*** zaregoto ***

 

 

 

ヒロの部屋でくつろぐダイスケを見るのは久しぶりのことだった。

 

お互い、忙しい身だったから会うといっても、事務所やスタジオや・・・・・たまにホテルで。

しかし、その慌しい逢瀬さえも、最近は途絶えてしまっていた。

我慢できなくなったのはダイスケの方で、無理矢理に時間を作ると

深夜にもかかわらず時間が空いたから迎えに来てと、ヒロに電話をした。

もちろん、ヒロに異存があるはずもなく、車で迎えに行き、そのままヒロの部屋へ直行した。

靴を脱ぐのももどかしいくらい性急にお互いを求め合って・・・・・・・

 

一戦終えてシャワーを浴びたダイスケはベッドの上で雑誌を繰っている。

明日も仕事だから、もう寝なければいけないのだけれど

ヒロがシャワーから戻ってくるのを待っていっしょに休もうと雑誌を読んで時間を潰していた。

そこに、ミネラルウォーターを飲みながらヒロが寝室に戻ってきて、

雑誌に夢中で気が付かないダイスケの頬に、冷えたボトルを当てる。

『ぅわっ、冷たいっ』

ダイスケの意識を雑誌から逸らせることに成功したヒロが、笑ってダイスケの隣に腰を下ろす。

『何、読んでるの?』

ヒロからペットボトルを受け取ると、交換のようにページを開いたままの雑誌を手渡す。

そこには、色とりどりの服を着せられた子犬たちが写っていた。

『あぁ・・・ペットの本?』

あまり興味なさそうに見ているヒロにダイスケは笑いを漏らす。

『可愛いでしょ?』

『・・・う・・・ん・・・』

いつもダイスケの言葉には、あまり反論しないヒロだが、どこか不満げな答え方をしている。

『なぁに? 可愛くない?』

『え? いや、可愛いよ・・・・可愛いけど・・・・』

『けど?』

『服を着せるってのはどうなのかなって思っただけ・・・』

淡いブルーのひらひらした服を着せられたチワワの写真を指差しながらも、どこかボンヤリしているヒロを見て

本当に興味がないんだなと、ベッドに起き上がったダイスケが苦笑いする。

水を飲むダイスケの首筋から胸にかけてヒロが、長い指でそっと撫ぜるとくすぐったそうに身を捩る。

『もうっ・・・水が零れちゃうよ〜』

文句を言うダイスケを愛しそうに見て、ヒロが微笑う。

『この服さぁ・・・・大ちゃんの方が似合いそうだよね』

ヒロの視線の先には、さっきのチワワがいた。

ダイスケは、雑誌を手に取ってジ〜ッと見ていたが、不満そうに口を尖らせる。

『これぇ? なんかひらひらして・・・・エプロンみたいじゃない?』

そう?・・・・と、言いながらヒロもページを覗き込んでくる。

『う〜ん・・・・でも大ちゃんはこの犬より可愛いから着こなせると思うな』

『やだよ・・・・裸の上にエプロンだよ? 着こなしたくないよ〜』

そう言って笑い出したダイスケだったが次の瞬間、大きなくしゃみをした。

ダイスケも、その隣に座るヒロも何も着ていないのだから、

いくら暖房の入った部屋でも、くしゃみが出るのは当たり前だ。

『風邪ひいちゃうね・・・・・待ってて』

ヒロがパジャマを出そうとクローゼットの引き出しを開けて・・・・・ふと、パジャマとは違うものが目に入った。 

何を思ったのか、それを手に取ってダイスケに渡す。

『?』

その紺のデニムは、どう見てもパジャマには見えない。

『着てみて』

意味ありげな笑みを浮かべたヒロに言われて広げてみると、それはエプロンだった。

『エプロン?・・・・・・・・あっ・・・』

さっきの自分の言葉を思い出してピンときたダイスケがヒロを軽く睨みつける。

『ヒロ〜? そういう趣味があったの?』

『あれぇ? 大ちゃんにはないの?』

そんなものあるか・・・・と言いかけたダイスケが何かを思いついてにやっと笑った。

『そうだよね〜・・・・・見てみたいよね〜・・・裸エプロン』

言いながら、エプロンをヒロに差し出す。

『え?』

『ヒロ、着てよ。 見てみたいから』

『え・・・・・・オレェ〜?』

なんでオレが・・・・と、困った顔をしているヒロに、着て着てと、ダイスケがせがむ。

『じゃ、オレが着たら大ちゃんも着る?』

うっ・・・・と言葉に詰まったダイスケだったが渋々といった感じで頷く。

『・・・・ヒロが着たら・・・・ね』

『本当かなぁ・・・・?』

今ひとつ信用できないで首を傾げるヒロに、ダイスケはほらほらとエプロンを押し付ける。

『・・・・・はい、はい、大ちゃんが言うならなんだって着ましょう!』

諦めたヒロが素肌にエプロンをつけると、モデルのようなポーズでダイスケの前に立った。

『どう? 最新ファッションって感じ?』

思いっきり笑ってやろうと身構えていたダイスケだったが、困ったことに笑えない。

『なんか・・・・かっこいい・・・・』

『やっぱり? オレって何でも着こなしちゃうから・・・・・って、大ちゃん?』

照れ隠しにふざけて言ってみたヒロだったのに、ダイスケの目は真剣だ。

デニムのそれは、上半身だけ見たらオーバーオールのようだし、裾から伸びた素足も不自然さを感じさせない。

『ずるい・・・・・・笑えないじゃんっ』

駄々っ子のように拗ねるダイスケにヒロが笑い出す。

『だぁいちゃーん、笑いたかったの? ひっどいなぁ・・・』

それじゃ特別大サービス! と言ってヒロがくるっと背中を見せた。

確かに後ろから見たら、背中もお尻も丸見えで滑稽さは隠せない・・・・・・・・が、

いくら待ってもダイスケの笑い声は聞こえてこなくて

不思議に思って振り返ったヒロの目に相変わらず拗ねモードのダイスケが映る。

『ずるい・・・・・』

『大ちゃん?』

『ヒロのお尻綺麗だよね・・・・・・・』

大きくため息をつくダイスケにヒロもお手上げ状態で、もうダイスケを抱きしめるしか術がない。

『ねぇ、裸エプロンでため息吐かれたらオレの立場ないでしょ・・・・・・』

耳元で囁く声に、だって〜・・・と甘い声を出す。

その声に触発されたのか、ヒロが素早く身体を離すとエプロンを脱いだ。

『そうそう、次は大ちゃんの番だよね』

『え?』

しまったという顔でダイスケが座ったままズズッと後ろへ逃げる。

『また今度・・・・・ってことで・・・』

『だめ』

エプロンを持って迫るヒロにダイスケはベッドの端まで後退りするが、

追い詰められて首にエプロンの紐が掛けられる。

『やだ〜〜〜! ヒロみたいに似合わないもんっ』

いや、オレだって似合ってないから・・・・・と、苦笑いしながらもエプロンをつける手は休めない。

手で突っぱねるダイスケに最後は覆いかぶさるように、前から後ろに手を回して紐を結んで装着終了。

ちょっと離れて、エプロン姿のダイスケを鑑賞する。

ベッドの隅で壁に凭れかかるように座るダイスケは、唇を尖らせてヒロを睨みつけている。

『あ・・・・・・・あぁ・・・・・・なるほどね・・・・・笑えないな、これは・・・・』

真顔で呟いたヒロの言葉に泣きそうな顔になったダイスケがエプロンをむしり取ろうとして、ヒロが慌てる。

『そうじゃなくて!変って意味じゃないよ・・・・・案外似合うもんだなって・・・・・』

『はぁ?』

ダイスケには少し大きめのエプロンは、見ようによってはワンピースのようで、

上目遣いにこちらを見る乱れた髪のダイスケに、ヒロはちょっといけない妄想を抱きそうになる。

『なんかさ・・・・・・ “犯された後の女の子” って感じだよね』

『おかっ・・・・・・あのね、ヒロ、女の子はともかく、なんで犯された後なの?』

『ちょっと乱れた雰囲気?』

慌てて、手櫛で髪を直すダイスケに、透かさずヒロが襲いかかった。

『わっ・・・・ヒロ〜!』

抵抗するダイスケを後ろから片手で押さえつけて、空いてる方の手の指をゆっくり舐めると

無防備にさらけ出されている白いお尻に、その指を埋めていく。

『あっ・・・・・ああっ・・・・・やっ・・・・ヒ・・・・ロ・・・・』

1時間前までヒロに慣らされていたそこは、悲しいくらい簡単に指を飲み込んでしまう。

シーツに顔を押し付けられて、腰だけを上げさせられたダイスケを見てヒロの口元が緩んだ。

『大ちゃん、すっごい挑発的・・・・・』

『ばっ・・・・か・・・・誰が・・・・あっ・・・・ん・・・』

誰がこんな格好させてるんだよっ・・・・・という言葉はヒロの蠢く指で喘ぎに変えられる。

これ以上、慣らす必要もないとみて、ヒロは指の代わりに自身を充てがうと一気に突き入れた。

『やっ、あぁぁぁ・・・・』

『ん・・・・ごめん、きつい?』

言葉では謝ってても、身体を止める気配はなくて、

ダイスケはシーツを掴んで崩れそうになる自分の身体を支える。

いつもより乱暴なヒロが、多分このエプロンのせいだろうと思うと、

その単純さが可愛くてダイスケも怒る気は失せてしまい、否定の意味でゆるく首を振る。

インクブルーの裾から入り込んだヒロの指がダイスケ自身を捕まえて、さらに甘い嬌声を引き出した。

 

ヒロのエプロン姿をからかうつもりだったのに、どうしてこんなことになってしまったのか。

・・・・・でも、ヒロが悦んでくれるならそれでもいいや・・・・

・・・・などと考えてるダイスケ自身もけっこう楽しんでいたりするのだが・・・・。

 

その夜、ドロドロになってしまった可哀想なエプロンが、料理で使われることは二度となかった。

 

 

 

---------- end ----------

 

 

 

suikaさんがエロい「裸エプロン」を書いてくれたので

じゃあ、私はほのぼの「裸エプロン」を書く!と、宣言してしまい・・・・・

ほのぼのしてますでしょうか???

                       流花

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