aux anges "天使の祝福"






「とうとう…」


「しちゃったね」


「うん…まだ実感沸かないけどさ」


「オレも…」


「でも、本当なんだよ…」


「本当なんだよ」


「まさか…」


「まさか…」


「まさかアベちゃんが結婚しちゃうなんて!」

「あのアベちゃんが花嫁だなんて!」



「ふぅ…」

「はぁ…」



ダイスケとヒロユキはソファーに座り込んでさっきから同じ言葉を繰り返している

この世界で一番信頼しているアベ嬢がこれまた信頼を寄せている舞台監督のシンボリ氏と結婚したのだ

昨年末に入籍して、年が明けた今日、内輪だけの披露宴が開かれた

当然ダイスケとヒロユキも出席して、規模的には小さい宴だが愛に満ち溢れた温かな式だった


二次会、三次会を経て朝焼けの中、やっとダイスケの部屋に帰り着いた


「あんな綺麗なアベちゃん見たの初めてだよ」

カチッとしたスーツを脱ぐのももどかしく冷たい水で喉を潤しながら式の興奮が冷めやらないダイスケが喋る


「シンちゃんと結婚したいって打ち明けられた時にオレに電話して来た大ちゃんの慌てようは今も忘れられない、

 すんげーびっくりしてたよね」

こちらはすでに上着を脱ぎ、ネクタイを弛めていた


「うん。あんまりびっくりして携帯のキーが打てなかったもん」

「まぁ、オレもびっくりして携帯落としかけたけどね、その時トイレに入ってたからヤバかったよ」

「うん…『嘘から出た真実』って言うか、『瓢箪から駒』って言うか、『猫に小判』って言うか、

『枯れ木も山の賑わい』って言うか・・・・」


「大ちゃん…例えがだんだんおかしくなってるよ」

ヒロユキが苦笑する


「良いんだよ。とにかくびっくりしたんだから」

ぷぅと口を尖らせた


「アベちゃんは仕事仲間以上の存在だし、向こうはほら…バツで子供も…いるからさ〜

素直におめでとうとは言えなかったな・・・・・でもさ・・・・でも・・・・」


性別なんて関係無く、長い時を共に笑い共に泣いて乗り越えて来たからこそ、

彼女の幸せを願っているダイスケだった


「でも?何? 分かってるよ、大ちゃんが心からアベちゃんを祝福してるって事はさ」

何か言いかけようと息を吸い込んだダイスケの身体をヒロユキはそっと抱き締めた


「ヒロ…」


「ん」


「ずっと一緒に居てくれると思ってた・・・・まさか、誰かの奥さんになっちゃうなんて思いもよらなくて…

これは姉を取られちゃう〜って駄々こねて泣く子供だね」

「そんな事ないよ」


全てを分かってると言いたげにヒロユキに背中を撫でられてダイスケはヒロユキの背中に手を回した


「もうボクにはワンコ達しかいなくなっちゃったなぁ…」

「そうだね…って、えぇぇぇ????」


ヒロユキがダイスケの顔を覗きこむ


「だって…」


オレは?

オレは?

と、自分を指差すヒロユキを笑いながらヒロユキの胸に身体を預けた


「式の後アベちゃんから言われたよ」


「何て?」


ソファに優しく倒されダイスケの上着がそっと脱がされてゆく


「教えてやんない。で、これから何する訳?」

「いやぁ…何となく…したくない?」

「疲れてないの?」

「そんなには・・・・

それにさ、勝算ない愛を彼女が選ぶ訳ないじゃん。 それは大ちゃんが一番知ってるよね」

「ホント、一人でグルグルしてるボクのが変だね」


ソファ狭いから嫌なんだけどな

それよりも眠いよと目で訴えてみる


「幸せのお裾分けして貰わないとね」

真っ直ぐ見つめ返すヒロユキの瞳も微かに潤んでいる

その時ダイスケは心から"おめでとう"とアベに言える気がした



愛して愛されていつも隣りにその存在があって、離れても呼び合った運命を信じた

そんな日々が誰にでも在るのだと今はわかる


「Congratulations」




『ねぇアベちゃん

ボクとヒロは多分ずっとこのまま

何一つ形を変える事のないまま歩いて行く気がするよ

それが一番素敵だと思わない?』






※※※※※end





久々です、SuiKaです。

そして(いきなりかい!?)

アベ嬢ご結婚おめでとうございます○┓ペコ知り合いでもないのに祝われても困るだろうけどね(^^;)

とにかく目出度いっす(^ω^)



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