Call me 【敏腕マネージャーの苦悩・・・番外】
車から颯爽と降り立った美女・・・私は人気ユニットaccessの敏腕マネージャー
今日はダイスケへ依頼されたCM会社の打ち合わせを終えてスタジオに戻ってきた所
今からダイスケと一緒に明日ライブが行われる○●市に向かわなければならない
すでに先輩方は前乗りしているから、後はダイスケ待ちと言う事らしい・・・
「お疲れ〜」
スタッフに声を掛けながらテキパキと机の上の書類に目を通して行く
デキル女はそれくらい当たり前な事だから・・・
「ダイスケ、すぐに出発する・・・どうしたの?」
スタッフ全員が遠巻きに何かを見ていた・・・アベも首を伸ばしてソコを覗いてみると・・
「何やってるの?」
ダイスケは電話を前にして・・・と言うより電話を抱え込んでソコから動く気配も見せなかった
「ちょっと!何してるの?もう東京駅に行く時間よ」
私の声なんて聴こえもしなかったように電話を見つめている
「いつからあんな風?」側にいた女の子に聞いてみた
「スタジオに入って来るなり〃僕に電話無かった?〃って聞いて・・・〃ありませんよ〃って答えたら。そのまま・・・」
「ずっと・・・?」
移動するならそのまま部屋から駅に向かっても良かったのだが、今日はダイスケの方からスタジオに寄りたいと言っていた
「作業もせずに電話機を抱いているっての?」
ツカツカとダイスケに近寄ると電話機を取り上げた
「あっ!・・・アベチャンか・・・驚いた・・・」
「支度は出来ているんでしょうね?もう駅に向かわないと新幹線の時間が迫ってるんだけど」
「う・・・うん・・もうちょっとだけ?ダメ?」
椅子に座って私を見上げるようにして甘えてくるダイスケ・・・残念ながら私はどっかのジゴロでは無いのでクラッとは来ない
ダイスケがこんなに電話を待ってる理由に思い当たる事が一つだけある
「ヒロからの電話・・・待ってるんでしょ?」
「・・・・・・」
答えないのが答えのようなモノ・・・
「ダイスケが行っても良いよ・・って言ったんでしょ」
「・・・言ったけど・・・」
「まさか本当にライブ明け3日でハワイに行くとは思わなかった?」
「うん」
「あの子は仕方ないわよ。まだ電話が繋がる所に行ってくれただけでもマシだわ」
「L・Aに行きたいって言ったんだけど・・ホラッ、例の病気が隣の国で蔓延しているから地続きの大陸はやめて欲しいって言ったの。
そしたら・・・じゃあ南の島かな〜〜って」
話している間も視線は電話機から離れない・・・健気とは思うけれど許している時点でダイスケの負けだわ
「で・・・?いつまで待つつもり?電話かけるって約束したわけじゃないでしょうに・・・」
「こんな所でグズグズしていたら本当に間に合わなくなるわよ。一番若いダイスケが遅刻したら先輩に何言われるかしら・・・」
「そうだよね・・・」興味無さげに答えが返って来た・・・言葉と態度が反対よ
「いっそ、こっちから掛けたらどうなの?え・・・っと今、夕方だから向こうは夜の8時くらいじゃない」
「まだ・・部屋には帰って来てないでしょ・・・友達と夕飯食べている頃だよ」
日本の中と違ってどこでも電話が繋がる訳ではない・・・かかってくるとしたらダイスケの部屋か、スタジオくらいだろう。
遠征先なんてのはヒロの頭には入っている訳が無い
「ダイスケも秋にはまとまったお休みを取れそうだから、海外とか行ってらっしゃいよ」無理やり話題を変えてみたけれど
「ホント!?じゃあヒロと一緒に行って良い?」
何故そこでヒロが出てくるの?今頃青い目のお姉ちゃんと遊んでいるかもしれない男の名前が!!
「ヒロはね・・・事務所が違うからスケジュールがどうなっているか判らないわ」やんわりと無理だと言ってみたが
「・・・じゃあ!僕が何とかすれば良いんだよね」・・・恋する男は誰にも止められない
「わかったから・・・とりあえず駅に行きましょう。休みの事は向こうの事務所とは話してみるから」
「そっか・・・そうだよね。無理な事はみんなアベチャンに任せてしまってゴメンネ」
何年付き合っていると思うの?こんな事何でもないわよ・・・『またaccess始めたい』っていきなり言われた時に比べればどって事無いわ
結局・・予定していた新幹線には乗り遅れてしまい・・・○●市に着いてすぐに先輩達の飲んでいる席に顔を出したら案の定酒の肴にされた
それでも楽しく迎えてくれる仲間といる事でダイスケも気が紛れているのだと思った
深夜になってそれぞれホテルの部屋に戻った、流石に明日がライブ本番とあってはベテランとは言え酔いつぶれる事は出来ない
それなりに楽しげ気だったけれどダイスケ自身はお酒はそれほど飲んではいなかった
先のライブツアーで「酔っ払うと顔は赤くなるのに鼻だけが白くなってる」とMCで言っていたからだろうか?
ホテルの部屋に入ってしまえば、余程の事がない限り・・・マネージャーの仕事は終わりになる
「じゃ・・アベチャンお休み・・・」
「お休みなさい」
カチャリ・・・・閉められた扉の向こうのダイスケの淋しそうな姿が気になった・・・掛かってくる筈の無い電話を待っているんだろう
自分の部屋に行こうとした時に向こうからキネさんが歩いてきた
「アベチャン〜〜〜お疲れ。」
「お疲れ様です、遅れてすいませんでした」
「別にイイって。オレ達はさ飲むのが楽しみで先に来たようなもんだから。ダイちゃんは色んな仕事入ってるんだよね?」
「まぁ・・・でもaccessの方が一段落したので、今はトリュビュートに頑張ってますよ」
「そうね・・・ところで、相方くんはハワイに行っちゃったんだって?!流石と言おうか若いと言おうか・・」キネは苦笑した
「ライブツアー頑張ってくれましたから」
「それがなかったら一緒に行きたかったんじゃないの?・・・元気ないよね」キネが誰の事を指して言っているかすぐに判った
「そうなんですよね・・・中学生じゃあるまいし・・・かかってくるかどうか判らない電話を待っているなんて信じられます?」
「ヘェ〜〜〜〜」黒いサングラスの奥の目が面白がっている・・・
「ダイちゃんらしい・・・のかな?で・・・かかってきそう?」
「まさか・・・ダイスケの部屋か事務所ならともかくココの電話は教えてませんからね」
「アベチャン、ヒロの連絡先わかる?」キネの好奇心に火が付いてしまったようだ
「えぇ・・判りますけど??」
「向こうがかけて来ないんだったらこっちからかければ良いんじゃない??」
「・・・キネさん、面白がっていますよね」
「ハハハ・・・当たり前でしょう・・・じゃなくて、オレはね、可愛いダイスケが淋しそうなのが心配なわけよ」
「本当ですか・・・・?」
pipipipipi
「あ・・ちょっと失礼します」ジャケットのポケットから携帯を取り出して通話ボタンを押す
「ハイッ、アベですが」事務所のスタッフからだった
「何かあった?・・・あ・・・その番号でいいわよ・・・はい、判りました」
クックックッ・・・「どうした?アベチャン?」
「アーハッハツハツ・・・すいません、もう私達が出しゃばらばくても良いみたいですよ」
「て、事は・・・」
「ヒロから事務所に電話があって遠征先だって伝えたらかなり慌てたみたいです、スタッフも部屋の番号まで判らないからって確認の電話でした」
「じゃあ、今頃はラブコールがダイちゃんの部屋にかかって来てる訳だね」
「・・・ですね」
「明日のトリュビュートは元気なダイちゃんが見られるのかぁ・・・イジめがいがありそうだけどね」
・・・ヤバい人に現場を押さえられたかも知れない・・・ちょっとダイスケが可哀相になってしまった・・・
「でもさ〜〜〜あの二人のマネージャーが出来るのってアベチャン以外にいないよね・・・いろんな意味でさ」
感心した様な哀れんでいる様なキネの言葉に溜め息しか出ない私は・・・もしかしたら保護者なんじゃないかと思う今日この頃
仲良しユニットのマネージャー、アベの苦悩は・・・地獄の果てまで続くのかもしれない・・・。
******END?*******
カチャリ・・・
アベチャンにお休みの挨拶をしてホテルの部屋の扉を閉めた
さっきまで先輩達と一緒だったお酒の席の喧騒はもうはるか遠くに感じてしまう程の静けさ
遅れて来てしまった分を取り戻そうと頑張って盛り上げていたけれど・・・どこか醒めた自分を感じていた
アベチャンが言うように、電話をかけてくれるって約束した訳じゃない・・・けれど・・・
それに自分が思っている程、ヒロも自分を思ってくれるとは限らない
待っていても鳴るはずの無いホテルの電話を見つめながら淋しさは波のようにダイスケを揺らしていく
「ココの電話番号・・知っている訳無いもん」
あきらめを言葉にしてシャワーを浴びようと立ち上がった途端・・・・・鳴るはずの無い電話が鳴った
「はいっ・・・アサクラですが・・・」
「大ちゃん?ゴメン・・もう寝てた?」
「ヒロ・・・ううん、ホテルに戻ったばっかり、今までみんなで飲んでた。・・・ヒロ、元気?」
「大ちゃん・・ゴメンネ。」
「何?ハワイ行っちゃった事?僕が良いよって言ったんじゃん。ヒロ、ツアー頑張ったからお誕生日プレゼント代わりだよ」
「でもさ・・ココに来た時は〃あ〜〜天国〃って思いっきり休めたけど・・大ちゃんは休めてないよね・・・オレって勝手過ぎ」
「南の島で反省されてもね〜〜」
「あ・・・ゴメン」
「ウン・・・でも僕のことちょっとでも思ってくれたんだ?」
「当たり前でしょ!・・って、こんな遠くで言っても説得力ないね・・おまけに連絡もしなかったし」
「・・・・・・・・・・」
「大ちゃん?疲れてる?もう寝ないとダメだよね・・・」
「ず〜〜〜っと、連絡くれるの待ってたんだよ!ひどいよ!・・・淋しかったのに」
「ゴメン!!やっぱりオレってダメダメだね」
「じゃあ、謝ってくれる?」
「許してくれるならどれだけでも謝るよ」
「うんと・・・アサクラダイスケの凄い所を思いつくだけ言ってみて」
「・・・何?それ?・・・罰ゲームみたい・・・」
「いいから言ってみて・・・それとも思いつかないの?」
「エッ・・・・?!怖いよ・・大ちゃん」
「大ちゃんの作る音楽は凄い!」 「当たり前でしょ」
「大ちゃんの演奏は凄い!」 「当然」
「大ちゃんのプロデュースの才能は凄い!」 「天才」
「大ちゃんのディ●ニー好きは凄い!」 「もちろん」
「大ちゃんの愛犬は凄い!」 「可愛いって言って」
「大ちゃんの牛好きは凄い!」 「・・何かおかしくなって来たよ?」
「大ちゃんの国語力はある意味凄い!」 「それってけなしてない?」
「・・・・」 「ヒロ・・・僕の事凄いって思ってないんだ・・・」
「大ちゃんを大好きなオレは凄くない?」
「大ちゃんの凄い所も凄くない所も全部ひっくるめて愛してるオレって凄いでしょ・・・」
「ばか・・・自分自慢になってるよ・・・」
「うん・・大ちゃんは?オレの事愛してない?」
「言わない・・・早く帰って来て。帰ってから言ってあげる」
・・・だから、顔を見せてくれるまで・・・Call Me Please
******END******
キリ番2003を踏まれたyouーkaさんに進呈します。
良かったら(いらないかもしれませんが)どうぞ・・・<(_ _)>
うわ〜〜相変わらず甘い・・・(^。^)甘い・・甘い・・甘い・・・
私ってハワイしか海外は知らないみたいだ・・・スイマセン。
行った事ない場所は書けない!(T_T)
suika
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