* * * HERO * * *

リクエスト内容・・・・・オフの日に大ちゃん宅で仮面ラ☆ダーを見せられているヒロ

 

今日は1日中オフということで、オレは午前中から女の子に電話して出掛ける身支度を整えていた。

まず食事かなぁ・・・・、あとは・・・ドライブ・・・・どこにしよう・・・・。

鼻歌混じりで車のキーを掴んだところにケータイが鳴り出す。

・・・・・・アベちゃん? 仕事はなかったはずだけど・・・・。

“ヒロ? 今どこ?” ・・・・・ いきなりだなぁ・・・・・

『今から家出るとこ』 ・・・・・ デートなんだよね〜とは言えないが ・・・・・

“オフよね、今事務所に訊いたから。 デート?” ・・・・・ あらら、お見通し? 思わず返事に詰まる ・・・・・

“やっぱりね・・・・、ダイスケには内緒にしといてあげるから今日のデートは取りやめてくれない?”

『え? なんで? 何かあるの?』

“ダイスケが熱出したのよ、それで・・・・”

『えぇ! 風邪? 今寝てるの? 病院行った? 点滴は? まさか、入院とか?』

“ちょーっと! 落ち着いてよ。ちゃんと生きてるから”

『あ・・・・ごめん・・・・』

アベちゃんのクスクス笑いを聞きながら、すでに駐車場に向かって歩き出していた。

“夕べから熱出して・・・・疲れかららしいんだけど・・・・”

『今は寝てるんでしょ?』

“それなのよ” ・・・・・アベちゃんの大きなため息が聞こえた ・・・・・

“家にはいるんだけど・・・・見張ってないとすぐ起きて何かし始めるのよね・・・・・”

本読んだり、ビデオ見ようとしたり、犬の散歩にも行きそうな勢いで・・・・・手に負えない・・・・とお母さんのようなことを言っている。

『で、オレに見張ってろって?』

“ていうか、ヒロの言うことだったらきくでしょ?” ・・・・・ なんでそう思うかな ・・・・・

『アベちゃんの言うこともきかないのにオレがどうこうできるとは思わないけどね』

そう言うと、電話の向こうのアベちゃんが鼻で笑う。

“なーに言ってるの、アンタには私に使えない手がいろいろ使えるでしょ〜?” ・・・・・あぁ、、、、それアリなの? ・・・・・

『熱あるのに、いたしちゃっていいの?』

“バカ! 誰がそこまでヤレっていったの! だめよ、熱あんだから!” ・・・・・ だよね〜 ・・・・・

とにかく うまく言いくるめて安静にさせてろと命令口調でお願いされて・・・・。

“犬は私が連れてくから、今から来てくれない?”

『うん、もうそっち向かってる。 30分で着くよ』

素早いのね〜、と笑うアベちゃんといっしょに笑いながら心の中で感謝、オレを呼んでくれたことに・・・。

そして、悪いなぁと思いながらも熱を出してくれた大ちゃんに感謝・・・。 

この時点で女の子との約束はオレの頭の中から綺麗に消えていた。

 

 

大ちゃんのマンションのドアを開けるとワンコより100倍可愛い生き物がオレを待っていた。

『ヒロ〜、ごめんね、アベちゃんが無理言ったんでしょう?』

ほや〜っと笑う顔は元気そうに見えるけど、よく見ると確かに少し熱っぽい感じだ。

靴を脱ぎ捨てるとすぐに、その淡いブルーのパジャマに包まれた細い身体を抱きしめる。

『大丈夫なの? 気分は?』

『平気だって。 アベちゃんが大袈裟にい・・・ぅわっ、ヒロ?』

大ちゃんの身体を そのまま横抱きにして寝室に向かって歩き出す。

『ヒロォ? 大丈夫だってば。歩けるよ』

恥ずかしそうにしながらもオレの首に回した腕は解こうとはしない。 ベッドに降ろしてもその腕は巻きついたまま・・・・。

もちろん そのままKiss・・・。 大ちゃんの息が上がってその腕が自然に解けるまで・・・・・・・・・っと、ヤバイ!

オレは慌てて身体を起こした。

『ど・・・・したの?』

大ちゃんがびっくりしていっしょに起き上がる。

どうしたもこうしたも、うっかり勢いでやっちゃうとこだった・・・・・、あぶない、あぶない。

『ヒロォ?』

熱で少し潤んだ瞳で見上げてくる大ちゃんを無視するのは非常に辛いけど・・・・、

『今日は・・・なしね・・・熱あるんだから』

『ええぇ〜〜〜?』

えぇ〜って大ちゃん・・・・・今日に限ってやる気満々? よっぽど退屈してたんだね。

オレは なんとか大ちゃんの気を逸らせようとして部屋を見回すと、目に付いたそれを指差した。

『大ちゃん、あれ何?』

ベッドから見える位置においてあるテレビ用のサイドボード脇にDVDパッケージがいくつか散らばっている。

『ああ・・・仮面ライダーのDVDだよ。 暇だったからちょっと見てたんだ』

キスの途中で放り出されたのが不満だったらしく、少し拗ねたように言う。

仮面ライダーね・・・・・。 この際だ。

『面白いの? いっしょに見ようか?』

にっこり笑うオレを大ちゃんは胡散臭そうに見上げて・・・・でも、ベッドを降りてDVDをセットしに行く。

見たくなんかないくせに・・・・・小さく呟きながらも、声が少し弾んでるよ、大ちゃん。

リモコン片手に戻ってきた大ちゃんの機嫌が直りかけているのは、その顔を見れば明らかだった。

しかし、仮面ライダーか・・・・・。 子供の頃は見てたけどさ・・・・・。 眠くなったらどうしよう・・・・・。

オレの不安をよそに、大ちゃんはDVDを見ながら、内容を説明してくれている。

『これはね、ちょっと前のライダーで、ほら、ライダー役がオダギリジョーっていうの、この人、知ってる?』

『あ・・・ぁぁ・・・見たことある。 有名だよね?』

『うん、今はね。 でね、彼の相棒の刑事がこの人で・・・・・・ね、かっこいいでしょ?』

かっこいい? そこにはトレンチコートを着た刑事にしては髪の長い・・・確かに甘いマスクの男が映っている。

『カツラヤマくんっていって、僕の曲歌ってもらったことあるんだ。 素は面白い人なんだよ』

画面を見ながらも、大ちゃんはカツラヤマくんが あーした、こうしたと楽しそうに話し始める。

オレは会ったこともないので ただ頷いてるだけだったが、話が面白いとか、性格が意外に可愛いんだとか、

背がスラッとしてて、役者さんなのに歌が上手い・・・とか・・・。

大ちゃんの口から、他の男の話を聞くのがこんなに不愉快なことだとは思わなかった。

もうテレビの内容なんて まったく頭に入ってこなくて、画面に映ってる大ちゃんお気に入りの俳優も見たくない。

オレは大ちゃんの持っていたリモコンを何気に取り上げると、スイッチを切ってしまった。

『少し、眠った方がいいよ。起きたら何か食べよう?』

ちょっと強引かなと思ったけど、無茶は言ってないよね。

『ヒロ?』

『ん?』

『何か・・・・・怒ってる?』

いや、別に怒ってるわけじゃないよ。 だから そんな不安そうな顔しないで。

『怒るわけないでしょ。 ほら、寝てて。 何か買ってくるから』

出来るだけ優しく言うと、まだ何か言いたそうな大ちゃんを残してベッドから立ち上がる。

 

寝室を出たところで、オレのケータイが鳴った。 

あっちゃ〜・・・・・、すっかり忘れてた。 今日会うはずだった彼女からだ。 

“いったい、いつまで待たせる気なのっ?!”

『ごめんっ! 急な仕事が入っちゃって・・・』

“仕事? オフだっていってたじゃない” “電話くらいできたでしょう?” “私のことなんだと思ってるの?”

耳が壊れそうな声で怒鳴られても、悪いのはこっちなんだから、ただ謝るのみ。

『うん・・・だから急な仕事でね・・・』 『いろいろあって、電話する間がなくてさ・・・』 『今度埋め合わせするから・・・・』

“会いたいって言ったのはヒロでしょ?” ・・・・・ はい、確かに。 だって暇だったから・・・・・とは、言わないけどね ・・・・・・

『うん、会いたかったよ。 今だって、すぐ会いたいけどさ・・・・ごめんね。 次に身体が空いたら絶対・・・・ね?』

オレの絶対は当てにならないけどね〜。 なんとか誤魔化して電話を切ることが出来た。

大ちゃんには聞こえなかったよね・・・・・寝室のドアを振り返るとなぜかほんの少し開いている。

あれ? 確かちゃんと閉めたと思ったんだけど・・・・・・・・中を覗くと、大ちゃんがベッドに座って、こちらを睨んでいる。

うわ・・・マジでヤバイ。

『大ちゃん? 聞いてた?』

ベッドに近づくと、大ちゃんは完全に俯いてしまって、オレを見ようとしない。

『・・・・かったら・・・・・・ればいい・・・・』

何か、呟くように言ったのが聞こえなくて、跪いて大ちゃんの顔を見上げたら・・・・・

『帰れば? 女の子と約束があったんだろっ?』

『ちが・・・』

違うと言いかけて、いや、違わないか・・・と、言葉を詰まらせてるところに大ちゃんの声が降ってくる。

『変だと思ったんだ。 何もしないし、DVD見ててもすぐ切っちゃうし・・・なんかずっと怒ってるみたいだったから・・・』

オレが怒ってる? 怒ってるのは大ちゃんでしょう?

『デートが駄目になったから不機嫌だったんだ? そりゃキスもしたくないよね・・・・・』

矢継ぎ早に言いながらも、大ちゃんの声にどんどん勢いがなくなってくる。

『ちょっと待って、大ちゃん。 確かに約束はしてたんだけどね、でも・・・』

『アベちゃんに言われて断れなかったんだよね? イヤイヤ来てくれたん・・・・・』

『大ちゃん?!』

なんで泣くの〜! 話の途中から涙をこぼし始めた大ちゃんを慌てて抱きしめる。

『帰っ・・・て・・・いいよ・・・会いたいって・・・・・言ってたじゃ・・・・』

嗚咽をこらえながら何いってるんだか、この人は・・・。

『大ちゃんより会いたい人なんていないよ。 だから機嫌なおして・・・』

『う・・・・そ・・・ばっ・・・・か・・り・・・』

大ちゃんの涙はなかなか止まりそうにない。 きっと熱のせいで、情緒不安定になってるんだと思う。

普通なら、こんなことくらいで泣き出す人じゃないから・・・。

オレは大ちゃんの身体をゆっくりベッドに押し倒すと、舌で瞳の涙を拭いとる。

『しょっぱい・・・』

オレの言葉に大ちゃんが、ちょっと微笑む。

『訊いていい?』

な〜に? そんなうるうるした目で訊かれたらなんでも答えちゃうよ。

『さっき、DVD消した時、絶対何か怒ってたよね?』 

うっ・・・、 トレンチコートの男にジェラシー感じてましたって言わせたいの? 

『ねぇ、大ちゃん・・・・仮面ライダー好き?』

唐突なオレの言葉に、キョトンとしながらも、小さく頷く。

『じゃあ、大ちゃんのヒーローは誰?』

オレが何を言わせたいのか、すぐに察した大ちゃんは笑いながら答えてくれる。

『僕のヒーローはヒロ・・・だよ』

『よく出来ました。ご褒美・・・』

大ちゃんの唇に軽く触れるだけのキスをする。

これで、オレのジェラシーは誤魔化せたはず・・・・・って、あれ?大ちゃん、その膨れっ面は何?

『それで 終わり?』

あぁ、こんなキスではご不満ってことね。 では・・・・

大ちゃんの小さな口を包み込むように唇を押し当てる。 

薄く開いている唇の間に舌を滑り込ませると、大ちゃんの甘い舌が待っていて、それをゆっくり味わう。

『んっ・・・・』

大ちゃんの声に煽られそうになったけど、ぐっと我慢をして、唇を離した。 なのに・・・・

『ホントに・・・しないの?』

だ〜か〜ら〜、その色っぽい目はやめなさい。

『熱あるんでしょ?』

『熱あったら・・・・・いや?』

だ〜か〜ら〜、その可愛い仕種はやめなさいって。

『いやとかじゃなくてさ・・・・身体に悪いから・・・』

『このままで放って置かれるほうが身体に悪い気がするな・・・・・』

だ〜か〜ら〜・・・・・・誘ったのは大ちゃんだからね! と、心の中でアベちゃんに言い訳しつつ・・・・

『オーケー、終わったら大人しく寝る?』

『うんっ!』

コクンと頷く可愛い生き物には正義のヒーローも敵わないよね・・・・。

 

 

結局、朝になると大ちゃんの熱は すっかり下がってて・・・・・オレのあの我慢は何だったんだ?

いや、結局我慢しなかったんだけどさ・・・。

これならアベちゃんにバレて怒られることもないなと思っていたら、その日の夜に当のアベちゃんからメールが来た。

【ダイスケのベッドには、蚊でもいたのかしら?】

なんのことだろうと思っていたら、すぐに2通目のメールが・・・・。

【今日のグラビア撮影で冷や汗かいたわよ!この節操なし!キスマーク付けたいなら場所を考えなさい!】

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しまった・・・・・。

 

 

---------- end ----------

 

 

キリ番9999のyou−kaさんに進呈いたします。

なんとか仮面ライダーいれてみましたがいかがだったでしょうか?

熱のある大ちゃんをもっと壊れさせてみたかったんですが

どんどんリクから離れてしまいそうなのでやめておきました(^_^;

※カツラヤマくんは個人的に思い入れがあるので、つい出してしまいました(笑)

                              流花

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