■□■禁じられても・・・・ ■□■






『だからさぁ、絶対良くないと思うんだよね』


ほら、始まったと、ダイスケの顔があからさまに曇る。


『きっと、ファンのみんなも・・・』

『わかったってば!』

少しだけ声を荒げたダイスケに、側で寝ていたアニーがビクッと首を上げた。

『もう寝る!』

『だぁいちゃん・・・』

手にしていた煙草を揉み消して、スタスタと寝室へ歩いていくダイスケの後をヒロが追いかける。



ベッドに着くなり、枕を抱いて転がったダイスケにヒロが大きくため息をついた。

『もう・・・・すぐ逃げるんだから・・・』

『違うもん、起きてるとまた吸っちゃうからだよ』

そう、寝る前の一服を楽しんでいたダイスケに、ヒロが禁煙話を始めた。

いつもは、スタッフや、他の誰かがいる場所で始めるので、逃げることも出来ず

苦笑いを浮かべてるだけのダイスケだったが

今夜はダイスケの部屋に二人っきり(正確には二人と一匹だが)我儘全開で応対できる。



『オレが嫌がらせで言ってると思う?』

『・・・・そんなこと・・・・』

ダイスケが思うはずはない。

ヒロが身体を心配してくれているのは痛いほどわかるから反論できないでいる。

『やめようって方向で考えられない?』

寝転ぶダイスケを覗き込むように、ヒロがベッドに乗ってくる。

ダイスケだって煙草が身体に悪いことぐらい百も承知だ。

でも、ここでやめるなんて言ったら、いかにもヒロの言うことをきいたようで癪なのだ。

やめるならやめるで、何か別のきっかけが欲しいと思っているのだが、そんなものなかなか見つかるものではない。


『・・・・・口が寂しい・・・』

とりあえず、言い訳してみる。

『そんなの、すぐに慣れ・・・・・』

コロンと寝返りをうって、ヒロを見上げたダイスケの瞳の色に言葉が止まる。

『大ちゃん・・・・それって誘ってるの?』

『だから・・・・口が寂しい・・・・』

さっきとは、明らかにニュアンスの違う言い方で・・・・。

しょうがないなぁと、ヒロが覆いかぶさるように口づけを落とす。

誘い込むようなダイスケの舌の動きは、キスだけでは終わらせない気配に満ちていて、

その気になりかけたヒロが慌てて身体を離した。

『大ちゃん・・・・誤魔化そうとしてるね?』

ヒロの少し低い声もダイスケは無視して、今度はヒロのパジャマに指をかける。

『・・・こっちも欲しい』

『大ちゃっ・・・』

ヒロの了解を得る気なんか最初からなかったようで、ダイスケの指はパジャマの中に滑り込んでいる。

『・・・これ、食べていい?』

掴んだものとヒロの顔を見比べながら、ピンクの舌で唇を舐めるダイスケに逆らえるはずもなく・・・

『残しちゃだめだよ?』

白旗を揚げたヒロに、ダイスケが笑う。

腹ばいになったまま、ヒロの膝に乗りあがってパックリ咥えると

『んっ・・・・・』

反応する声が嬉しくて、ダイスケの口元が微笑みに緩む。

いい? と、訊きたくても、舌は別のことで使用されているのでそれはできない。

代わりに軽く歯を立てると

『こら・・・』

とても叱っているとは思えない優しい声が、ダイスケの上に降ってきた。

その声がまた嬉しくて、ダイスケは夢中で舌と指を使う。


『ふ・・・・っ・・・』

程なく、満足気なヒロの吐息。

ダイスケが、ゆっくり顔を上げて微笑む。

『ね? 残さなかったでしょう?』

『うん・・・えらい、えらい』

頭を撫でるヒロの手を取って、自分の口元に持っていくとその指先を舐める。

『足りなかった?』

笑うヒロに、ダイスケも笑って首を振る。

『ううん、そうじゃないけど・・・・今度はヒロが食べる?』

『それは・・・大ちゃんの奢り?』

ずうずうしいなぁ・・・と苦笑いしたあと、ダイスケがその首を小さく傾げて・・・

『いっぱい・・・・食べて?』

その瞬間に、ヒロの頭の中から禁煙≠フ文字が消え去っていた。





3時間後・・・・・

まんまとヒロを黙らせたダイスケは、すでに夢の中・・・・。

もちろん、黙らされたヒロも同じ夢の中を彷徨っているらしい。



ダイスケの禁煙する日は、まだまだ遠い。





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end ----------




大ちゃんに禁煙を勧めてるらしいヒロ・・・・からの妄想でございます。

こればっかりは「頑張れ、ヒロ!」って言いたいですねえ・・・。

でも、きっといつも大ちゃんに誤魔化されてる気がするんですけど(^_^;

                            流花

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