low voice

 

 

 

クチュ  クチュ ・・・

「・・・クッ!・・・」

ズズッ・・・

「もう・・いいから・・・」

やんわりと制すオレの言葉にイヤイヤと頭を振ると、紅い唇に咥え込まれているオレ自身が見え隠れする

そのあまりに淫靡で卑猥な光景がオレ自身にダイレクトに響いた

「うっ!・・・ゴホッ・・・」

いきなり大きく育ってしまった口内のオレが彼の喉の奥を直撃したようだ

「ごめん!」

彼の目が悪戯な子供を咎めるように見上げた

唇の端からは唾液とオレの体液が混ざり合ったモノが一筋伝っている

そそられる・・・

彼の総てがオレの欲望への誘い水になっていく

オレは彼の唇からいきおいよく自身を引き抜く

温い場所から引き摺り出されたソレは冷たい外気に晒されて射精感とは違う震えを感じた

口内が淋しくなった彼はピンク色の舌でまだ名残の体液を舐めている

その動きに誘われるようにオレは彼に口づけた

いつもと違う粘り気を感じて 

 あぁ・・・と思い出す

自分の体液も彼の唇と共に味わってしまったか・・・と

開かれた唇から舌を滑り込ませれば逃げるどころか彼の舌が待ち構えていた

絡ませて擦り付けられて唇で挟まれて歯で甘噛みされる

今日の彼はどうかしちまったようだ

 

 

 

仕事が終って電話をすると彼も今日は早く仕事を終えるつもりだったと告げられた

「じゃあ、食事しようか?」

話は簡単に決まりスタジオへ迎えに行くと馴染みの女性マネージャーが苦笑しながら待っていた

「何??何か顔についてる?」

「違うわよ。ダイスケが妙にテンションが高いのは誰かさんのせいだったかと思って」

「そうなんだ・・・久し振りだもんね」

「元気?・・・って見れば分かるか。  ヒロが元気ないとこっちのスケジュールまで狂いかねないからね。

 しっかりやんなさいよ!」

一際大きな声で励まされた 

「何でだよ」

僅かな照れ臭さを隠すように憎まれ口を利く

「しーーらない」

カチャリ

「おまたせ」

身支度を終えた彼がオレの前に現れた

「行こうか」

オレと彼が先に出るとマネージャーが事務所の鍵をかけて後を歩いてくる

駐車場に着くと彼はマネージャに『お疲れ様』と一言、言ってオレの車に乗り込んだ

オレは運転席側のドァを開けかけて思い出したように彼女の車に近づく

「アベちゃん、一緒に食事しに行く? とって付けたようで悪いんだけど」

彼女はサングラスをダシュボードから取り出した

「大丈夫よ・・・二人のお邪魔するほど私も暇じゃないのよ。 それより・・・あまり飲ませないでね」

「大ちゃん??」

「そう。どこが悪いって事はないんだけど・・・最近忙しすぎてお酒に免疫がないのよね。もともと強くないし。

 でも、ヒロと一緒だからあまりぐだぐだ言わなくても良いか。   じゃあね」

オレと車の中の彼にも手を上げて、彼女は夜の街へと消えて行った

「アベちゃんに何か用事だったの?」

「ううん。何時に帰せば良いか聞いただけだよ」

シートベルトを締めながらオレは適当に返事をした

「????」

キラキラした目でオレの方へ身体を傾けている彼にいきなりキスをした

「嘘・・・今日は帰す訳ないじゃん」

頬をほんのりと紅色に染めた彼がオレの首に腕を廻す

薄く開いた唇から覗くピンク色の舌がオレを離してくれなくて、自分から離す事も出来なくて・・・

人気のない駐車場に車のエンジン音だけが響く、そろそろ車を出さないと警備員が来るかもしれない

 

どうしようかと迷った挙句、彼の馴染みの店に行く事になった

好き嫌いが激しいからオレの行く店だと出された物を残してしまうのは心苦しいと彼が言ったからだ

 

仕事の話はあまりしない、避けているのではなく今興味を持っている事を報告しあえるのが嬉しかったりする

同じ番組や映画を見ていたりすると『あそこのシーンはね』って確認したり出来る

彼の話を聞くだけでもオレは良い時間を過ごしているんだと思えたりするんだ

 

食事が終ると彼が言った

「次はどこ行く・・・あ・・・ボク、ヒロが行くお店に行きたいな」

「店って・・・飲みたいの? やめておいた方がよくない??」

彼女に言われた言葉が甦った

「ヒロが飲めないから? なんならココに車を置かし貰って明日にでも取りに来れば良いじゃん・・ねぇ」

オレの返事を聞き終わらないうちに店主に約束を取り付けてしまった

何かが彼の裡で燻っているのだろうか・・・?

仕事の事なのか・・・プライベートなのか・・・人間関係なのか・・・オレには見当も付かないけれど

 

程なくタクシーが来てオレ達は店の場所と名前を告げて乗り込んだ

「六本木・・・よく行くの?」

「最近はレコーディングがあるから遠のいてるかな・・・・大ちゃんは行かないんだよね」

「うん。」

夜の闇と店の看板のネオンを受けて彼の横顔が冷たく窓ガラスに映る

今から華やかな盛り場に飲みに行く男の顔じゃないとオレは思った

 

カラン

ドアベルが軽やかな音を立てて客を迎えてくれた

マスターに彼を紹介して一番奥のソファに座った

オレは最近お気に入りの焼酎の緑茶割りを注文する

「大ちゃんは何にする。アルコール少なめの方が良いよね」

「ボクはウイスキーで良いよ」

「ウイスキーーー?!大ちゃん、無理しちゃダメだって!」

「無理じゃないよ、ワインなんかよりこっちの方が本当は好きなんだって・・・知らなかったでしょ」

・・・・出逢ってからそんなモノを飲む所なんて見た事なかったよ  嘘だろ・・・?!

 

 

 

「ヒロ・・・気持ち悪い・・・・」

「?!」

数時間後に洗面所に駆け込み胃の辺りを押さえて床に座り込む彼にオレは溜め息をついた

「だから・・・言わんこっちゃない。飲みなれないのに一気するなんて正気じゃないよ」

「ゴメン」

「タクシー呼んで貰うからココにいて。すぐに来るからね」

胃の中のモノを吐き出せば楽になる事は今までの経験で分かる、あとは家に帰って寝るのが一番だ

今夜 彼を誘ったのは間違いだったのじゃないかとオレは後悔した

「大丈夫??」

洗面所に入ると少しだけ頬に赤みが戻ってきた彼が鏡を覗いていた

「うん・・・かなり大丈夫になってきた・・・無茶しちゃった。ゴメンネ」

「いやいや・・・オレとしてはこんな大ちゃんを見られるのは貴重かもしれないと思ってるよ」

鏡を覗き込んだまま彼は何も言わなかった

「大ちゃん、間違っていたらごめんね。何か悩んでる?今日はずっと妙な感じがしてたんだけど。

オレには言えない事だろうけど、こんな風に自分を痛めつけるのは良くないと思うんだ」

 

洗面所のドアの向こうからタクシーが着いたと告げられた

「行こう・・・送っていくよ」

 

悪寒だろうか、彼の身体が少しだけ震えるているのが伝わる

まさか一人でこのまま帰す訳にもいかない、オレは運転手に彼のマンションまでの道を告げた、

「良いよ・・・もうすっかり元に戻ったから」

「こんなに辛そうなのに放って置けるわけないだろ。あ・・・お願いします」

 

タクシーを降りてオートロックを解除させて中に入る

玄関まで送ろうとオレは思っていた

エレベーターだけが真夜中のマンションの働き者だ

「ねぇ?ヒロ・・・」

「何?」

オレと彼の距離はそんなに離れてはいない・・・小さな声がオレの耳に届く

「ヒロは・・・めちゃめちゃにしたいとか・・・されたいとか思ったこと・・・ない?」

狭いエレベーターに彼の甘くて低い声が響く

「・・・めちゃめちゃって・・・・?それって・・・」

それは性的な意味で・・・?聞き返すのは怖かった

「ボクはあるよ」

彼の瞳がおどおどと揺れている

その一言がオレの中の薄汚れた感情を引き出さないようにグっと抑える

「どうした?今日の大ちゃん変だよ」

さほどの興味も沸かないような素振りで言葉を受け止めない振りをした

エレベーターが彼の階で止まり、静かに扉が開く

部屋の前まで彼を送るとオレの役目は終わりを告げる

「今日はありがとう・・また行こうね」

彼が玄関の中に入るかどうかまでを確認すれば・・・あんな事にはならなかった

 

 

「ねぇ?さっきオレに言ったよね “めちゃめちゃにしたいのか、されたいのか“って・・・」

「・・・・・嘘だよ」

「大ちゃんはしたの?されたの?   教えてよ」

オレは玄関のドアから身体を滑らせ玄関に入り少し震える彼を追い詰めた

毒の花の薫りはきっとこの世のものとは思えないほど甘美なのだろう

一度、嗅いでしまったら  人は破滅するのかもしれない

 

 

寝室の場所なんかとっくに分かっている

手を洗うとか風呂の湯を溜めるとか・・・生活のリズムをすべて無視してオレは彼の身体をベッドに沈ませた

身に纏っているシャツのボタンを乱暴にはじけさせて彼の素肌を露にする

まるで処女のように恥らう彼の乳首を舌で舐め取る

「うぅ・・・・ん・・・」

多分、くすぐったいのと熱いのが綯い交ぜになって彼の理性を少しづつ剥して行くのだろう

「前に大ちゃんをめちゃめちゃにしたのは誰なんだろうね」

オレの頭ン中でジェラシーと言う言葉が渦巻いている

それは負け組の敗北宣言だと今まで思っていた・・オレには無縁のものだと

それが彼のたった一言でこんなにも動揺するなんて

これは確かに“嫉妬“だ

「あれ・・・は・・・んん・・・嘘だって・・・言った・・・じゃ・・・ん」

真っ赤に立ち上がってしまっている両方の乳首はオレの愛撫を待ち望んでいるようだ

「ヒロ・・・・・」

何かを懇願する彼の低い声がオレの身体の中に入り込んでいく

オレの高い声を宝物だと公言して憚らない彼にいつも苦笑するけれど

オレは彼の低い声が好きだ・・・でも、それを告げることは無い

「どうした?」

楽器しか持った事がない彼の綺麗な指がオレのズボンのフロント部分のファスナーを開放しかけている

「ヒロの・・・舐めたい・・・」

潤んだ瞳で懇願される

「・・・うん」

自分でズボンを引き抜くと彼がボクサーパンツをずらしオレ自身を口に含んだ

・・・きっとこれは夢なんだ、あまりにも調子の良い夢なんだ

熱い口内に導かれたオレ自身はその熱で溶けそうな錯覚を覚える

 

クチュ・・・クチュ・・・

普段は滑舌が悪いから舌が短いのかも・・なんて言っているけれど

オレを咥え込んでいるそれは何なんだよ!と抗議したくなる動きをしてくれる

「・・・クッ・・・」

強く吸われるたびに腰が跳ね上がりそうになる

でも、それを押さえるのに必死だ

男としてのプライドって奴がギリギリで感じているのを見せないようにしてくれてる

「ぁぁ・・・・・」

・・・大ちゃん、上手くなったよね

オレはその言葉を口にしかけて踏み止まった

“上手い“って奴はSEXに関しては禁句だ

“じゃあ・・・上手くない人とはSEXしたんだ“って痛くも無い腹を探られてしまう

それに“上手くなった“理由がオレとのSEXじゃなかったらそれはそれで酷く傷付く

恋人同士では誉め言葉にならないのを知った

 

 

「もう・・・いいから・・・」

彼の口から自身を引き出すと名残惜しそうにソレにキスをする

そんな所にキスされて再びエレクトしているオレもオレだが・・・

「めちゃめちゃにされたい?」

彼の背中から腰骨、小さなお尻の窪みに手を這わせながらオレは意地悪く聞いてみた

オレの言葉に彼の身体が小さく震えた

「・・・うん。して」

感情の昂ぶりに答えるようにオレの下半身に彼自身の主張が押し付けられる

吐息を漏らして彼の唇がオレを求める

めちゃめちゃにする返事は彼の唇に吸い込まれた

彼を一度でもめちゃめちゃにした奴がいるなら、そいつよりも凄かったと言わせる自信はあるけれど

ダメだったら・・・オレってひょっとしてネガティブ??

手や舌の愛撫が思考によって疎かになると

「ヒロ・・・・?」

って彼の低い声がオレに投げかけられる

分かってます・・・気がそがれる事なんか無いくらい夢中にしてくれって言いたいんだね?

 

 

 

「イヤ・・・イヤ・・・それは・・・・もうダメ・・・・」

「ダメだよ、大ちゃん   まだ終らない」

どんなに口ではヤメテって言っていてもその身体がオレを離してくれないでしょ

紅く色づいた胸の飾りがオレを誘っている

何度、達したか分からない彼の中心がまだ蜜を滴らせてオレを待っている

注いだ体液を零している蕾はテラテラと光ってまだオレを欲しがっている

 

ホラ・・・今だって猛ったオレを蕾で咥え込んでいるのに薄く目を開けて優しく微笑んでいる

揺さぶり続けるのに必死なオレの耳に時折聞こえる喘ぎ声は演技かもと思う

 

「あぁ!」

意識を軽く飛ばした彼を感じてすでに爆発寸前だったオレの箍もはずれた

「!」

射精と共に・・・みっともないけれどオレの意識も薄れた

 

 

陽春とはいえまだ寒い風が閉め忘れた窓から吹いていた

その微かなカーテンの揺らぎでオレは目覚めた

髪を優しく撫でてくれるのは彼だと薄ぼんやりした頭で理解した

「ヒロ・・・」

当たり前だが二人共身体中がベタベタしている

でも、すべてオレと彼のモノだと思えばそれも悪くは無い

「おはよう大ちゃん  シャワー行こうか?」

ベッドから出ようとするオレの腕を彼が掴んだ

「やっぱ・・・無理? オレが抱いていく?」

覗き込むオレの顔に可愛い顔が近づいた

「すご〜〜く良かったよ」

目覚めたとき特有の掠れた低い声で彼が言った

「?!」

「あれ・・嬉しくないの」

「大ちゃん、その言葉って誰かと比べて“オレのが良かった“って意味?」

お互いに傷付くかも知れないと思いながら出てしまった言葉は取り戻せない

彼がキラキラの目をオレに向ける

「誰かとって・・・誰と??この前のヒロより凄く良かったって言っただけなのに・・・変なの」

「この前のオレとの・・・SEXって事?」

「もちろんでしょ!ボクが誰とそんなことするってのさ!・・・もう信じられない」

一人相撲だったかと呆然とするオレの胸にそっと抱かれながら彼が言う

「いつもヒロは優しく抱くから・・・・・・乱暴に・・・して欲しかった」

 

 

 

『たまには性生活を工夫しなくちゃダメだよね』  

 

言ってるオレが工夫しろ!

 

 

 

 

*********************************************END

 

 

 

 

エロから始まった・・・のに、お終いは笑いになってしまった(^_^;

「大ちゃんをめちゃめちゃ」にしたかったのになぁ(残念)

もっと頑張れよ!HIRO☆

                         suika

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