Like marries like★ いつか王子様が・・・・(10)






事務所のドアを開けて、上機嫌のダイスケが戻ってきた。

『楽しそうね〜』

私の皮肉混じりの言葉にもにっこり笑って頷いている。




さっき、ヒロから電話でもうすぐ来ると連絡を受けると、

さっさと自分で2匹のワンコを別室に移動させてしまった。

そろそろヒロにもご対面させたら? と言っても、いつも曖昧に微笑んでいるだけ。

そうかそうか、ワンコよりヒロか・・・・・当たり前なんだけどさ・・・・。


『で、ヒロは何しに来るわけ?』

『レコーディングの打ち合わせだよ』

『この間も打ち合わせにきたわよね?』

『うん』

それがどうしたと言いたげなダイスケの表情だが・・・・

『そのまた前も打ち合わせだって言ってなかった?』

『何回したっていいじゃん!』

あら、居直ったわね。

『いいけどね・・・・・・そういえばお誕生日はどこか行ったの?』

ダイスケの誕生日の夜、ヒロがスタジオに迎えに来て、喜んでお持ち帰りされたダイスケだったが

どこへ行ったとか、何をしたとかいう話はまったく聞いていない。

もちろん、訊いたからと言って答えてくれるとは思っていなかったけど、

『どこへも行かなかった・・・・』

あっさり答えたダイスケが意外だった。

『そう・・・・ヒロの部屋でお祝い?』

『ん〜・・・・・てか、やりまくってた?』

私が口をあんぐり開けるより先に、背後からコーヒーに咽たらしいスタッフの咳き込む声が聞こえてきた。

いつものように残業で残っていた女性社員だ。

『・・・・あのね、ダイスケ、他に言い用があるでしょ?』

女性社員に気を使って注意した私に、ダイスケはニヤッと笑う。

『他に?・・・・・・ずっとセックスしてた・・・・とか?』

また背後がガタガタ騒がしいと思ったら “ コンビニ行ってきます ” という声と供にドアの閉じる音がした。

それを見てクスクス笑っているダイスケに呆れ返る。

『ダーイスケ、どういうつもり? 場所をわきまえてよね』

腰に手を当てて仁王立ちしたした私に、ダイスケが小さく謝る。

『ごめん・・・・なーんか浮かれてた』

『ほぉ? 浮かれるくらい素敵な誕生日だったの?』

『ま・・・ね』

『やりまくってただけなんでしょ?』

『いけない?』

『別にいけなかないけど・・・誕生日じゃなくたっていつもそうなんじゃないの?』

自分で言いながらアホらしくなってきたけど・・・・。

でもダイスケはニヘラ〜と笑って否定する。

『いつもとは違うんだよ、特別・・・・・かな』

特別なエッチとは、どんなものなのか・・・・訊きたいような訊きたくないような・・・・。

『ふぅ〜ん・・・、まぁ、よかったわね・・・・身体の相性も良くて・・・』

すると、ダイスケは不思議そうに私の顔を覗き込むように見る。

『・・・なによ? 私の顔に何かついてる?』

『アベちゃん・・・何かいいことでもあった?』

う・・・・・するどい。

『どうして?』

しらばっくれてみる。

『だって・・・・いつもこういう話は聞きたくもないって顔するのに・・・・』

そうでしたっけ?

『・・・・あっ・・・・・』

えっ? 

『・・・・もしかして・・・・彼氏でも出来た・・・・の?』

・・・・ふふふ・・・・・。

『うっそ! マジで?』

『嘘って、失礼ね! 世の中には見る目のある男もいるってことよ』

とはいっても、最近付き合い始めたばかりで、好きになりかけ・・・くらいなんだけどね。

からかわれるのが嫌で内緒にしてたんだけど・・・・・あれ?

意外にもダイスケは、私の顔をじっと見てるだけで何も言う気配はない。

それはそれで気持ちが悪い。 

『ダイスケ?』

『その人と結婚するの?』

ちょっと、待って。 なんでそこまで・・・・って・・・・ダイスケ?

不安げに私を見るダイスケに、思わず微笑ってしまう。

『まだ、そんなんじゃないってば』

『でも、いつかするかもしれないよね? そしたら仕事は?』

『やめないわよ、バカ』

あからさまに、ほっとするダイスケに文句もいえない。

こんなオコチャマ放って、仕事やめられるわけないじゃない。

ここまで頼りにされてるのは、マネージャー冥利に尽きるけどね。

『とにかく・・・おめでとう・・・よかったね』

何故かダイスケの方が照れくさそうに笑っている。

『ありがと・・・・』

つられて、私もちょっと照れくさい気分になっちゃったじゃない。

『まぁ、数年ぶりの彼氏だからね〜』

照れ隠しにそう言って笑うと、ダイスケが興味津々といったふうに顔を近づける。

『で、もうエッチした?』

なーんで、そっちに話がいくの?

『どーでもいいでしょ! 少なくともアンタ達みたいにやりまくってはいないわよ』

話をはぐらかそうとしたのがお気に召さなかったらしく、ダイスケが頬を膨らます。

『なーんだよ、別にいいじゃん。 やりまくるのも愛だよ!』


『・・・・大ちゃん・・・』


突然の声に驚いて、二人でドアを振り返ると、手にケーキの箱を持ったヒロが苦笑いして立っていた。

『ヒロ・・・・いつから・・・いたの?』

ダイスケの声が恥ずかしさで尻すぼみになっていく。

『アンタ達みたいにやりまくってないって辺り?』

ちょっと不機嫌そうな顔で、こちらにゆっくり歩いてくるヒロに、ダイスケが首をすぼめる。

『ごめん・・・・なさい・・・』

あぁ、ヒロ以外にもこれくらい素直ならねぇ・・・・。

『いや、別にいいけどさ・・・・・アベちゃんしかいないんだし・・・』

さっきまで女性スタッフがいたのよ〜ってチクってやりたいけど、

ダイスケの目が必死で “ 喋るな ” ビームを発射してるから、やめておこう。


ヒロって、自分は平気でエッチ発言するくせに、ダイスケがするのは嫌がるのよね。

その辺の心理って、よくわからないわ。

ダイスケもヒロの前では猫被っちゃって・・・・・・いつか、バレるだろうに・・・。


『なに、アベちゃん、彼氏できたの?』

ケーキの箱をダイスケに渡しながらヒロが私に訊いてくる。

『お陰様で』

へぇーーーって、思いっきり驚いてるのが、ちょっとむかつくけど許してやろう。

『結婚するの?』

ヒロよ、お前もか・・・・・。

『どうして、二人して同じ発想なのよ? しなきゃいけない?』

ヒロは、ダイスケを横目で見て笑い出した。

『しなくてもいいけど・・・・・てか、することはしてるの?』

『その質問も同じ!』

ダイスケもたまらず笑い出す。

『だぁって、ヒロとは以心伝心だも〜ん』

はいはい、そうでしょうとも。

『・・・・で、やってるの?』

ダイスケ〜、そんなこと訊いたらヒロに嫌われるぞ。

『身体の相性は大事だよね』

ヒロまで?・・・・・なんか二人して興味深々な目はやめて・・・・。

『いえいえ、ダイスケのお誕生日のようなことはしてませんよ、私は・・・』

はぐらかすつもりで言った言葉に、ヒロが目を丸くしてダイスケを見る。

『大ちゃん?』

これには、ダイスケが力いっぱい首を横に振った。

『違うって! 何も言ってないって! 言うわけないじゃん!』

焦りまくるダイスケを見て、私の方が焦ってしまう。

な〜に? 誕生日にどんな “ すごいこと ” したのよ? 

『まぁ、あれは大ちゃんのリクエストだったしね・・・・』

なにがっ? 訊きたいけど、聴きたくな〜い!

『ちっがうよ! ヒロが言い出したんじゃないか!』

『そりゃ、大ちゃんが艶かしく誘うから・・・・つい・・・』

『な・・・・・そんなことしてないよ!』

真っ赤になって否定しているけど、ダイスケ〜、ヒロに遊ばれてることに気付いてないわね。

『はいはい、要するにやりまくったってことでしょ?』

『そうそう、大ちゃんがすごくて、次の日オレ腰が痛くて・・・・』

『よっく言うよ、立てなかったのは僕のほう・・・・』

その時、ガサガサッと音がして、3人でそっちを見ると、

コンビニから帰ってきた女性スタッフがビニール袋を抱えてドアの前で凍っていた。

聴いてた・・・・よね・・・・・。

何か声をかけなきゃと思うんだけど、とっさに言葉がでてこない。

『おかえり〜、ヒロがケーキ持ってきてくれたから、いっしょに食べる?』

何も気にしていないらしいダイスケが声をかけたけど・・・・

『あ・・・いえ・・・・買い忘れがあったので・・・・・』

彼女は早口に言うと、逃げるようにドアを閉めた。

いや、逃げるように・・・じゃなくて、明らかに逃げたのよね・・・・・。

『ケーキ・・・・先に食べちゃおうか?』

ヒロも何も感じていないようね・・・・・。

『そうだね、アベちゃん、お茶入れて〜』

・・・・・何も言うまい・・・・・。

この二人には、何を言っても無駄な気がする・・・・。



神様、せっかく雇った有能な社員が辞めるって言い出しませんように・・・・・。


それだけを願いながら、私は小さくため息をついた。







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end ----------






久しぶりに書いてみましたが・・・・・・いかがだったでしょう?
アベちゃんにも、ついに王子様が?!
幸せになって欲しいですよね〜〜〜〜へっへっへ・・・・( ̄ー ̄)゛←(謎笑)

※タイトルの意味は「似たもの夫婦」です(笑)

流花
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