君と・・・・・




  * 7 *



「おはようございまっす」

「おはよう」

2人がスタジオに入るなりアベに捕まった


「…夕べよくも抜け出したわね」

ダイスケでなくヒロユキに詰め寄る

「いやあ〜〜アベちゃんの方が主役みたいだったからさ」

「当然でしょ、私なくして成功は有り得ないわ」

「そうそう…だからこそ、アベちゃんの方が相応しいと思って。大ちゃん連れ出しちゃった」

「まぁ良いわ…機嫌が良さそうだからね」

ヒロユキの隣でダイスケが笑っている

スタッフがダイスケを呼ぶ

「先に行ってるよ」

「すぐ行くから、待ってて」

アベとヒロユキはダイスケの背中を見つめた

「大ちゃん…そんなにヤバかった?」

「ずっと…酷かったのよ、見ていられなかった。あれでよく仕事が出来ていたと思うわ。」

「そうなんだ」

「いっつもそう! ダイスケが凹むのも無茶するのも復活するのも全部ヒロ絡みなのよ!わかってる?」

「…なんとなく」

「なんとなく…は、わかってるのね」

なんとなくでやれてしまうのがヒロユキの凄い所だ

アベは感心した

「だから、私もあまり心配しないようにしたわ。だってどうする事も出来ないからね」

「オレ次第か…」

「って事で…よろしく!さっ、リハーサルよ」


久しぶりのライブはもう目の前だ




「ヒロ……起きて」


って、カワユク囁く大ちゃんの身体にちょっと悪戯しちゃおうかな

まだ眠いオレは手だけブランケットから出して大ちゃんの方へ伸ばす

サワサワ…


「何だ大ちゃん もう出掛ける支度したんだ…? 毛皮かな」

んっ…

確かに毛皮だけど、その下まで柔らかすぎないか?

ヒフ?

「ヒロ…起きてってば」

触っていた身体がのそってオレに覆いかぶさったかと思ったら鼻の頭を…嘗められた

あぁ…そうだった

カウントダウンライブを無事に終え、高揚した気持ちのまま打ち上げへ…


…久しぶりのライブ

あの状況下で新曲を披露出来たのはaccessとしてのプライド

それに気持ちを集中させすぎたのか他の歌詞がボロボロだった

そんな失敗をスタッフに笑われたり、楽しい宴の気分を引きずったまま大ちゃんの部屋へ…

「嘗められてる…オレ」

大ちゃんはキスしてくれるけど流石に嘗めたりはしないよな


とうとう観念したオレは目を開ける


「おはよう…アルー」

目の前には可愛らしい茶色の毛の塊


「違うよヒロ…アニーだよ」

そうなんだ

イマイチ見分けが付かなくて…


「おはよう…アニー」

「ウワン!」

可愛らしいワンコの隣には、もっと可愛らしい金髪の恋人

「おはよう…ヒロ」

腕をオレの首に巻き付け本物のキスをしてくれた

「やっぱり、こっちのが良い」

「何が?」

犬好きに逆らうのはやめよう

「早いね」

「お散歩行って来たんだ。何だか気持ちが高ぶって寝られなかった」

「そう?じゃあ、これは」

オレは大ちゃんの腕を引っ張り胸に抱き寄せた

「同じだよ」

笑いながら、それでも離れる事はしない

「そうか…まだまだ頼って貰える存在にはなれないか」

もっと、頑張らないとな…


 


ヒロユキの胸に抱きしめられながらダイスケは夢見る

…このまま、ずっとヒロのそばにいたい


君の両側は誰のモノでもない

カウントダウンライブで強く確信した

愛する事

信じる事

支え合う事


「これからもヒロの事で悩まされるのかな…」

「おっと…そう来るか。嫌?」

「ううん…嫌じゃないヒロといると楽しいよ、何が起きるか分からなくてワクワクする」

「大ちゃん、手出して」



ダイスケが差し出した手をヒロユキは強く握りしめた


「オレ…フラッてどこか行っちゃうから…ずっと握ってて」

「ずっと?」

「そう。ずっと…一生握っていて。どこに行こうと、必ず大ちゃんの所に帰って来るから…

 信じてくれるなら…離さないで」

「ヒロ」

握り合った手の甲にダイスケはキスをした

それを感じ取りヒロユキもキスをする

「これ、誓いのキス?」

「ボクはヒロに傷つけられても悲しくない…だから側に居て」


「大ちゃんを傷つける。そんなオレはこの世には居ちゃいけない

 オレは君を守る為にココに居るんだからね」

うんうんと…ダイスケは頷く

俯く頬に光る涙はヒロユキを照らす

…君だけが愛の光

…僕を灯す愛の一欠片

ヒロユキはカウントダウンライブで披露した新曲を口ずさむ


「これからも詩は全て大ちゃんを思って書くよ」


「…言って」

「何?」

「歌じゃヤダ…ちゃんと言って」

ベッドの横でおとなしく待っているワンコに遠慮しながらヒロユキはダイスケの耳に唇を寄せた


「大ちゃん、愛しているよ」

「愛している…ヒロ」


…君と生きたい

…君と行きたい

…君と逝きたい

…君と永遠を



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