね〜〜〜今年の夏はデッカイ花火見に行けるかな?」

「うん・・・どうかな・・?行きたいよね・・・ってか、一緒に見たいよね」

「ねぇ?」

少しだけ高く上がった花火を見ながら僕達は手を繋いだ・・・

袋の中に残っているのは線香花火やねずみ花火などの小さいモノばかりだった

いきなりヒロがそれらを掴んで一度に火をつけようとした

「この方が手っ取り早いでしょ?」  

「危険だよ、あぶな・・・・」  言い終わらないうちにバンッと音がしてヒロの手に中で弾けた

「熱い!!」すぐに花火を離したけれどヒロは顔を歪めた

「ヒロ!!!」僕はすぐにヒロの手を見た

火薬の匂いがして黒いススが指先を汚している・・・軽く火傷をしているのかもしれない

冷やさなきゃ・・・・思うより先に僕はその指を自分の口に含んでいた・・・

『ヒロの綺麗な指を僕が治してあげたい』口の中に火薬臭さと熱さが広がる

「ちょ・・大ちゃん・・・もういいから、大丈夫だから」ヒロが慌ててる

 

--------------僕はどうなってしまったんだろう??

傷を治す為じゃなくて・・・ヒロの指を舐めたい欲になっていくのを止められない

「あ・・・大ちゃん・・もうやめよ?ね・・・?ん・・・・」ヒロの声にも・・・色・・・が混じってくる

「大ちゃんって!もう!」

強い力で口からヒロの指を抜きと取られて、代わりにヒロの唇が重ねられた

「ふ・・ん・・」角度を変えて何度も・・・離れる間も無くまた重ねられて・・・

 

「帰ろう・・・」

「うん」

 

気付けば辺りはすべてのモノを隠してしまいそうな深い闇

これから車で帰るのは・・・きっと僕の部屋  

      僕達だけの『ノアの箱舟』

 

 

******END******

 

 

キリ番3333を踏まれたyou-kaさんに進呈します。

ちょっとリクエストから遠くなってしまったでしょうか?(ーー;スイマセン・・・

怒らないで・・・貰ってやって下さいね(T_T)

「指を舐める」←キリ番3000を踏んだ流花のプチリクエストでした(^^ゞどうよ?

                                suika

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送