* 雨だから・・・ *





昼過ぎから、ずっと雨が降っている。

重く垂れ込めた雲は、晴れる気配をみせないうちに日暮れを迎えようとしていた。



オレが窓に張り付くようにして、ぼんやり降る雨を眺めていると、背後から咎めるような声。

『ヒロ・・・・帰りたいの?』

ベッドの中で、まだ白い裸体を晒したままの彼が、半分起き上がってこちらを見ていた。

『え? そんなことないよ・・・どうして?』

オレは窓際から離れて、ベッドに戻る。

彼がオレのために買ってくれた鮮やかなブルーのバスローブは、この季節には少し暑いけど

いつも空調の効いているこの部屋では、とても着心地がよかった。



彼の隣に腰を下ろして、その髪に手を伸ばす。

『だって・・・・退屈そうに外ばかり見てるから・・・』

おとなしく髪を撫でられながらも、不安そうにオレを見上げてくる彼の額に軽くキスを落とす。

『退屈だったわけじゃないよ。 雨の粒に見惚れてただけ・・・・』

『ふぅん・・・・ロマンチストだね・・・・素敵な詩でも浮かんだ?』

少し機嫌が直ったのか、薄く微笑む。

『あ・・・・そっか、何も考えてなかった・・・』

オレの返答に、ヒロってば・・・・と、彼が笑い出して・・・・今度は、その笑顔に見惚れる。

『ほらっ、また何か違うこと考えてるでしょ?』

再び、頬を膨らませた彼に笑ってしまう。

離れている間のことについては、ヤキモチを妬くこともあまりなく、寛大な彼だけど

いっしょにいる時は、子供のように我儘になる。

『大ちゃんのこと考えてたんだよ?』

『嘘ばっかり!』

『ホントだってば』

『なら、どうして帰ろうとしてたの?』

あらら、黙ってベッドを離れたことが、どうしてもお気に召さないらしい。

『帰らないってば。 やることやったら即帰りますって男に見える?』

『・・・・・ちょっと見える』

このやろ・・・・・ゲンコツを作ってぶつマネをすると、彼も頭を庇うようにベッドに潜り込んだ。

笑いながら目だけ出して、ごめんと謝っている。

そんな彼が可愛くてシーツごと抱きしめる。


『ねぇ・・・シャワー浴びてきていいかな?』

またご機嫌を損ねないように、今度はお伺いを立ててみた。

もちろん、ダメと言わないのはわかってたけど・・・・あれ? その何か言いたげな顔は・・・・。

『どうしたの? ・・・・あ、いっしょに入る?』

『・・・あのさ・・・シャワー浴びる前に・・・・』

そこまで言って、言葉を止める。

『ん? 浴びる前に、なに?』

『・・・・・もいっかい・・・・だめ?』

とても小さな声だったから、オレは何かを聞き間違えたのだと思ったんだ。

もう一回ったって、アレのことではないのかも・・・・とか。

『もう一回って、何が?』

訊いて後悔した。

彼が、急に頭までベッドに潜り込んで、なんでもない・・・・って消え入るような声で言ったから。

うわ、やっぱりアレだったんだ。

そんな、めったにないことなのに小声で誘わないでよ。


『大ちゃん・・・・』

すっかり背中を向けた彼に、後ろから覆いかぶさるようにして、名前を呼んだけど返事もしてくれない。

『ごめん、大ちゃんがそんな嬉しいこと言ってくれると思わなかったからさ・・・』

それでも返事をしない彼に焦れたオレは、ベッドの中に手を滑り込ませる。

温かい背中に触れた時、ピクッと反応したくせにそれでも知らん顔するんだね。

それなら・・・・と、肌の上を滑らせるように指を這わせて、前に廻そうとしたら

きゅっと身体を丸めて、胎児のポーズでガードしてしまう。

う〜ん・・・・それってある部分≠ェとっても無防備になるってわかってる?


ゆっくりと背中から双丘に指を這わせながら、空いてる手で枕元のゴムを取ると歯で破る。

あぁ、この器用さが仕事に生かせないのが残念だ。


『あっ・・・』

オレの指がそこに辿り着いたとたん、怯んだ彼の身体を後ろから抱きしめた。

『つ・か・ま・え・た』

『やっ・・・な・・に・・・して・・・・ヒロォ・・・』

オレの指は、さっきの行為で柔らかいままのソコに入り込んで、悪戯を始める。

『あっぁぁ・・・だ・・・め・・・』

『だめ? 何がだめなの?』

求めている場所にはわざと触れないように、浅く緩く指を動かすオレに焦れた彼が切ない吐息を漏らす。

『ねぇ・・・お・・・ねが・・い・・・だから・・・』

『・・・いいなぁ、その響き・・・』

ご褒美に、彼のイイトコロを抉るように指を動かした。

『ああっ・・・んっ・・・』

『いい?』

こくんと頷く彼のうなじに軽く歯を当てると、指がきゅっと締め付けられた。

あ、いい感じ。 でも、指じゃ・・・・ね。

今度は執拗にイイトコロを責め続けていたら、彼が涙声で音を上げた。

『もっ・・・ヒロォ・・・・』

『・・・欲しい?』

『ん・・・・』

『じゃ、ちゃんとおねだりしてくれなきゃ・・・』

彼が小さくため息をつく。

それは・・・またかよっ・・・のため息かな?

だぁって、聞きたいんだからしょうがないじゃん。


『・・・・ください・・・』

それでも小さな声で言ってくれる。

『ちょうだい≠フ方がいいな』

調子に乗ったオレに、怒ってしまったのか身を捩って腕から逃れようとする。

もちろん、逃がすようなことはしないけどね。

彼に埋め込んだ指はそのままに、空いている手で彼自身をやんわり包み込んだ。

『あ・・ん・・・』

もっと甘い声が聞きたくて、揉みしだくように手を動かすと、いやいやするように金色の髪を振って抵抗する。

『だ・・め・・・いっ・・・ちゃう・・・』

『いいよ・・・』

楽にしてあげようとしたのに、彼に手を押さえられた。

『やだ・・・・いっしょ・・・が・・・いい・・・・』

・・・・そんな可愛いこと言ったら犯しちゃうぞ・・・・・って、まんまじゃん。


後ろから、彼の腰を持ち上げる。

『え?・・・うし・・ろ?』

うん、あんまり好きじゃないのは知ってるけど・・・・たまには・・・・ね。

抵抗する間も与えずに、自身をあてがうと、一気に突き入れた。

『あぁっ・・・・あ・・・あっ・・・』

腰の動きに合わせるように、微妙に変わる喘ぎ声。

顔が見えない分、声に集中して・・・・

『んっ・・ぁ・・・・あん・・・・ヒ・・ロ・・・』

顔が見えないことに不安がって呼ぶ彼の声が可愛くて、わざと返事はしない。

『・・・・ヒ・・ロォ・・・ね・・ヒ・・ロ・・・』

その声でいっちゃいそう・・・・。

彼を背中から抱きしめるようにして、その耳元で囁く。

『大ちゃん・・・・あい・・・してる・・・』

『ヒロ・・・・・ッ・・・』

腰に廻したオレの手をぎゅっとつかんで、彼が果てる・・・・もちろん、オレもいっしょに。




静かになった部屋の中、彼の荒い息遣いと雨の音だけが聞こえてる。

『あ・・・大ちゃん、雨が綺麗だよ』

暗くなった屋外の雨粒に、外灯がキラキラと反射している。

『う・・ん・・・・だね・・・』

億劫そうな返事に彼を見ると、すでに眠りかけていた。

『だぁいちゃん・・・・・・』

シャワー浴びるんじゃなかったの? と言いかけてやめた。

そういえば、昨日はあまり眠ってないって言ってたっけ・・・・無理させちゃったかな。

・・・・いや、誘ったのは大ちゃんじゃないか!

『大ちゃん・・・オレ、シャワー浴びてきたいんだけど・・・』

すでに返事はない。

まったく・・・・・・どうしてくれんだよ、これ・・・。

眠っているにもかかわらず、彼の右手はオレの手をしっかり握って離さない。

しょうがないなぁ・・・・・・・諦めて枕に顔を埋める。

閉じた瞼に、単調な雨音が心地よい。



そういえば・・・・



彼の愛に気付かされたのも、こんな雨の日だったっけ・・・・。

濡れた髪と濡れた瞳の彼を思い出す。



眠り姫が目覚めたら、あの日の話でもしてみようか。

きっと、照れて、拗ねて・・・・可愛いだろうな。



ねぇ、早く起きてよ・・・・大ちゃん・・・




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end ----------




『夏はエロだ!』というsuikaの言葉に刺激されて書き上げました(笑)

大ちゃん可愛い病≠焉Aしっかり感染されてます(^_^;

しかしエロを目指したはずなのに・・・・なんか違うぞ・・・・・・。

すみません、リハビリ作品ってことで、おおめに見てやってくださいませ〜m(_ _)m

                               流花
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