*Harmonie * (ハルモニア)






クリスマスが近い。

ということで、明日のディナーショーを控えて僕はゆっくり睡眠を取るために

いつもより早めにベッドに潜り込んだんだけど・・・・・・すっごくグッタリしている。

隣に眠るこいつのせいでね。




冷たい薄闇の中、静かに寝息をたてているヒロの横顔をじっと見つめる。

さっき、いきなりやってきて僕をベッドに誘い込んだ。

いや、もちろん、僕も誘い込まれて嬉しかったわけだけど・・・・なんで今夜かなぁ。

ディナーショーが終わってから、ゆっくり会おうって言ってたのに・・・・。

きっとヒロの方に会えない事情≠ェ出来たに違いない。

どんな事情か考えたら胸がキリキリ痛むので、気付かない振りを決め込む。


『ぁ・・・』


僕の指に絡まったヒロの指がピクッと動いたけど、起きたわけではないらしい。

綺麗な指・・・・。

さっきまで、この指が僕の身体の上を動き回っていたんだな・・・って思ったら、

どこかで燻っていたらしい僕の中の欲情が、少し熱を上げた。


最近は、二人ともセックスが後を引くこともなく、終わるとさっさと寝てしまうことが多くなった。

いつまでも若くないし、セックスは愛のオマケ的な存在になってきている。

それでも僕は満足だけど・・・・・・。

ん?僕は・・・って?・・・・・なら、ヒロは?

もちろん、ヒロも・・・って信じているけど・・・・信じていいよね?

ヒロの手を握っている指に力を込めた。


いつまで、この手を握っていられるだろう?

このまま、ヒロの中に溶けてひとつになれたら素敵なのに・・・。

ヒロの中の僕が曲を作って、それをヒロが歌って・・・・何をするのもヒロと一緒。

永遠なんて信じちゃいないけど、少しでも長く一緒にいたいと願っている。


もし、ヒロがいなくなったら・・・・・


そんなことを考えてたら、鼻の奥がツンとしてきて・・・・溢れた涙が止まらなくなった。

なんで泣いてんだよ、バカみたい・・・。

涙を拭くのにヒロの手を離そうとしたら、その手をぎゅっと握られてびっくりする。


『ヒロ・・・・目、覚めたの?』

『だって、大ちゃん泣いてるから・・・』

『あ、ごめん、起こしちゃったんだ・・・』

泣き笑いの僕の頬をヒロの指が優しく撫でる。

『どうしたの? 嫌な夢でも見た?』

心配げなヒロに、寝てもいなかったんだけど・・・とは言えなくて小さく頷く。

『どんな夢?』

『う・・・ん・・・ヒロが・・・・いなくなる夢』

適当な僕の言葉に、ヒロの顔が一瞬で曇る。

『オレ・・・そんなに信用ない?』

『え? 違うよ、そんなことない・・・』

『そんなことあるから、そんな夢みるんだよ』

どうしよう・・・怒らせるつもりはなかったのに・・・。

『ヒロ、ごめ・・・』

『ごめんね』

僕の言葉に被せるように謝ったヒロが、そのまま僕を抱きしめた。

『オレが悪い。 ぜ〜んぶオレが悪い』

耳元で囁くヒロの声に、不思議と不安が薄れていく。


『うん、ヒロが悪い・・・・』

『あ・・・調子に乗ったな』

『うん、乗ってみた』

寝室に二人の笑い声が響いて、冷たい部屋が少し暖まった気がする。


『ヒロとね、ひとつになれたらいいなぁって思ったんだよね』

勢いで話してみた。 今なら笑い話になるだろうから。

『ひとつって? 合体?』

それならしてるじゃん、というヒロの戯言は聞き流す。


『そうじゃなくてさ〜、融合? 僕がヒロの中に入って曲作って、ヒロの身体がピアノ弾いて歌ったりするの』

『オレがキーボード操れちゃうんだ?』

それはすごいだのカッコイイだの、ベッドの中で寝転がったままキーボードを弾くジェスチャーで

盛り上がってるヒロを見て、僕も連弾の振りをしてみたら、ふと、ヒロの動きが止まった。

『・・・だめだよ、大ちゃん』

『何がだめなの?』

『そうなっちゃうとさ・・・・オレ、どうやって大ちゃんとエッチすればいいわけ?』

難しい顔をするものだから、何のことかと思えば・・・

『・・・・う〜・・・・ひとりエッチすれば?』

『え〜!!! やだ! 却下! 反対!』

『そんな必死にならなくても、融合なんて出来ないから』

笑い出した僕を、ヒロが再び抱きしめる。

『オレが大ちゃんの中に入っちゃえばいいかも・・・』

『じゃ、僕が高〜い声で歌えちゃう?』

『そう! でもって大ちゃんの中にいるんだから、きっと大ちゃんを抱きたい欲求もなくなる! 一石二鳥!』

なるほど・・・・・いや、待てよ。

『それ、だめだ』

僕の髪を指でクルクル遊んでいたヒロが不思議そうに僕を見る。

『なんで?』

『だって・・・・そうなったら、誰が僕を抱きしめてくれるわけ?』

『う〜ん、新しい恋人とか?・・・・って・・・ちょ・・・大ちゃん・・・』

ふいに泣き出した僕を、ヒロは苦笑いしながら見下ろしてる。

『冗談だってば・・・融合なんかしないって、大ちゃんが言ったんだよ?』

ほら、泣かないでと、僕の涙を唇で掬い取ってくれる。

『ヒ・・ロは・・・僕に恋人・・が出・・来ても平気・・なん・・・だ』

しゃくりあげながら、なんて子供じみたこと言ってるんだろうってわかってはいたんだけど

なんだか今夜はナーバスで・・・・明日のディナーショーのせいで心が不安定なのかもしれない。

そんな僕の気持ちを見透かすように、ヒロは柔らかく微笑んでキスを落とした。

最初は優しく、でも少しづつ深くなっていく口づけに身体の奥が疼き始める。

さっきやったばっかりなのに・・・・・・・・セックスは愛のオマケじゃなかったのか?

自分に突っ込んでみても、ウズウズはなくならない。

ヒロに腰を押し付けるように抱きつくと、ヒロはやんわり身体を引いてしまう。

『・・・ヒロ?』

『だめだよ、明日は大事な日でしょ? 今日はおとなしく寝てね』

そんな子供を諭すように言われても、火がついた身体は簡単には治まらない。

『ヒロがキスしたくせに〜!』

『あれは、おやすみのキスだから・・・』

どこが!

『ね、ヒロ・・・お願いだから・・・』

両手を胸の前で組んで、思いっきり可愛くおねだりしてみる。

『うん、今度にしようね。 ディナーショーが終わったら、大ちゃんが嫌って言っても離さないから・・・』

くそっ! だめか・・・・・。

『やだ! 今がいい! 今してくんなきゃ、明日絶対失敗する! そしたらヒロのせいだからね!』

もう言ってることは無茶苦茶だったけど、ヒロの大きなため息で僕は勝利を確信する。

『もう・・・・本当に、ちょっとだけだよ?』

『うん!』

『終わったらすぐに寝るんだよ?』

『は〜い!』

良い子になった僕は、ヒロの首に腕を回してキスをねだる。

さっきよりも深くて熱い口づけに酔わされているうちに、パジャマの中にヒロの手が進入してきた。

『んっ・・・』

僕のそこは、さっきの余韻でまだ柔らかく、ヒロの指を簡単に飲み込んでしまう。

思わず漏れる喘ぎ声は、ヒロの熱い舌に絡めとられて息が止まりそうだ。

ヒロの唇が首筋に落ちると同時に、その指は僕の敏感なところを攻めてくる。

『あぁっ・・・あっ・・・』

胸の突起を甘噛みされて、快感に身体が跳ねた。



執拗なヒロの指と舌に、もう我慢が出来ないくらい張り詰めているのに

蠢くヒロの指に合わせて腰を揺らしてねだっても、なかなかそれはもらえない。

意地悪! すぐ終わらせるんじゃなかったの?

下から軽く睨みつけたら、ヒロは唇の片端をあげるように妖しく微笑う。

なんか、嫌な予感。

『な〜に? どうして欲しいの? ちゃんと言ってごらん?』

このドS! 

僕が言えないの知ってて、わざと言うんだから・・・。

でも、背に腹は代えられない。

『ヒロの・・・が・・・欲しい・・・』

『どこに?』

もう、いっぱいいっぱいだよ。 許してよ。

僕の目尻から零れた涙を見て、ヒロが満足気に微笑んで、指を抜いていく。

『ごめん・・すぐにあげるから・・・』

そんな色っぽく囁いても許してやるもんか。

『ほんっとに意地悪だよね・・・いつも・・・あっ・・・・んっ・・・』

ヒロで満たされた満足感に吐息をつく暇も与えず、強く腰を押し付けられた。

『あっ・・・あ・・・あぁ・・・』

もっと深く、もっとヒロを感じたい。

でもそんなこと口では言えないから、その腰に足を絡める。

『ヒロォ・・・』

僕の気持ちは、すぐに伝わって、ヒロの動きが激しくなった。



少しづつ、靄がかかるように思考が停止していく。


そして、最後に思ったのは、明日のことではなく・・・・・融合のこと。


そっか、いままでだって、ヒロと僕はいろんなことで融合しているんだ。


だったら・・・・・・・・・・大丈夫。


きっと、明日も、来年も、10年後だって、ヒロと一緒にいられるだろう。



そんな、確信の中、僕は幸せな気持ちで、ゆっくり意識を手放した。








---------- end ----------







またかよ! はい、またイチャイチャでございます。
だぁって、聖夜ですよ?(言い訳)
1日で書いたんです。 私には快挙です。 
それだけで満足です(*^^*)←(お前はな)

流花



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