〜 檸檬 〜





「信じられない」

今まで沢山の女性達に言われた言葉だけれど、義理とは言え妹に言われたのは少なからずショックだ

「何怒ってるの?」

訳が分からず焦るオレの傍らでは少しぐずる娘をあやしながら大ちゃんが苦笑している



今夜は例のラジオの日

数日前から風邪気味の娘を仕事の現場に連れて行く訳にはいかないと大ちゃんの妹さんに応援を頼んでいた

快く引き受けてくれた彼女に娘を託しサクッとラジオをこなし帰ると・・・

「信じられない」

「えぇ・・・何? どした?」

オレの声で寝ていた娘は目を開ける

途端に軽く咳き込み泣き始めた

身体がだるいのとパパとママの顔を見て安心したのとで気持ちが緩んだんだろう


「ママ・・・こんこんでゆ」

大ちゃんが優しく抱き上げると今の自分の症状を訴える

「そっか・・・お咳出て苦しいの? でも、パパとママが来たからもう大丈夫だよ」


オレ達が居るからって娘の風邪を治してあげられる訳じゃない

それでも子供にとって親が側に居てくれるのはどんな薬にも優る

背中を軽く撫ぜてあげると安心したのかまぶたが降り始めた


「で・・・何が信じられないって?」

少し声を落とし憤慨する彼女に尋ねた

「今日のラジオ・・・下ネタ満載だったわね」

「あぁ・・・まあ、その、生放送の勢いって言うか・・・何ていうか・・・」

「普段のヒロさんが出たって感じ」

「良いんだよ! ファンの子が喜んでくれるんだから」

「ほう・・・」

彼女の目が何か言いたげに細められた

「愛がね〜身体がダルいのにラジオの時間になるとパパとママの姿を見たいからパソコンの前に座るのよ

 混んでる回線をやっと繋げて見れば・・・あの放送」

「愛・・・見てたんだ」

オレの背中をツーと寒気が走る

「楽しそうに見てたわよ・・・でも、何回愛の耳を塞いだか」

「すいません」

こうなると素直に謝るしかない

アハハハと彼女は笑う

「私はすっごく面白かったけど」

「そんなにヒロいじめちゃダメだよ」


「アハハハ、だってさヒロさんってからかいたくなるのよ」

「からかってたんだ」

「そうでもないけど。で、お兄ちゃん! 何アレ? 茹で卵もろくに剥けないなんて信じられない!

 子供に卵剥いて〜ってせがまれたらどうするの?」

矛先は大ちゃんに回って来た

と言うより妹としての素直な感想だろう

「アレはさ〜剥きにくい卵だったんだよ」

ねぇ・・・と胸で眠る娘に小さく問い掛けた

うっすら目を開けた娘はママの笑顔に安心して再び目を閉じる

「まぁね・・・ママがお料理下手でも2人のおばあちゃまが手ぐすね引いて待ってるでしょうけど」

「ありがたい事です」

そう茶化してオレは大ちゃんと微笑みあった

オレの娘はたくさんの人達から愛情を注がれている


太陽が降り注ぐ南国にたわわに実るlemonのように・・・





●●●●●● おわり


何かしまらない内容ですいません(-_-;)

suica


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送