■ Present ■
明日はライブだからと、最終打ち合わせが終わって早々に帰してくれることになった。
時計を見ると、まだ10時を回ったばかり・・・いくらなんでも寝るには早い。
それに、今日はオレの誕生日だったりするわけだし・・・・大ちゃんは何してるかな。
昼間、おめでとうのメールが入って、ありがとうと一言返しただけで、きっと大ちゃんは不満だったろうな。
でもメールは面倒くさいから・・・かといって仕事中に電話するのも憚られて、結局それっきり。
今ならいいかな? オレは事務所の隅でケータイを開く。
“ ヒロッ? ”
大ちゃんの弾んだ声を聴いて、かけて正解だったなと思う。
『昼間は電話できなくてごめん・・・』
“ ううん、仕事終わったの? ”
『うん、今・・・・・・・ね、大ちゃん』
“ ん?”
『今から、ちょっとだけでも会えないかな?』
“ ・・・・だって、ヒロ明日早いからって・・・・ ”
『だから、ちょっとだけ・・・・だめ?』
“ ・・・・・・・・ ”
喜んでくれると思ったのに、電話の向こうに躊躇いが感じられた。
“ ごめん・・・・ ”
やっと聞こえてきた返事にオレはがっかりする。
『あぁ・・・いや、仕事?』
肯定の返事が聞こえてくるかと思ったら、またしばしの沈黙。 なんなんだ?
『大ちゃん?』
“ ・・・あのね、今Dランドのホテルにいるんだ・・・・だから・・・ ”
『誰と?!』
“ 誰って・・・・・・・ヒロォ? ひとりに決まってるじゃん!・・・・・あ、アベちゃんもいっしょだけど・・・ ”
『同じ部屋?!』
“ まさか! ”
その後、二人で大笑いして・・・・・・
“ ヒロと会えるんなら、泊まるんじゃなかった・・・・ ”
残念そうな大ちゃんの声に苦笑いする。
『会いたい?』
“ だって・・・・ヒロのお誕生日だもん・・・・プレゼントだって渡したかったよ・・・・ ”
『だったら・・・・・会いたいって言って・・・』
“ え? ”
『そこ、Dランドでしょ? 魔法で願いが叶うかもしれないじゃん』
“ 何言ってんの? そんなの・・・ ”
『会いたいって言うのは嘘?』
“ そんな ・・・・・・会いたいよ・・・・・・会いたい! 会いたい! すっごく会いたい!!! ”
ヤケクソのように連発する大ちゃんだったけど、その言葉にふざけた感じはまったくなくて・・・・・
『じゃ、待ってなさい。 今から行く!』
“ ええっ! だって、明日ライブでしょ? 無理しなくても・・・ ”
『1時間で行くから、ホテルの名前とルームナンバー教えて』
それからが大変。 マネージャーを説得して明日迎えに来てもらうってことで話をつけて、
荷物を取りに部屋に戻って・・・・・・タクシーに飛び乗ったらすでに1時間が過ぎていた。
やばいなぁ・・・・大ちゃん怒るかな・・・・いや、オレの誕生日ってことで許してもらおう。
結局、2時間近く掛けてホテルに着いた頃には、深夜の12時を回ってた。 誕生日終わっちゃったよ・・・・。
部屋のベルを鳴らすと、確認も取らず待ち構えていたようにドアが開き、
オレが足を踏み込むと同時に大ちゃんが抱き付いてきて、持っていた荷物が足元に転がる。
『だ・・・いちゃん・・・・』
いつになく積極的な彼にオレは吃驚して・・・・それでもギュッと抱きとめる。
『お誕生日おめでと・・・・』
少し恥ずかしそうに、オレの胸で呟くように言う大ちゃんを、もう一度強く抱きしめた。
『ありがとう・・・・・実はもう5分くらい過ぎちゃってるんだけどね・・・』
『え?・・・・・・僕のおめでとうは間に合わなかったってこと?』
身体を離して、不満げにオレを見上げる大ちゃんが可愛くて・・・・・
『ごめん、オレの勘違い! まだ12時前だよね? うん、絶対そう! 大ちゃんが間に合わないわけがない!』
言い切るオレを見て、大ちゃんが笑い出す。
『もう・・・・ヒロってば・・・・・実は僕もプレゼント持って来てないから、オアイコにしようよ』
『プレゼントないの〜〜〜?』
わざと悲しそうな顔をしたら大ちゃんが慌てて・・・
『違うって、ちゃんと買ってあるけどここにはないって意味で・・・・・・なに?』
黙って大ちゃんを指差すと、彼が不思議そうに首を傾げる。
『プレゼント・・・・これがいいな』
『これって・・・・・僕?』
また大ちゃんが照れくさそうに笑う。
『僕でよければ・・・・・っていうか、ずっとヒロのだよ?』
そんな嬉しいことを言ってくれる大ちゃんにオレからキスをプレゼント。
『シャワー、浴びてくる? 僕はもうお風呂入っちゃったから・・・』
『うん、待ってて』
『急いでね・・・・』
え・・・・・それは・・・・・
『待ちきれないってこと?』
『ばっ・・・・違うよっ、ヒロ明日早いんだから・・・・・だから急いだ方が・・・・』
『エッチする時間がいっぱい取れる?』
もう! と、赤くなった大ちゃんに叩かれる前にバスルームへ逃げ込んだ。
確かに、明日は早いけど急いでエッチもつまらないよなぁ・・・・オレの誕生日なんだし・・・・って、過ぎちゃったけど。
バスタオル1枚でバスルームを出ると、大ちゃんがベッドの上にチョコンと座ってこちらを見ている。
ほらぁ・・・・こんな可愛い生き物を前にして、急いでエッチは無理だろう・・・・。
『ヒロ・・・・来て・・・・』
そう言って両手を差し出す大ちゃんに誘われて、ベッドに飛び乗ると大ちゃんはオレと入れ替わるようにベッドから滑り降りる。
『大ちゃん?』
『ヒロはそこに座ってて・・・』
なんだろうと首を傾げてるオレの腰に大ちゃんの顔が近づいて・・・・・・・え、いいの?
腰に巻いてたタオルが大ちゃんの手で取り払われると、露わになったオレ自身に熱い舌が絡みついてきた。
大ちゃんがプレゼントなのにオレが食べられちゃうの?
なんて、バカなことは言わない・・・・・こんなに気持ちいいんだから・・・・。
小さく揺れてる金色の髪に見え隠れする大ちゃんの表情がすごく色っぽくて、それだけでいけそう・・・・。
大ちゃんの歯が軽く当たるとゾクッとして、身体が震える。
『いってもいい?』
髪を撫でながら訊くと、大ちゃんが嬉しそうにオレを見上げて目で頷く。
そして大ちゃんの舌に導かれるまま、その口中に欲望を放った。
とたんに、咽るように咳き込む大ちゃんに、オレは慌てて手を差し出す。
『吐き出して! 飲まなくてもいいんだから』
でも大ちゃんは口元を押さえて首を振る。
『だ・・・・いじょぶ・・・・、もう飲んじゃった・・・』
そんなこと言いながらも咽てしまった分が唇の端に白く残っている。
あ・・・・・やばい・・・・・なんかそれ・・・・下半身にくるエロさがあるね。
『気持ちよかった?』
無邪気に訊いてくる彼は、良いことをして褒められたい子供みたいだ。
『うん、すっ・・・・ごく!』
にっこり微笑って答えたのに、大ちゃんはオレの分身を見下ろして眉をしかめる。
『その割には・・・・・満足してないみたいだよ・・・・彼・・・』
あらら・・・・だって・・・・・・・オレは何も言わずに大ちゃんを抱き上げて、ベッドに組み敷いた。
『ヒロォ?』
『オレはまだ大ちゃんを食べてないもん。 満足するわけないでしょ?』
まだ何か言いたげな彼の唇を塞いで舌で封じる。
この苦味はオレの味? ・・・・・・うーん、複雑・・・・。
息が上がるくらい長いキスをした後に大ちゃんの顔を見下ろすと、
潤んだ瞳で、頬を染め、薄く口をあけている様は、どう見たって誘ってるようにしか見えない。
『大ちゃん・・・・・そんな顔、誰にも見せちゃだめだよ・・・』
オレの言葉に大ちゃんが微笑む。
『見せたくても見せられないよ・・・・・これはヒロ専用なん・・・・あっ・・・・』
待ちきれないオレの指が大ちゃん自身を包み込んで、ゆっくり動き始める。
身体に纏わりついてるだけになってるバスローブの隙間から覗く胸の飾りに舌を這わせると
いつものテノールからは想像もつかないファルセットで、大ちゃんが啼く。
後ろに指を入れると大ちゃんの身体がピクンと跳ねて・・・・
『あぁっ・・・・やっ・・・・』
いや?じゃないよね・・・・・硬く閉じられた瞼にキスを落とすと、薄っすら瞳が開く。
『ヒロ・・・・・な・・・・してる・・・』
オレの指の動きで、途切れ途切れになる大ちゃんの言葉。
『なに?』
ちょっと動きを止めて訊いてみた。
『ヒロ、すっごくエッチな顔してる・・・』
そう言って笑ってる大ちゃんだって、人のこと言えないと思うんだけどね・・・・・・・ちょっとオシオキ。
『あっ・・・・あ・・・・待って・・・だめ・・・あぁ・・・あ、あ、・・・んんっ・・・』
指を増やして弱いところを突いてやると、悩ましげに身体を捩る。
ぎゅっと閉じた瞼から、一粒の涙がこめかみを伝って白いシーツに吸い込まれた。
指で、散々焦らした挙句に “ 欲しい? ” と意地悪く訊いてみる。
コクコクと頷く大ちゃんに “ ダメ、ちゃんと口で言って ” 意地悪を続けたら、潤んだ目でオレを睨みつけた。
おっと、ご機嫌そこねちゃったかな・・・・・では・・・・
『じゃ、愛してるって言ってよ』
こういう時に、そういうこと言うの苦手だって知ってるけど、ほら、オレの誕生日なんだからさ・・・・・・過ぎちゃってるけど。
大ちゃんは、かなり葛藤してたみたいだけど、オレの首にしがみついて、耳元で囁いた。
『・・・す・・・き・・・』
そうきましたか・・・・・でもオレもこれ以上は我慢できそうもないから・・・・。
自身をあてがうと、ゆっくり埋め込んでいく。
『んっ・・・・ん・・・』
大ちゃんの満足そうな喘ぎに、オレも一息ついて・・・・・・あとは本能の命ずるままに・・・・。
明日はライブだぞ、セーブしろよ・・・・・・天使のオレが囁く。
その隣では悪魔なオレが、やっちまえと叫んでいる。
『ヒ・・・・ロッ・・・・い・・い・・・もっ・・・・と・・・・』
彼の喘ぎで、あっさり悪魔の勝ち。 オレの針は完全に振り切ってしまった。
倒れるように、ベッドに埋もれていると
『プレゼントは、この次会ったときに渡すね・・・』
オレの腕の中で大ちゃんが呟くのが聞こえた。
『・・・・・大ちゃんがいればそれでいいよ・・・』
瞼を閉じたまま答えると、しばらくの沈黙の後、大ちゃんがしがみついてきた。
『うん・・・・僕も・・・・』
オレも抱きしめ返したかったけど、もう指1本動かせそうもない。
『ごめ・・・・眠い・・・』
それが声になっていたのかどうかも分らないまま、意識がフェイドアウトしていく。
『おやすみ・・・・愛してるよ・・・』
最後に聞こえた大ちゃんの声・・・・・・ずるいなぁ、今頃言うなんて・・・・・・。
『オレも・・・愛してる・・・』
この声が、どうか大ちゃんに届いていますように・・・・そう願いながらオレは意識を手放した。
---------- end ----------
この作品は「いつか王子様が・・・・(8)」の連動作品となっております。
みなさま、リクエストありがとうございました。 こんな感じになりましたが・・・・・いかがでしょう? (^_^;
流花
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