My Sweet Honey 

 

 

  「おっはよ〜〜」

  本当はすでに夜で世間で言う就業時間ってのは遥かに超えているけれど、芸能界の挨拶ってのは『おはようございます』なのだ

  「タカミさん、おはようございます」

  顔馴染みの女性と挨拶を交わすのも少しだけ照れ臭い

  お互いのスタッフには信頼している証として『入籍』の事は話してあったからだ

  2人の女性が何か肩を突付き合わせている

  「言いなさいよ」  「あなたが言ってよ」

  「?」

  きっとオレの顔にハテナマークが点滅していたんだろう

  「あ・・あの・・・おめでとうございます。」

  あ・・・・・それね。それを言い出すタイミングをお互い探り合っていた訳か

  「ありがとうございます」

  みんなに喜んでもらえるとは思っていないけれど、こうして祝福の言葉を貰うのは嬉しい

 

  カチャリ

  ドアを開けるとそこに大ちゃんの姿は無くて、代わりにアベちゃんが出迎えてくれた

  「あらぁ・・・まだ奥様は制作活動中よ。何時に終わるかわからないわねぇ」

  「アベちゃん・・・それって嫌がらせ?今日はどういう日か、知ってるよね?」

  オレのささやかな嫌味なんかにはビクともしない、それどころか不敵な笑みを零した

  「知ってるわよ、ダイスケの誕生日でしょ?それが何だってのよ。私の誕生日に仕事を早めに終わってくれた事があったかしら?」

  「そ、、そうだったっけ?」

  「事故起こしてくれるわ、 かと思えば、とんでもない事を言い出してくれるわで・・・

   振り回されてスケジュールがグチャグチャになったなんて・・・誰かさんはそんな事思ってもいないようだけど?」

  「ハハハ・・・オレのせいかな」

 

  「ゴメンね・・・ヒロ。まだ終わりそうにない・・・せっかく迎えに来てくれたのに」

  仕事部屋から出て来た大ちゃんがオレの肩に頭を持たせかけて甘えてきた  

  「うん・・・でも大丈夫、知り合いの店に予約してあるから。ソコ深夜までやってるから・・・でもお誕生日を過ぎちゃうね」

  アベちゃんのあきれたような眼差しを気にしながらも疲れた様子の大ちゃんの髪を撫でてあげる

  「お誕生日は別に良いの。」

  「良いの?」

  大ちゃんがアベちゃんに聞こえないようにこっそりオレに告げる

  「・・・早くおうちに帰って二人っきりになりたい・・・」

  凄い殺し文句に腰が砕けそうになった   そこでキスしなかった自分を誉めてやりたい

 

  それでも、大ちゃんもオレも離れがたくてずっと抱き合ったまま意味も無い話をしていたら

  「あぁ!もう!分かったわよ。お誕生日でも入籍記念日でも何でもやってらっしゃいよ。明日からは容赦しないわよ」

  あきらめの溜め息と共にアベちゃんが言い放った

  アベちゃんの寿命がまた縮まったかもしれない・・・ごめんね

 

  彼女の気が変わらないうちに大ちゃんをさらったのは友人の店だった

  個室に案内にされて運ばれてくる料理に大ちゃんは一喜一憂してくれた

  大ちゃんの誕生日にと友人が用意してくれたロゼ・ワインも嬉しそうに杯を重ねている

  オレはと言うと・・・・

  ・・・渡すチャンスを伺っているのだが

 

  「お誕生日おめでとう」

  ワインが回り頬が少しピンク色になった所を見計らい、胸ポケットから小さな青い箱を出して大ちゃんの前に置いた

  「ありがとう   開けても良い?」

  「良いよ」

  水色のリボンを解いてビロードの肌触りを確かめてから静かに開けた

  「わぁ・・・・お揃いの指輪だね」

  一回り小さい方の指輪を手にとって見た

  アンティーク調のクロスのデザインが施されたシンプルなプラチナの指輪だった

  「大ちゃん、内側見て」

  手の中の指輪を少し傾けてみる

  内側にダイアとサファイアが嵌め込まれ、表とはデザインが異なったクロスが彫られてある

  「ダイアとサファイアはね、『愛の守護石』なんだよ。クロスはね表と合わせてダブルクロス 『二人の愛を守る』って意味があるんだって。 

   ・・・宝石店の受け売りなんだけどね。 バースディプレゼントと言うよりはマリッジリングのつもりなんだけど・・・ダメかな?」

  「ヒロ、左手出して・・・」

  じっと指輪を見つめていた大ちゃんがオレに言った

  言われる通りに左手を大ちゃんの目の前に差し出す

  ペアで並んでいた大きい方の指輪を手に取り、オレの左薬指に嵌めてくれた

  すっと大ちゃんがオレに左手を差し出す

  同じように左薬指に嵌めようとしたが、緊張で指が震える  みっともないなぁ・・・オレ

  「ヒロ・・・本当にありがとう、すっごく嬉しい。ボクね、こんなにヒロに大事にされて貰って良いんだろうか?って思うの・・・

           今もね・・・夢見たいだよ。     」

  左薬指に光る指輪を見つめながら大ちゃんが呟いた

  「夢なんかじゃないよ」

  優しく頬に触れてこちらを向かせればそっと閉じられる瞳

  今にも零れそうな涙を唇で掬い取ってあげる

  「もう・・・泣いちゃダメだよ」

  うん  と大ちゃんは笑ってくれた

  

      離れなければならなかったあの日・・・・

      映像に残ってしまった君の涙・・・

      本当は楽屋に戻ってから2人で泣いたね・・・

      言えない事情が絡み合って・・・

      同じ道を歩けなくなった別々の未来・・・

 

  あれから君もボクも何度涙を流しただろう

  すべてを運命に委ねて待ち続けた7年

  君はオレの『最愛の人』だった

 

  「Happy Birthday my Sweet Honey」 

 

  「オレの為に生まれて来てくれてありがとう」

 

 

 

 *************************************END

 

 

 

  やっぱり大ちゃんのバースデイですから、書かないとアカンでしょ♪って事で。

  まだ「結婚」を引き摺ってますが・・・(^_^;

  これからは「恋人」の二人を書きたいと思います。(でも、「結婚」してる二人って書きやすい)

  みなさんはどちらが良いんでしょう?良ければ教えて下さい<(_ _)>(ってか・・・どっちでも良いのかな)

         浅倉大介さま、お誕生日おめでとう♪ 

                                   suika

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