* 笑顔のために *





もうすぐクリスマス。

でも君と一緒には過ごせない。







ヒロユキが大きな口を開けて、ケーキを頬張ってる前で

ダイスケがケーキの上のイチゴを指で摘まむ。

『大ちゃん・・・お行儀悪い・・・・』

そういうヒロユキの声は甘すぎて、まったく注意になっていない。

だからダイスケも反省なんてしないで、そばにあった紙ナプキンで指を拭く。

『だって、フォークで刺しにくかったんだもん』

ちょっと離れたところでは、ワンコたちが物欲しげにこちらを見ていて

ヒロユキとしては、クリームくらい舐めさせてあげたいのだが

ダイスケに止められているので、あえて目を合わせないようにしている。





クリスマス間近、空いてる時間を見つけて、

ヒロユキがケーキを片手にダイスケの部屋にやって来た。

いつもなら、この時期はお互い会わない・・・いや、会えないことが多いのだが


ケーキを食べる相手なんてヒロ以外にもいるし〜


電話でのダイスケのチクッとした一言で、ヒロユキが慌てて飛んできたのだ。

まさか、来てくれるとは思ってもいなかったダイスケは

内心、跳びあがるほど嬉しかったのだが

来たの? 仕事大丈夫? 無理しなくてもよかったのに・・・・

と、平静を装い迎え入れたわけだが、

足が小さくスキップを踏んでいたのをヒロユキは見逃していない。

だから今、ダイスケに負けないくらい、ヒロユキも上機嫌だ。




『プレゼント、なくてごめんね』

唇の端に生クリームをつけたたままでヒロユキが上目遣いにダイスケを見る。

『いいよ〜、こないだ誕生日のもらったばかりだし・・・』

笑いながら、指先でヒロユキの唇の生クリームを拭うと、その指をペロッと舐めた。

『あ・・ありがと・・・・ってか、それ誘ってる?』

『は?』

何を言われたのかわらないダイスケに、ヒロユキは自分の人差し指を舐めてみせる。

『あぁ・・・違うって! 大体、そんなイヤらしい舐め方してないし〜』

『なんだ・・・・誘ってないんだ?』

『当ったりま・・・・え・・・・でもないか・・・』

微妙に語尾を濁らせたダイスケに、ヒロユキが笑い出す。

確かに、ここまで来て何もしないで帰るヒロユキではないし、帰らせるダイスケでもない。


『オレ、リハがあるから・・・・時間ないんだよね・・・・』

言いながら、ヒロユキの視線は奥の寝室へと彷徨う。

『ん・・・・シャワーどうする?』

ダイスケの囁くような問いに、ヒロユキは立ち上がりざま、シャツを脱ぎ始めた。

『ヒロ?』

『だから時間ないんだってば。 おいで・・・』



腕を掴まれ、そのままベッドまで連れて行かれ、

性急に押し倒すヒロユキに、ダイスケは本当に時間が限られていることを知らされる。

そんな忙しい時なのに、会いに来てくれたことがすごく嬉しい。

バニラの香りのキスを受けながら、ダイスケも自分でシャツのボタンを外していく。



時間がないからといって手は抜きません、と言わんばかりに執拗に攻めてくるヒロユキに

ダイスケは必死に応えながらも、ここ2日ばかり、

ちゃんと睡眠を取っていないせいか体力がついていかない。

『んぁ・・・ヒロ・・待・・って・・あっ・・もっと・・・ゆっく・・り・・・』

呂律の回らない口で、お願いしてみても逆効果なだけで・・・・

思わず、ヒロユキの背中に爪を立てる。

『つっ・・』

『あ・・ごめ・・・』

痛かったのかと思わず謝ったダイスケに、ヒロユキが不敵な笑みを見せる。

しまった・・・・・

そうダイスケが思っても、時すでに遅し。

ヒロユキの反撃が始まった。


『やぁっ・・・・あぁっ・・・あ・・・あ・・・』


やめて・・・・・ごめんなさい・・・・最後には、助けてという言葉まで飛び出して、

それでも、身体いっぱいにヒロユキを感じられることが嬉しくて・・・・・。







『大ちゃん・・・』

軽く肩を揺すられて、ダイスケは自分がいつのまにか寝ていたことに気が付いた。

瞼を上げると、いつの間にかヒロユキは身支度を整えてベッドに腰を下ろしている。

『もう行かなきゃ・・・』

名残惜しそうに、ダイスケの頬に手を伸ばす。

『・・・ごめんね、忙しいのに・・・』

身体が重くて、やっと動かすことの出来た手をヒロユキの手に重ねた。


『ううん・・・こっちこそ・・・無理させちゃった? 身体辛いんじゃない?』

『ぜんぜん・・・気持ちいいくらい・・・』

そう言って微笑ってみせると、ヒロユキも安心して微笑みを返す。


『ヒロが笑うとさ・・・・』

『ん?』

『・・・なんか、あったかくなる』

『そう? オレは大ちゃんが笑うと幸せな気持ちになるよ?』

『それは、ボクだって・・・んっ・・』

最後まで言わせずに、唇を塞がれた。




この笑顔が見たいから、君の側を離れない。

この笑顔が見たいから、どうか側にいて欲しい。






いつも会えないクリスマス。

でもクリスマスより100倍素敵な

今があるから大丈夫。









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end ----------









うわ〜い・・・・1年ぶりだ〜(^ー^;
まったく、成長してない・・・ってか退化してたりして・・・。
本当に、久し振りにこんなんですみません!(笑)

かおりちゃんに背中を押され
suicaさんに触発されて書きました。m(_ _)m

流花


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