【love bathtime】






「運転」のスイッチを押すと緑色のランプが付く

次に「自動」のスイッチを押す

赤いランプが付いて炊き口から設定された温度のお湯が出てくる

放って置けば半身浴が出来るほどの湯が10分程で浴槽に溜まる

昔はシャワーだけで済ます事が多かったけれど、今はゆったりと過ごす楽しさも知った


ダイスケはリビングに戻り、読み掛けて伏せたままの本をもう一度手元に引き寄せる

湯が張り終わるまでに読み終わるだろう


♪♪♪♪


バスルームから軽快な音楽が流れデジタルな女性の声が終了を告げた

「あ…あと少し」

こんな事もあろうかと、設定温度は常に高めだ

ラストまで行かなければ気分が悪い


「あれ〜〜彼が犯人? うそ…ヒロが言ってた通りじゃん」

ダイスケは憮然とした



先日、買ったばかりの本をヒロユキが見せてと言い、パラパラとめくると

「犯人分かっちゃった」と事無げに言う

そんな訳無いとダイスケはヒロユキに笑って相手にしなかった

一応参考にと聞いた犯人の名前…


「きっと当てずっぽうだよ」

でも…凄く悔しいのに、次に会う時は嬉しそうに報告してしまうんだろうとダイスケは思う

「次か…次はいつ会えるんだろう」

カウントダウンライブから、また会えない日々が続いていた



もちろん…その理由の大半は自分自身の忙しさだから誰にも文句は言えない

ヒロユキも決まっている仕事は多い

「仕方無いよね」


あとがきまでをキチンと読み、ダイスケはバスルームへ向かった

服を脱いでバスタブに浸かると、ちょうどへそ辺りがチャプンと波立つ

浴暖されているので外気に晒されている上半身も寒くはない

「はぁ…」

漏れるのは溜め息ばかり

「ヒロ」

気付いてしまえば何てことはない

物足りなさは彼がココにいない事




今夜、バスルームに立ち込めるアロマの香りに選んだのはオレンジだっ以前、ヒロユキが気まぐれに購入したものだ

淀んだ頭をすっきりさせるには柑橘系が良いらしい

甘ったるくなく、嗅いでいると鼻の通りが良くなるのもダイスケには嬉しかった

春になる前に敏感になる自分の鼻が恨めしい

「ひょっとしたら…その効能を知ってて買って来てくれたのかな?」


ヒロユキならそんな事当たり前にやってのけてしまいそうだ


数十分もすると熱が下半身から上がり身体中を火照らせ始める

じっとりと額が汗ばみ、そのひとつひとつが大粒になるのに時間はかからない

毛穴が開いて老廃物が流れて行く感覚は本当の所、気持ちの良いものではないけれど

でも、もう少し我慢して一気にシャワーで洗い流した後の爽やかさに代わるものもなかった


ヒロが半身浴が良いと言ったのはいつだったか…

彼が教えてくれる事は何故かボクの好奇心を刺激せずにいられなくて

確かにハズレもあるけれど…


ダイスケはザッと浴槽から出て、勢いよくシャワーのコックを捻る

身体中を包んでいた油染みた汗が洗い流されて行く

一心地ついてから棚にあるシャンプーのボトルに手を伸ばしてから、中が空に近い事を思い出した

「しまった…今日入れ替えるつもりだったのに」

プシュプシュと押しても申し訳程度の液体が出てくるだけだ

「ふぅ…」

ダイスケは観念して裸のままバスルームのガラスのドアを開け、

洗面台の下からシャンプーの買い置きを取り出した

これがヒロユキなら買い置きなど皆無だろう

バリバリの髪のまま寝てしまうとダイスケは思い出し笑いをする


「クシュン!」


ヒロユキの事を笑った罰だろうか

バスルームの中と外の微妙な気温の差を感じ肌が粟立つ


髪を洗い、再びシャワーが頭から滴り落ちる瞬間

ダイスケは違和感を覚えた

下を向くと胸元の小さな飾りが尖って水の愛撫を受けている

先ほどバスルームから出た時に粟立つ感じはこれだった


…触れられたいのは水じゃない

ダイスケは唇を噛んだ




「はぁ…ぅ…」

指先を掠めては戻し、滑らせては摘む

そこだけ違う欲を求める

忙しいからと言って性欲を見ない振りしている訳じゃない

人間はいつでもサカル事が出来る動物だ


目を閉じて愛撫を続け、やがてそれは自分の手指では無くヒロユキの動きに似せ始める


「…んっ…ヒロ…」

彼ならばこうしてくれるだろう

と、無意識に腰を揺らす

ギリギリの所で下半身に手を伸ばすのを躊躇った


「ダメだって…」

少し淫らにこぼれる吐息の中、なけ無しの理性と闘った



シャワーの温度を低くして頭から被る

単調な水音だけがダイスケの耳に響いて行く

何も考えたくない…

喉の乾きを潤そうとバスルームのドアを開けた


「ヒ…」

ヒロユキがダイスケの目の前に立っていた


ヒロユキの視線が濡れて光る下生えに留められる

その中で僅かに勃起した痕を見られたようでダイスケは慌てて隠す

「何やってたの?あんなイヤらしい声バスルームに響かせて…」


ヒロユキの長い指がまだ乾く気配も見せない胸の小さな尖りに伸びた







「ただいま」

っと…

自分の家じゃないのにただいまは変だろ

ヒロユキは笑った


「大ちゃん?」


すぐに笑顔で抱きついてくれる、この家の主がいない


リビングに入っても姿は無く

と言って、部屋の電気を付けたまま出掛ける彼ではない

テーブルに推理小説が置かれている

しおりが最初のページに挟まっているのは読み終わった証拠だ

犯人が誰だったか後で聞いてみようとヒロユキは思った


ジャケットを脱ぎソファに無造作に乗せた

「…ちゃんとしとかないとまた叱られるな」

皺になるから袖や裾をキチンと伸ばさなきゃダメだよ

可愛い小言が聞こえないのが一抹の寂しさを感じさせた


「大ちゃん〜〜?」


リビングを出てダイスケを探し始めた

何10室もある訳ではないから、すぐに見つけられる

寝室…キッチン…ワンコ部屋…クローゼット…客室…書斎…トイレ

「風呂か…」

分かっていてバスルームを探すのを最後にしたような気がする


洗面に通じるドア越しに水音が聞こえていた

…急に声をかけて驚かせてやろう

ひょっとしたら驚いた大ちゃんが濡れた素肌のまま笑いながら出てくるかもしれないと

ヒロユキに悪戯心が芽生える

それは、小さな小さなモノだった


ヒロユキは洗面所のドアノブをゆっくりと回しながら慎重に押す

キイッと蝶番がきしむ音がダイスケに聞こえてはいけない

中に入る時の足音にさえ気を使う

彼はわずかな空気の流れさえ感じとってしまうから…


ガラスのドアを叩いた方が良いのか

いきなり声を掛けるのが良いのか

思いを巡らせていたヒロユキの耳が微かな吐息を捉えた


「…?」


それは中にいるダイスケのものであきらかに色艶を含んでいる

狭いバスルームに反響して、必要以上に大きく聞こえているのをダイスケは知らないだろう

「ぁあ…はん…」


ヒロユキは戸惑った


もしかしたらダイスケの他に誰かがいるのかと邪知したけれど

脱衣籠を見てもダイスケの脱ぎ置いたモノしか見あたらない


それほど、ダイスケの自慰行為はヒロユキの頭の片隅にも存在していなかった


…オレで満足してないのかな?


「あぁ…ヒロ」

一際大きな喘ぎの中に自分の名を呼ばれて、ヒロユキは熱が一気に雄へと流れて行くのを感じた

ガチャリ

と、ガラスのドアがいきなり開いた


頬を上気させ、光る水の粒で肌を飾り付けたダイスケが現れた


甘い吐息をこぼした唇…

胸の尖りは紅く色づき今にも熟れて密を滴らせそうだ

下生えの中に僅かに勃ち上がりかけているダイスケの雄

ヒロユキは全てから目が離せなかった


「ヒロ!」


驚きながらヒロユキを見つめるダイスケの瞳の中に

…小悪魔が潜んでいた



欲しているモノが目の前にあるのに、くだらない問いかけや疑問を口にするのは愚かな事だ

ヒロユキがダイスケの胸の熟れた尖りに指を這わせると同時にダイスケの腕はヒロユキの首に絡みついた

二人はもつれるようにバスルームの中へ…


ダイスケは自らヒロユキの唇に口づけた

一人で弄んで得られるる快感はやはり偽物だ

互いに熱をはらんだ生身の身体をぶつける事で生まれるモノこそが本物

口づけは角度を変えて深さを変えて舌を絡ませて…

唇は二人にとって言葉を紡ぐモノでは無くて、一番明確に欲を伝えられる身体の一部

ダイスケの胸元をまさぐっていたヒロユキの指先が熟れきった小さなつぼみを摘んだ

「…イタイ…」

自分で愛撫を繰り返したソコは抱き合うヒロユキの着ているシャツが触れるだけで感じていた

そこを強く摘まれてはダイスケも喘ぎを我慢する事はできなかった

「…ん…ヒロ」

「…したい?」

唇から項へ舌を這わせてヒロユキが囁く

ヒロユキの声が身体中に染み渡り、甘い疼きを確信してダイスケは目を閉じた

…正気じゃいられない

「欲しい…ヒロが一杯欲しいよ」

すでに羞恥心さえ無くして硬く勃起した自分の雄をヒロユキの腰に擦り付けた

「ベッド行こうか?」

「ここで良いよ…もう我慢出来ない」

「ok!」

薄く開いた唇の奥に隠れていたダイスケのピンク色の舌を味わうかのようにヒロユキはまた口づけをした


ダイスケはヒロユキに胸をまさぐられたままゆっくりフロントに手を伸ばしファスナーを下げた

ジジッと金属の触れ合う音がバスルームに響く

ダイスケの繊細な指で性器が引き出されると思うだけでヒロユキのソコに快感が集まる

「だぁいちゃん」

名前を囁かれてダイスケは顔を上げた

その潤んだ瞳に欲情の炎がチリチリと見え隠れして、ヒロユキはすぐにでも身体を繋ぎたくなる

前立てから下着の中に手を差し入れ優しくヒロユキの雄が引き出されると

すでに硬くなり上を向きつつある

手の平に収まらないその雄をダイスケは少し乱暴にしごいた

「んふっ…!大ちゃん」

思わずヒロユキが腰を震わせ喉を鳴らす

尚も手の動きは止まる事なくヒロユキの五感を操る


最初の頃のダイスケはただ抱かれるだけの人形だった

ヒロユキが与える快感に身体を委ねるだけで、自分からヒロユキの雄に触れる事すら恥ずかしがっていた

性に関しては幼かったダイスケが…

楽器を操る精巧な指でヒロユキに快感を与え始めたのはいつだったのか

狂い出す頭の片隅でヒロユキは目を閉じ、思い出そうとした


「?!」


急に猛り狂う雄を放り出され

瞬間、暖かいモノの中に雄が包まれ手の代わりに妖しく複雑に動くモノに絡め捕られている


「あぁ!」


目を開ければダイスケが膝まづいてヒロユキの雄を自分の咥内に導いていた

己の雄に縁どられているダイスケの小さな紅い唇

そのコントラストの卑猥さにヒロユキは目が眩んだ


「大ちゃん…」


…こんな事まで教えたかな?

まっ、気持ち良いんだからOKじゃん


ダイスケの舌が与えてくれる愛撫の一欠片さえ逃さぬように、ヒロユキは快楽に素直になろうと思い思考を止めた

狡猾な舌にとうとう雄が耐えきれずダイスケの口腔内に精を吐き出す瞬間、ヒロユキは思った


…このお返しはたっぷりとしてあげるからね




人目に晒されない身体の粘膜は湿り気を帯びるとピチャピチャとイヤらしい音をたてる

さっきの仕返しとばかりにヒロユキはダイスケの勃起した雄をしごいた

「んうん…ヒロ…ヒロ」

まだ着たままのシャツの上から強い力でヒロユキの肩にすがりつき、

知らず爪が食い込んで薄く血が滲んでいるのにも気付かなかった

ダイスケの雄の先から滲んできた滴りをヒロユキは指の先に擦り付け

そのまま後ろの秘部へと滑らせた


「あ…待って…待っ…」


早くイキたくて愛液を滴らせたまま放り出された雄をダイスケは持て余しながらも、

後ろに咥えこまされている秘部の襞とヒロユキの指がたてる音がダイスケの精神を崩してゆく

「あん!イイ!…そこ…」


秘部を蹂躙していた指がダイスケの感じる部分を擦り上げる

ダイスケの全てを知っているヒロユキにはたやすい事だった

でも、ダイスケが上げる艶を持つ喘ぎ声にヒロユキは吸い込まれそうになるのを押し止めるのに必死だった


…大ちゃん、どうかしちゃった?


「ヒロ…早く」

その一言でヒロユキは抵抗するのをやめた

むしろ、欲望のまま走る方が自分らしいと思える

秘部を掻き回していた指を抜くと、身体を繋ぎやすくする為ダイスケの片足を高く上げさせた

可愛らしくそそり立つダイスケの雄の奥にピンクの襞を濡らした秘部が見える

ヒロユキは吐息を吐く目の前の唇に深い口づけをして甘い快感の訪れが近い事をダイスケの身体に教えてあげる

「ん…ヒロ…早く」


「all right!!」


女と違いすぐに呑み込んでくれる場所ではないから、立ったまま挿入するのは難しい

ヒロユキは自分の指をダイスケの秘部に宛がい少し開き気味にさせ己を挿し入れる


「いい?」


そんな事はいちいち断らなくても良いのにと…言葉じゃなくダイスケの腰がヒロユキに雄に押しつけられた


今夜のダイスケは奔放すぎてヒロユキの手に余る


ヒロユキは短く息を吸い込むと一気に腰を押し進めてダイスケの秘部に突き立てた

「んぅ!…あ!…イヤ…あぁぁん!」

最初は口を閉じて快感に耐えていたが、叫び声を上げた後は閉じる術さえ忘れたように

官能的な声でヒロユキの雄を煽りたてる

ヒロユキの激しい抽送に耐え切れずダイスケは手を尚も強くヒロユキの首に巻き付けた


「ヒロ…どうか…なり…そうで…怖い…んぅ!」


「大ちゃん…オレも…」


お互いを繋いだ場所から聞こえる粘膜を嘗め合うような音と快感を伝え合う喘ぎが狭いバスルームに響く

それが益々ヒロユキの雄を刺激してダイスケのナカを抉っていく

雄を出し入れされる度ヒロユキのシャツにダイスケの紅く熟れた胸の尖りが擦られ、

空気が触れるだけで達してしまいそうな位敏感になっている

そこをいきなりヒロユキの指先に攻められた

「ひっ!…」

短く喘いでダイスケは自分とヒロユキの腹に精を吐き出した

咥え込んでいる内がキュッと狭まりヒロユキを締め付けた瞬間

ヒロユキも精を吐き出す


腹から繋がった部分から白濁した精が滴り落ち、履いたままのヒロユキのジーンズを汚していく

冷静になった頭のどこがで生暖かい滴を気持ち悪がるヒロユキがいた

でも、ダイスケの中から抜くなどとは微塵も考えられなくて…

再び快楽の波に呑まれていく


「…まだ…まだダメだから…」


「足…痛い…引き吊ってる」


ダイスケが喘ぎの合間に辛そうな顔をする

ヒロユキは自身の雄が抜け落ちないように力を入れて、ダイスケの柔らかな尻を抱え上げた

「…足オレの身体に巻き付けて良いよ、少しは楽になるかもしんない」

そうっと足を上げながらダイスケが吹き出す

「これって『えきべんスタイル』? …恥ずかしいよ」

「そう?たまには新鮮じゃない」

「もう…あん」

この体勢では落ちそうな気がして、汗が吹き出た身体をヒロユキにしがみつかせる

ヒロユキはその重みを受け止めてまた深い部分を抉る


…大ちゃん、一緒にイコウ


ヒロユキの腰の動きが激しくなると同時に一際高い叫びがダイスケの口から発せられた




やっと身体を離したヒロユキは浴室の床に座り込み肩を上下させ息をついていた

同じようにダイスケも座り込み半ば放心状態になっている

「大ちゃん…大丈夫?」

「うん…多分ね」

「今日さ、どうしちゃった訳? その…激しいって言うか、凄いって言うか」

「ボク?」

「オレ?」

二人顔を見合わせて笑った


まぁ…こんな日もあるかな


「ヒロ…服脱いでお風呂入りなおそうよ」

そう言ってダイスケは゛追い焚き゛のボタンを押した

…また密な時間が始まりそうな予感がする

「また違う汗かかしたらごめんね」


ヒロユキはバスルームにいる恋人に思いを馳せ、生臭い体液まみれのシャツとジーンズを脱ぎ捨てた





◆◆◆◆◆ END








『官能小説』目指しました←目指さなくても(吐血)

suika


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