・・・ Dream ・・・

* リクエスト内容・・・・・White Lights

 

見渡す限りどこまでも続いているような雪の野原。

空には大きな満月が輝いていて その光に照らされて、白いシルクを敷き詰めたように雪原が淡く浮かび上がっている。

『寒い・・・・・』

僕の吐く息が白く流れていく。

振り返っても、そこには僕の付けた足跡が続くだけで、誰もいない。 何の音も聞こえない。

どうして一人なんだろう? ワンコもいない。  ・・・・・・そして・・・・・・

『ヒロ・・・・・』

呟いてみても、もちろん返事なんかない。 冷たく輝く白い月を見上げて今度は大きく叫んでみる。

『ヒローーーッ!』 

自分の声すら響かない雪原。

そうだ、ヒロがいるはずはない。 A*Sはやめちゃったんだから・・・・・・ヒロは行っちゃったんだから・・・・・。

ヒロがいないことに慣れていたはずなのに、どうしてこんなに胸が痛いんだろう・・・。

『ヒロ・・・ヒロ・・・・・・』

 

 

呟く自分の声で目が覚めた。

スタジオのソファーでうたた寝をしていたらしい。 だから寒かったのかな。

『ヒロ・・・』

そうだ、ヒロは帰ってきたんだ。 また一緒にA*Sをやるんだ。

“いいよ” ヒロは確かにそう言った。

僕がヒロを好きなこと、ヒロは昔から気が付いていた。

でも僕はヒロに何も望まなかった。 一緒にA*Sがやれるなら・・・・・。

そばで歌ってくれるならそれでよかった。 それでも僕の気持ちはヒロには重くて・・・・・僕の前からいなくなった。

ヒロはもう二度と戻ってこない・・・そう思っていたのに・・・僕がA*Sに誘ったら、びっくりするくらいあっさりと “いいよ” って。

それだけでも幸せだったのに、僕の気持ちまで受け止めてくれて・・・・・夢みたいだ。

 

・・・・・夢? もしかしたらこれは夢? ヒロに会いたい気持ちが見せた都合のいい夢なのか?

 

違う、違う! ヒロのために新曲を作ったばかりだもん。

とても綺麗なメロディーラインの・・・・・え・・・っと・・・・・・・・・あれ? どうしたんだろう、思い出せない。

夢・・・・・だから? 違う、絶対に違うってば!

そうだ、ヒロはどこ? ヒロに電話すれば・・・・・・・・・。 テーブルの上にあったケータイを手に取る。

ヒロの番号は・・・・・・。 番号? そんなの知ってたっけ?

どんなに探してもケータイのメモリにヒロの名前を見つけることは出来なかった。

『イヤ・・・・だ、そんなのヤだ・・・・』

震える手でケータイを握り締めたまま、床に座り込む。

『ヒロはいいよって言ったんだ・・・・。夢なんてこと・・・・』

さっき見た夢を思い出したとたん、こらえていた涙が堰を切ったように溢れ出す。

『ヒロ・・・・ヒロォ・・・・』

夢でもいいから、そばにいて・・・・。

 

 

涙の冷たさで目を覚ます。 暗い部屋のベッドの中。

あぁ、やっぱり夢だった・・・・。 ヒロが戻ってくるはずないじゃないか・・・。 ばっかみたい。

『大ちゃん?』

降って来た声に吃驚して寝返りを打つと、ヒロの心配げな顔が見下ろしている。

『・・・ヒロ? どうしてここにいるの?』

長い指で、僕の涙を拭いながらヒロが微笑む。。

『寝ぼけてる? ここオレの部屋だけど?』

『あ・・・・・・』

一気に覚醒。 そうだ、今夜は仕事が終わってそのままヒロの部屋に来て・・・・・あれ? いつの間に眠ったんだろう?

『その顔だと覚えてないね? 大ちゃんが先にシャワー使ってオレが出てきたときにはソファーの上で死んでた』

そう言ってヒロが笑う。

『あ・・・・ごめん・・・・』

『ううん・・・疲れてたんだよね?』

確かに一昨日から殆ど寝てなかったけど・・・・、

『ベッドまで運んでくれたの? 重かったでしょ・・・』

『いや、起きるかなって思ったけど・・・・死んでたね』

笑ってるヒロに、ごめんね〜と両手を合わせる。

『それはいいんだけど・・・・・なんか悲しい夢でもみた?』

心配げに訊いてくるヒロに、ちょっと躊躇ったものの正直に答える。

『うん・・・・ヒロがいない夢・・・・』

言いながら、ふと怖くなる。 まさか これも夢なんて・・・・・・・嫌だ!

不安になってヒロの首にしがみつくと、温かい腕が背中に回されるのを感じた。

『大ちゃん・・・・・夢でしょ? 大丈夫、いなくなったりしないからゆっくり休んで・・・』

やさしいヒロの声を聴いても、さっきの夢が蘇ってきて不安が拭えない。

『ヒロ・・・・』

『ん?』

『しよっか?』

しがみついたまま誘ってみた。 このままじゃ眠れそうもないし・・・。

ヒロが大きくため息をついたのがわかった。 

『大ちゃん、自分が疲れてるのわかってる? 明日だって普通に仕事あるんでしょう?』

抱きしめてくれたまま、子供に言い聞かせるように言う。

でもヒロが欲しいんだもん。 このまま寝たら あの白い夢に押しつぶされそうな気がするから。

ヒロが僕のことを思って言ってくれてるのはわかるんだけど・・・・どうしよう・・・・。

『でもね、ヒロ・・・・・・・ヒロォ?』

ヒロの手が僕のバスローブの紐を解き始めている。

『やらない・・・とは言ってないけどね』

もう・・・・・! 僕の笑い声にヒロもつられて笑う。

『せっかくのお誘いを断れるほど人間が出来てなくて、ごめん・・・』

あっという間にローブが剥ぎ取られ、ヒロの指が僕に魔法をかけていく。

ヒロはどこへも行ったりしない。 ずっと僕のそばにいてくれると思わせてくれる魔法。

 

『あっ・・・あぁ・・・ん・・・・ヒロ、もう・・・』

『もう? ・・・・だめ、もう少し我慢して・・・』

後ろに入れられた指だけで身体がとろけそうになっているのに、ヒロ自身はなかなか来てくれなくて・・・。

『入れていい?』

ヒロの声に僕は何度も頷く。 早く・・・・・ヒロを感じたい。

今夜の僕にはヒロの動きが焦れるくらいゆっくり思えて・・・・。

『はや・・・・く・・・・』

滅多に口にしない僕の言葉にヒロが喉の奥で笑ったのがわかった。

うわ・・・恥ずかしい・・・・。 そう思った瞬間、身体中でヒロを感じる。

『ヒ・・・ロォ・・・・』

必死でしがみつく僕にヒロがやさしく囁いた。

『大丈夫・・・だから・・・』

悪夢は もう訪れないと・・・・・言葉にしなくてもヒロの気持ちが伝わってくる。

そうだよね、約束したんだから。 もうどこへも行かないと・・・・・。

 

 

深い眠りの中で、また夢を見た。  あの雪原に一人で立っている。 

空にはやっぱり満月が輝いているけれど、今は暖かく感じるのは何故だろう?

ふと、雪を踏みしめる微かな音に気が付いて振り返る。

『・・・ヒロ・・・』

僕がつけた足跡の隣に、一歩づつ跡を残しながらヒロが近づいてくる。 

手を差し伸べると、ヒロも手を伸ばして僕の手をしっかりと握った。

『大ちゃん、行こう』

微笑むヒロに 僕も微笑みを返しながら頷く。

どこまでも続く雪原。 果てがなくて恐怖すら感じていたのに、

ヒロがいっしょに歩いてくれるなら どこまでも どこまでも 続いていて欲しいと思う。

1分でも1秒でも長く、ヒロといられるのなら・・・・・。

 

満月の輝く方に向かって二人で歩き出す。 ヒロの手の暖かさに包まれながら・・・・・。

 

 

---------- end ----------

 

 

「理恵さん、ごめんなさい!!!m(_ _)m」 最初に謝ります。

どこが White Lights  やねんっ!・・・・ですよね(T_T)

私には けっこう White Lights なんですけどね・・・・・って、言い訳?(^_^;

謹んでキリ番8888の理恵さんに捧げたいと思います。

ほんの少しでも楽しんでいただけていれば幸いです。

                                  流花

 

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