*** 抱きしめたい *** 今年を漢字1文字で表して色紙に書いて下さい ・・・カウントダウンライブの会場に着いた早々ラジオ局のスタッフに言われてしまった 「漢字1文字かぁ・・・」 リハーサルを終えた楽屋で色紙を見ながらオレは頭を巡らす 世界情勢を考えようか・・・ 国内に目を馳せようか・・・ はたまた地球規模で決めてみるか・・・ どれにしてもあまり明るい話題はない 環境汚染も進んでいる まだ戦争をしている国がある 人の命が簡単に奪われてしまう 「はぁ〜」 「何？ ヒロ、どうしたの」 溜め息を吐くオレに大ちゃんが不思議そうな顔を向ける 「これさぁ難しくない？ それを選ぶには意味が必要だよね」 「そうだね・・・でも、普通に考えた方がスッと出て来るよ」 「大ちゃんは書いたの？」 「まぁね・・・」 そう言いながら、妙にそわそわして落ち着かない 「遅いね・・・何かあったかな」 もう待てないと椅子から立ち上がった瞬間にドアが開いた 「お待たせ〜」 「マァマ」 アベちゃんの腕に抱かれているのはオレ達の大切な宝物だ 「愛！」 娘を受け取ると大ちゃんはギュッと抱きしめた 帰りが深夜になるから幼子を連れてはダメだと最初は躊躇したけれど、どうしても同じ空間で新年を迎えたかった しかし、同時に楽屋口から入るのはためらわれ悩んだ末アベちゃんに娘を託したのだ 「ごめんね〜都内は良かったんだけどこっちに入るに従って渋滞にはまっちゃったのよ」 いつになくアベちゃんが申し訳なさそうだ 人の子を預かるのは想像以上に大変なんだろう 「今夜は色んなイベントがあるもんね」 「パァパ」 数時間しか離れていないのに込み上げるような愛しさはなんだろう 大ちゃんも同じ思いで娘に話しかけているのかもしれない 「外は寒かったね〜今日はみんなで新しい年を迎えようね」 娘はニコニコと大ちゃんの話を聞いている 大ちゃんの腕から降りた娘がオレの側に近寄って来た テーブルの上の色紙を新しいおもちゃと思ったようだ 「あー？」 「これはね・・・こうやって・・・こう・・・」 オレは一枚捨てるつもりで色紙に娘の名前を書いて渡した 「あ・い・って書いてあるんだよ」 「あ・い？」 「そうそう！ 上手に言えたね」 「あーいー」 「いや・・・伸ばさなくても」 得意気にアベちゃんの所まで見せに行く 「可愛いわねぇ」 苦笑しながらアベちゃんが舞台進行の様子を見に部屋を出た 「マァマー」 次は大ちゃんに見せる 「あい！」 「偉いね〜自分のお名前言えるようになっちゃった・・・でもって、パパの字は上手いね〜凄いね」 「しゅごい〜」 可愛い大ちゃんと娘から羨望のまなざしで見つめられ悪い気はしない 「ん？ ママも書くの？」 新しい色紙を大ちゃんに渡しながら何かをせがんでいるようだ 「え〜何書こう？ ねえ、ヒロ？」 助け船を出されてもオレは笑って見ていた 娘のお願いは聞いてあげるべきだよ 「もう！ 意地悪なんだから！」 ぷうと頬を膨らませ必死で考えている 「え〜どうしよう」 「マァマー」 娘が上着のポケットから何かを取り出し小さな掌に乗せた 「あぁ・・・それだね」 「森？」 「森・・・ゾー。ダメかな」 夏のライブで見てから山のように送られたあのキャラクター その中の小さな彼が娘のお気に入りだ 「ゾーゾー」 困惑する大ちゃんから渡された色紙に娘は満足そうだ 「愛が喜んでるならＯＫだね」 アベちゃんが楽屋に戻って来た 「そろそろ仕度始めてね。色紙は書いた？ もうこっちには戻れないわよ」 「うっそ！」 オレはもう一度色紙とペンを持った 「決めた？」 娘と遊んでいる大ちゃんに声を掛けた 「うん。ボクはこれで良い」 「森？」 「森ゾーってだけじゃないよ、自然は大切にしなきゃダメだと本気で思うし。愛もそう思うよね？ ね〜〜〜？」 「ね〜」 2人顔を見合わせて微笑む それを見ているオレまで頬が緩んでしまう 「決めた！」 手元を除きこんでからオレの顔を見る大ちゃんの瞳が揺れた 「ヒロ・・・いいの？」 「これ以外に考えられないよ」 キュッキュッとペンを動かす 「お〜完璧」 そんなオレを娘を抱いた大ちゃんが優しく見つめてくれている 「次、出番よ！」 「ＯＫ！ 愛・・・行って来るね」 手を振る娘にキスをしてアベちゃんに再び託す そして、オレと大ちゃんはプロの顔つきに変え楽屋を出た 「・・・娘の名前まんま書いてる。ヒロらしいわね」 「あ・い」 ☆☆☆☆☆☆☆終 |
カウントダウンでヒロの色紙見た瞬間、倒れそうでした(^^;)
アハハハ←乾笑
Rillaさんにヒント頂きました・・・テヘッ(^_^;)
suica
| SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||
