★ Christmas ★ いつか王子様が・・・・・(5)

 

 

クリスマス・・・・・だからなんなの?

この仕事に就いたときに、甘〜い幻想は捨てたわよ。

私の王子様はキリスト教じゃないと思うしね・・・・・・多分・・・・・。

 

ダイスケのディナーショーが終わって、息を吐く暇もなく今年は先生のイベントゲストに呼ばれている。

一応、昼過ぎには会場入りする予定になっているので、午前中に事務所で打ち合わせ・・・という名の休息タイム。

ダイスケはお茶を飲みながら、ゲームボーイに興じていた。

 

『クリスマス・イブはどうだったの?』

私の、ちょっと意地の悪い質問にダイスケが顔を上げる。

『どうって? スタッフのみんなとミニパーティーやったじゃん・・・・』

まぁね・・・・ケーキ食べたくらいのものだったけどね・・・って、そうじゃなくて・・・。

『だから、そのあと・・・』

『あとって・・・・帰って寝たよ。今日寝坊できないのわかってたから』

ずごーく冷静に話してるけど・・・さっきから あまり機嫌よくなさそうなのは何故?

『・・・・電話なかったの?・・・・王子から・・・』

一瞬、ダイスケの顔が引きつった。 そっか・・・・なかったのね。

『だって、ヒロ大阪だし・・・お仕事なんだから、いちいち電話なんてして来ないよ』

『電話なんて3分あれば出来るじゃない?』

私も言わなきゃいいのに・・・・、ほぉら、ダイスケ黙っちゃった。

『まぁ・・・電話できないくらい忙しかったかもしれないしね』

慰めるつもりでいったんだけど、これが薮蛇。

『何が忙しかったんだか・・・・イブだし、女の子と遊ぶのに忙しかったかもね』

そんな寂しそうな顔で笑わないでよ。 見てるほうが辛いじゃない。

『女の子と遊ぶ暇があったら、ボクと遊んで・・・くらいのこと言ってやればいいのに』

『やだよ、かっこ悪い』

ヘンなところでプライド高いっていうか・・・。

『ヒロにはそれくらい言わないと、遊びまくっちゃうわよ?』

『ヒロが遊びたいんなら・・・・』

ちょっと、ちょっと、本気で言ってるの?

『女の子と遊んでも平気?』

『・・・・平気じゃないけど・・・・』

そう言って、手元のゲーム画面に目を落とす。

『好きなんでしょ?』

『好きだよ・・・』

ゲーム画面から目を離さずに小さな声で言うダイスケに、ちょっと苛立ってしまう。

『好きなら、ちゃんと・・・』

『束縛出来ないくらい・・・好きだよ』

・・・・・あぁ、そう・・・・。

ため息をついた私を見上げてダイスケが苦笑いする。

『その言葉、ヒロに言ったことあるの?』

『言ってないよ』

『どうして?』

『・・・・かっこ悪いじゃん』

あなたの “かっこ悪い” の基準がわからないわぁ・・・。

『あのタイプは言わなきゃ一生わからないかもよ?』

『いいよ、わからなくても・・・好きだってことはわかってると思うから』

そりゃね、あれだけ身体中で好きだって示してるんだから、わからないほうが変よ。

『電話、してみたら?』

『寝てるよ、きっと・・・』

自分からかけるのは、かっこ悪い・・・・とかいうんじゃないでしょうね。

『そうね、女の子のベッドでね・・・』

なんだか、はっきりしないダイスケが歯痒くて、つい憎まれ口きいてしまう。

ダイスケは泣きそうな顔をして私を睨みつけたけど、すぐにまたゲームを続ける。

まったく・・・・あんな女ったらしのどこがいいんだか・・・・・。

ヒロだってキリストとは縁もゆかりもないだろうけど、恋人がいるんだからクリスマスは電話くらいすればいいのよっ。

構ってもらえずに拗ねている、この子供の面倒みるの誰だと思ってるの? 

その時、私の心の声が聞こえたかのようにダイスケのケータイが鳴った。

着信音でヒロだとわかったダイスケはソファーから転げ落ちる勢いで電話に飛びつく。

『はいっ・・・うん・・・今、事務所・・・え?・・・あぁ、これからお仕事だから預けてあるよ・・・・え?5分?・・・ヒロ?』

ケータイを持ったまま、ポカンといった感じでダイスケが私を見た。

『どうしたの? ヒロだったんでしょう?』

『うん・・・・5分で行くって・・・・どういうことかな?』

『どこに行くの?』

『・・・えっと・・・多分・・・ここ?』

『はぁ?』

どういうことか、ちゃんと説明して・・・っていう私の言葉なんて、もうダイスケの耳には届いていない。

そそくさと、ゲームボーイをしまうと、洗面所へ駆け込む。

大丈夫、髪も服も乱れてないって。 てか、アンタの王子は乱れてるほうが好きなんじゃないの?

 

 

きっちり5分後に王子登場。

その胸に抱えたピンクのバラはお約束なの? これでスーツ着てたらまるっとホストだわ。

私が、めげている横でダイスケが目をキラキラ輝かせてヒロを見上げている。

うそ・・・あれがいいの? 趣味悪いわよ、ダイスケ。

『メリークリスマス、出かける前でよかった。 はい・・・』

そう言ってヒロからバラの花束を渡されたダイスケの笑顔が眩しくて目を逸らしてしまった。

『ありがとう、ヒロ・・・綺麗だね〜』

『大ちゃんのほうが綺麗だよ〜』

うげぇ・・・・吐くぞ! 吐いてもいいか?!

倒れそうになってる私を無視して、熱い抱擁を交わしている二人・・・。

蕩けそうな顔でバラごとヒロの胸に抱かれているダイスケに訊きたかった。 

“ダイスケ、人前でそれはかっこ悪くないのか?”

こんな時間にヒロが起きてるなんてめずらしい・・・と思ったら徹夜明けで今から寝に帰るとこだったらしい。

たまたま、この近くだったから寄ったらしいんだけど・・・・。

ねぇ、一晩中、どこで遊んでたのか訊かないの? 気にならないの?

ダイスケに言ってやりたかったけど・・・・・・。

ソファーに座って、ディナーショーの報告をしあってる二人を見てたら、なんだか馬鹿らしくなってきた。

ヒロが好きで好きでたまらないのに、女の子と遊ぶことを容認しているダイスケと

ダイスケを好きだといいながら、女の子と遊んでいるヒロと・・・・・これは・・・お似合いなのかもしれない。

でも、そんなこと絶対 言ってやらないけどね。

これ以上甘やかしたら、どこまでエスカレートするかわかりゃしない。

・・・・・あっ・・・・・・ほら、始まった。

ヒロの腕がダイスケの肩に回って、見上げるダイスケの顔とヒロの顔が近づいて・・・。

『ちょっと、コンビニ行ってくるわねっ』

恥知らずな二人をおいて、ドアを閉める。

 

これだけは言ってやらなきゃ・・・ “人前では慎め!” って。 

・・・ただ、私が “人” として認めてもらっているのかが問題なんだけどね・・・。

 

コンビニで一人、買いたくもないお菓子を手に取りながら “人” とは何かを考える。

そんな哲学的なクリスマス・・・嫌っ!!!

 

 

 

---------- end ----------

 

 

 

クリスマスの夜中に何書いてんだろ、私・・・(_ _;)

きっとアベちゃんより不毛なクリスマスを過ごしてるわね(泣)

すみません、年末で、こんなものしか書けませんでした。

ラブ度低いですね〜〜〜(T_T)

流花

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