『家族の肖像』 〜アベの優しい時間〜





「アベちゃん! 撮って、撮って」

先ほど撮った映像を保存していたアベは声をかけられ、反射的にデジカメを向けた

ファインダーの中に納まっている3人を見て思わず笑みが零れる

「愛、あのカメラ見て。 あーちゃんがいるよ」


−−その呼び方やめてよ・・・ワンコと同じじゃない−−


デジカメを撮りながらアベはダイスケに愚痴る

「だってさぁ〜愛がわかりやすいように呼ぼうと思ったら‘あーちゃん’になっちゃったんだよね

良いじゃん、可愛らしくてさ」

ヒロがのほほんとアベに言う


−−可愛らしいって・・・−−


まだ口ごもりながらファインダーを覗く


−−あれ? ちょっとご機嫌ななめ? さっきまでのイベントはノリノリだったわよ−−

「違うの。 イベント終わって楽屋に戻って来てすぐ抱っこして貰えると思ったら、

アベちゃんがムービー撮るからって2人してソファに座ってしまったから。 

ちょっぴり淋しかったんだよね?」


−−そっか、それに愛の声が入らないように隣の部屋に行かせてしまったから。 ごめんね、愛−−


「どうする? あーちゃんが謝ってるよ。 でも、怒ってないよね?」

ヒロユキが愛に聞いた

‘あーちゃん’

ダイスケに抱かれている愛が私に笑顔を見せくれてる

あぁ・・・もう、いっか。 何でもいいや

アベはとうとう観念した


−−愛、今日は何してたの?−−


「ボク達が会場の中に入ってしまってから近くをお散歩してたらしいよ。 ね?」

面倒を見てくれたスタッフから聞いているんだろう

ママは何でも知っている

「ホント? こんなに暑かったのに」

パパは何も知らない


−−帽子被せてるに決まってるじゃない−−


「上の観覧車にも乗ったんだって」

「わぁお! 本当! 凄いね。 怖がらなかった?」

近くで世話を頼まれたスタッフが大丈夫でしたと答えている


−−まぁ、ヒロの子だからね−−


言われている本人はダイスケの耳元で揺れるピアスが気になっているらしく

しきりと手を伸ばそうとしている

「あーーあーー」

コレ?とダイスケが愛の目線にまで姿勢を低くする

「キラキラするの好きだから。 でも、引っ張ったらダメだよ、ママが痛がるからね」

ヒロユキがやんわりとピアスを触る愛の手を包み込む

そんな一瞬をデジカメに納められて良かった


−−他はどこか行ったの?−−


「ペットショップで仔犬を触らせて貰ったんだって」

あーちゃん

愛が可愛い声で答えてくれた

このあーちゃん≠ヘアサクラ家のワンコの事だろう

−−あぁ、やはりその呼び方微妙だわ−−


「アベちゃん・・・イヤそうだね」

ヒロユキが面白そうにアベを指差す

そんなパパの腕に掴まって愛は必死で立とうとしていた


−−あらら−−


「ソファが柔らかすぎて足に力が入らないんだろうね。 頑張れ、頑張れ」

ヒロユキの眼差しは娘に注がれ両の手はソファから落ちないように支える格好を崩さない

簡単に手を差し出したりはしないけれど、ちゃんと陰で支えている


「よいしょっと」

ママの掛け声でちゃんと立てた愛は目線が合うのが嬉しくてパパの顔を覗き込む

「なんだい?」

それに応える様にヒロユキも愛の顔を覗き込んでにらめっこ状態になった

娘を見つめるヒロユキの蕩けそうな表情



ファインダーの中に広がる可愛くて優しい時間

特別な事ではない

当たり前な日常に生活のひとコマ



アベは不意に鼻の奥がツンとした


−−この後はどうする?−−


黙っていると涙が零れそうだった

「今日はもう家に帰っても良いかな? 愛も、もう寝かさないと・・・」

−−そうね。 明後日ラジオの生放送があるから。 打ち上げはその時に−−


「今、撮ったのDVDに焼いてね」


−−分かってる−−


「アベちゃん」


−−ナニ?−−


ダイスケがこっそりアベに囁いた

「ボクは幸せだよ、ヒロがいて、愛がいて・・・アベちゃんがいてくれてさ」


−−私も−−



あなた達に出会えて良かった

人は誰でも一人っきりで生きる事など出来はしないのだから

この幸せな家族の今日のひとコマでも映像に残せて良かった






**************************終






PGのムービー見ながらこんな事思っていました

確かにあの場所に愛ちゃん≠ヘ存在していたのです

BBニッポンのラジオの「子供はいるから」発言は嬉しい反面怖かったです(苦笑)

「幸せな家族」一緒にいる事が素敵なんだと思います(珍しくマジトーク)

                       suicaではなくsuikaですから!(爆)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送