百花繚乱






「結婚しよう」


「………………………………はぁ?」


ダイスケはソファに寝そべっていた体を起こし、ついには正座してしまった


「今何つった?」


向かい合うチェアに座って涼しげな顔の彼に聞いた


「だから、結婚しよう」


そんな難しい事じゃないよと言いたげな表情だ



「誰と誰が?」



「もちろん、オレと大ちゃん」


ダイスケの頭に過ぎるのは

"一か月遅れのエイプリルフール?"

"何かの罰ゲーム?"

"長年の親友の結婚に触発された?"

"ボクをからかってる?"


頭に物凄いクエスチョンマークをつけたダイスケにヒロユキは優しいまなざしを向けた


「オレも今年40になるから、けじめつけなきゃなぁ〜って思ってさ」


「けじめ…って」



ダイスケはそこで絶句した


今までそんな事望んだことは無い


いい年だからって言う言葉が一番嫌いだった


「その言葉、彼女に言ってあげた方が良いんじゃない?

ボクと結婚なんて冗談にもならないよ」


そうさ、男同士で結婚なんて茶番すぎて笑えやしない


ダイスケはいたたまれなくなり部屋を出ようとした


「大ちゃん、夜桜見に行こうか?」


「?」


昼間、ワンコ達を連れて満開の桜を見に行ったピンク色の花が美しすぎて溜め息が出そうで、


ヒロユキと一緒に陽の下で歩きたいと何度も思った


でも、いきなり誘われて天の邪鬼なダイスケが姿を現す



「それもやだ?」


「……行きたい」


「OK!気が変わらないうちに行くよ」


あ、その笑顔ムカつく




春とはいえ花冷えの言葉があるように上着は必需品だ


都内でも絶品と言われる桜の名所に行く


川沿いの桜並木がライトアップされて昼間とは違う表情を魅せる


どんな花も美しいが桜は本当に神様に愛されている


負けず人の数も多いけれど皆が桜に魅了されているのだから


男同士が歩いている事に目を止める人はいない



「綺麗だ…毎年同じ事言ってる気がするけど、やっぱり綺麗だね」


「昼間の桜は青空とのコントラストが絶妙だったけど、夜桜はまた違う美しさがあるね

魂が宿ってる気がするよ」


「うん、だから結婚しよ」


「だぁかぁらぁ、どうしてそうなる?」


ダイスケは否定するよりあきれた


薄桃色の花びらが風に舞ってダイスケの肩にひとひら落ちて来た


「春に夜桜見る度にプロポーズした事思い出すよね

うんうん、我ながらロマンチックだ」


ダイスケの呟きなど聞こえないようにヒロユキは言葉を続けた


「これは大ちゃんへのオレの誠意だよ。 ずっと想ってくれてたでしょ?」


「ずっとじゃないよ」


恥ずかしそうにそっと横を向く


「6月3日のオレの誕生日に籍を入れようね。良い?」


多分…これは夢なんだよね


叶う訳が無い


だったら嘘で良い


「ヒロと結婚出来るなんて思いもしなかった。

本当なんだよね? ずっと一緒に居られる?」


「もちろん」


「来年も再来年もこうやって桜見に来れる?」


夜風に負けて、ひらひら散り出した薄桃色の花びらを受け取ろうと手を差し出した




・・・・夢の夢だから覚めないで・・・・






※ ※ ※ 終 ※ ※ ※






桜の魔力に負けてこんなの書いちゃったよ(^^;)

エロくも可愛くも無いや( ̄○ ̄;)ヤバい


suica



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