日記・駄文集 その1
日記に書いた駄文をこちらに集めてみました。 2003/05〜2004/6 までの分です(*^^*)

2003/5/28【suika】

「あれ?大ちゃん、カラーコンタクトは?」

「今日はプロモーションだからして来なかったけど・・・」

「だめだよ」

「どうして?」

「どうしても!ハイッ、オレのサングラスかけて!」

「でも・・・今日はテレビの生放送もあるし・・サングラスは失礼じゃないかな?」

「サンングラスかけたままのミュージシャンは沢山いるし、ファッションだって思うよ」

「う〜〜〜〜ん、どうしても?」

「どうしても!」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・大ちゃん?怒った?」

「何で・・・怒ってないよ」

「一分口聞いてくれないから〜〜ねぇ?」

「甘えてもダメだかんね」

「カラコンはさ・・・ライブの衣装みたいなモノだから誰に見られても平気なんだけど・・・

大ちゃんの素の瞳は誰にも見せないで欲しいなぁって思うんだよね・・・」

「・・・ワガママ・・・」

「ん〜〜〜〜〜〜(ハァト)ごめんね」

「キスしながら、謝らないで・・・」

2003/6/1【suika】

*おまじない



「ヒック!」

「大ちゃん!またシャックリ?いつから?」

「うんと・・・今朝からかな・・ヒック!」

「長引きそう?」

「判らない・・・いつ治るか自分でも見当つかないんだよね・・ヒック」

「あ〜〜あ・・3日間止まらないなんてオレは許せないね」

「ヒック!許せないって言われてもね」

「止める方法は色いろ試してみたんだよね」

「もちろん!お水を一気飲みするのも、御飯を丸飲みするのも、急に後からおどかしてもらうのも、

コップの水を向こうの端から飲んでみるのも、梅干丸焼きするのも、逆立ちも・・全部試してみたよ」

「大ちゃん・・・・微妙に間違っているのもあるけど・・・」

「ヒック!まぁね・・・寝る時は止まってくれるから死にはしないと思うけどさ・・ヒック!」

「死ぬ・・・って冗談でも言わないでよ。それにしてもどうしたら止まるかな?」

「僕が聞きたい・・・」

「こうしてみる?」

「エッ・・・」

・・・・CHU♪・・・

「ヒロ!いきなりキスはずるい」

「止まった?シャックリ?」

「・・・あ・・・止まったかな・・・」

「シャックリを止めるおまじないはオレとキスする事だよね、決まり!」

「シャックリしなくてもキスするんでしょ・・ヒック!あ・・・」

「あ・・・・止まってなかったか」

「もう一度、キスして・・何度でもキスしてくれたらそのうち止まるから」

「OK〜!」

・・・・ず〜〜と止まらなくてもオレ的には困らない、てか嬉しい☆ by 貴水・・・・

2003/6/12【suika】

「大ちゃん〜〜〜お疲れ〜〜」

「ヒロ☆」

「差し入れ持って来たよ、ロッ○リアのリブサンドにエビカツ」

「うわ〜〜ありがとう!CM見てて食べたいと思っていたんだ」

「一緒に食べて良い?・・・って、オレのも数に入れて買ってきたけどさ」

「モチロン♪ヒロはどっち食べる?」

「大ちゃんが先に選んで良いよ?」

「じゃあね・・・エビカツ」

「じゃ、オレ・・・リブサン」

ジ〜〜〜〜〜〜

「大ちゃん・・・?リブサンド食べたいんじゃないの?替えようか?」

「・・・ちょっとだけ・・・食べたい。ホントにちょっとだけで良いの」

「OK!ア〜〜ンして・・」

「ア〜〜ン?」

パクッ

「どう?これで満足?」

「やっぱり美味しいね」

「唇の端にソース付いちゃったよ」

ペロッ

「うん?ありがと・・・」

・・・「アベサン、今の見ましたか?貴水さん・・・舌でな・・・舐め・・・舐めて・・・」

フンッ!!

「あんなのでビックリしちゃあダメよ。あの子はね、自分の指がソースで汚れるより、

直接舐めた方が早い・・って、思う人種なのよ・・・。 しかし・・・ダイスケも少しは嫌がったらどうよ???」

2003/6/17【suika】

「大ちゃん、プリクラ撮ろうか・・・?」

「プリクラ?・・・・僕、撮ったことないや」

「嘘?マジ?じゃあ、撮ろうよ」

「今って美白だのモデルだの全身だの落書きだのラメ入りだの・・・

 もう、す〜〜〜ごい機能が付いていて面白いんだって」

「ふぅん〜〜〜ヒロ、詳しいんだ?」

「エッ!?聞いただけ・・オレがプリクラ撮るわけないじゃん。」

「そうかな?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【男子禁制  男同士は入室禁止 但しカップルはOK!】

「ヒロ・・・男同士はダメって書いてある・・・」

「え・・・オレらカップルだから良いんじゃないの?・・・大丈夫、大丈夫」

「・・・・そういうカップルって・・・有りなのかな?」

「大ちゃんがこんなに可愛いんだから女の子に見えるって・・・」

「もう(ハァト)」

「うわぁ〜〜〜本当に色んな機能が付いてるんだ〜〜うわぁ〜〜〜ココのボタン押しちゃえ!おぉ!!」

「・・・楽しそうだね・・大ちゃん・・・」

「お金を入れたら撮影が始まるんだね、ハイッ・・入れたよ。」

「大ちゃん、どんなポーズする?」

「キャイ〜〜ンなんてね♪」

「じゃあ、オレはゲッツ!!」

「アッハハハ〜〜ヒロてば」

パチッ!

「次はちょっとカメラ睨んだりして・・・ん?」

「大ちゃん・・・目閉じて」     kiss★

パチッ!

「ちょっとヒロ!!今の撮っちゃったよ〜〜」

「大丈夫・・・後で一番良いの選べるから・・・ね?」

「やっぱり詳しい・・・ん・・・」  kiss★

パチッ!

「ンゥ・・・・ン・・・」

「・・・大ちゃん・・・好き・・・」

「ボクも・・大好き・・・ん・・・」

パチッ!

kiss★   kiss☆  kiss★  kiss☆

「ヒロ〜〜〜〜これ、どういう事〜〜〜全部、キスしてる所ばっかし!」

「いや・・・大ちゃんが気持ち良さそうにキスされているからさ・・・全部オレがボタン押して決めました・・ゴメン」

「・・・僕、変じゃない?」

「ううん!全然!凄く可愛いから・・・だから・・・誰にも見せちゃダメだよ」

「こんなの見せられる訳ないでしょ。ドコにも貼れないし・・・」

・・・・・だってヒロはボクのもの、kissしてる顔もボクだけのものだから・・・

「今度はちゃんとしたの撮ろうね?」

「うん」

2003/6/19【流花】


『大ちゃん、タバコ吸いすぎじゃない?』

『・・・かなぁ・・?』

『ほら、また。』

『だって、なんか口が寂しいんだよね・・・』

『でも身体に悪いでしょ』

『う・・・・ん・・・、アベちゃ〜ん、キャンディーかなんかない〜?』

『大ちゃん・・・』

『何、ヒロ・・んっ・・・』

 Chu〜!

『口、寂しくなくなった?』

『・・・うん』

『これから、口が寂しい時は いつでも言って』

『うんっ!』

『あんた達〜! 私がいること忘れてない?!』

『あ・・・・・』

『あ・・・・・』

2003/7/3【suika】

*ジャスミン

「あれ・・・大ちゃん・・良い香りしない?」

「どれ?あ・・・本当・・・お花だよね?」

「うんと・・・『くちなし』かなぁ・・・・ほらっ、あった」

「こんなに白くて清楚な花なのに香りはキツイんだ」

「姿は儚くても、私の事は忘れないで・・・・って感じ?」

「・・・そう言えば・・・ヒロも時々、キツイ香りつけてくるよね?」

「・・・そ、そう?・・・」

「あれは・・・・誰かの移り香なのかな」

「ダメでしょ・・・手折ちゃ・・・ん?僕にくれるの?」

「この香りが大ちゃんを一杯にしたら・・・今度はオレに移してくれる?」

「ヒロ・・・・」

「オレの身体も心も大ちゃんの香りで満たしてくれれば・・・良いんだから・・ねっ?」

「・・・・・確信犯だ・・・ズルイ・・・・・」

2003/7/29【流花】

★プリティー・オレンジ★


『アベちゃん、おっはよ〜!』

『ちょっと、ヒロ・・・』

『ん?』

『ダイスケのアレ、見た?』

『アレって?』

『髪』

『ああ・・・うん、さっきね』

『で、どーよ?』

『どう・・・って?』

『オレンジよ?』

『うん、わかりやすいよね』

『・・・・わかりやすい?』

『ほら、今まで金髪だったでしょ?』

『ん・・』

『たまにさ、コンタクトしてない時とかでも大ちゃんはすぐわかったんだよね、髪の色で』

『はぁ・・・』

『それがさぁ、最近スタッフのSさん、金髪にしちゃったじゃない?』

『あぁ、Sちゃんね』

『オレ、こないだ間違えて“大ちゃん”って呼んじゃって・・・』

『・・・・・・・それ、ダイスケ知ってるの?』

『うん、前に話したから。・・・・・なんで?』

『いや・・・なるほどね・・・それでか・・・・・・オレンジなら間違えようがないわよね・・・・』

『そうそう! わかりやすくていいよね〜』

『・・・でもオレンジよ?』

『可愛いじゃん』

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・そぅ・・・・ね(ため息)』

2004/03/02【suika】

◇◆ひなまつり◆◇

・・・・立派な8段の雛飾りを両家の親が買ってくれると言うのを丁寧に断わった

そして、3月3日に間に合うようにガラスケースに内裏様とお雛様がコンパクトに納まった雛飾りを買い

娘の為に小さなケーキと桃の花を飾って女の子の日をお祝いする

「愛ちゃん〜〜〜おめでとう」

「ねぇ?何でおめでとうなの?ひなまつりって特別に祝う日?」

「・・・んと・・・女の子が健康で綺麗に育ってくれるように祝う日なんじゃないのかな」

「そうだね・・・何でも良いよ。愛の為のお祝いだから」

「ヒロってアバウトなんだから」

「お雛様って可愛いよ・・やっぱり華やかになるよね」

「ね〜〜。可愛いからさこのままオブジェとしてココに飾っておこうか?」

「だめ!!」

「何でさ・・・」

「だって、早く片付けないとお嫁に行き遅れちゃうって言うじゃん!」

「・・・・ふーーん、じゃあ 愛が結婚しても良いんだね」

「あぁ!!?そう言う事じゃなくて〜〜〜」

タカミヒロユキ・・・まだまだパパ初心者である。。。。

2004/03/03【流花】

ひな祭り



アインシュタインの棚に、小さな小さなお雛様とお内裏様が飾られていた。

陶器で出来たそれは、小首を傾げたお雛様と、眉のきりりとしたお内裏様。

最初に気付いたのは背の高いイトウだった。

『あれ? これどうしたの?』

言われて、ダイスケも初めて気付く。

『ホントだ〜、可愛いねぇ・・・・アベちゃんじゃないの?』

『何が?・・・あら、お雛様じゃない・・・え? 私じゃないわよ。 女性スタッフの誰かでしょ?』

ところが、誰に聞いても飾った憶えはないと言う。

『うわ・・・ミステリーだね』

気持ち悪〜いといいながら明らかに楽しんでるダイスケ。

RinRin♪

ヒロからのケータイにダイスケが飛びつく。

ヤッホー、元気?

『元気って昨日会ったばっかりじゃない(笑)』

オレの置き土産は気に入ってもらえた?

『置き土産?・・・・あ! あのお雛様、ヒロ?』

そう! 可愛いでしょ?

『うん、可愛いね。 誰が置いたんだろうって今話題になってたんだよ』

お雛様の顔、大ちゃんに似てるでしょ?

『え?』

言われて、お雛様の顔をじっと見る。

『そう・・・かなぁ? わかんない・・・・でも・・・』

でも?

『お内裏様はヒロに似てるよね?』

あ?・・・・じゃぁ、お似合いってことだね?

『かな?』

そういって、二人で笑っているところへアベがダイスケのケータイを奪い取る。

『ヒロ、あれは女の子のものなのよ。 ダイスケにお雛様あげてどーすんのよ』

可愛いんだから、いいの。 あ、3日が過ぎたらさっさと仕舞ってね

『へぇ・・・ちゃんと知ってんのね。 でもダイスケは嫁に行くことはないと思うけど?』

オレがもらう

『ほぉ〜、それ・・・今ダイスケには言わないでよ、嬉しがっちゃって仕事になんないから・・・』

なになに? とダイスケがアベに纏わりつく。

いいよ。 二人っきりのときに言うから

『けっ・・・・』

アベちゃんも早くお雛様仕舞わなくちゃだめだよ?

『おーきなお世話! うちにお雛様なんて飾ってないわよ』

あー・・・・だからか・・・・

『ちょっ・・・何がだからか≠ネのよっ!』

ヒロの高笑いと共に電話は切られた。 切られた電話に向かってアベは思いっきり叫ぶ。

『お前みたいなやつに、ダイスケはやらないからねっ!』

なんのことだか訳のわからないダイスケが棚のお雛様と同じように小首を傾げてアベを見ている。

今日は楽しいひな祭り♪

2004/3/5【suika】

君の一瞬、ボクの永遠


この一瞬、一瞬を積み重ねて いつか永遠になれば良いと 君を見る度に思う

そうすれば どこを切り取っても 君との思い出が溢れてくる

その為に ボクの血がどれだけ 流れてもかまわない

 

「大ちゃん  オレ疲れちゃった  」

ソファに座り込んでらしくない弱音を吐く君

ボクはそんな君を静かに迎えるしかない

「・・・大変だったね」

「オレが甘かったんだな」

「ココに  おいで」

差し伸べた手を拒まれるのが怖くてボクは自分からは君の隣に行けなかった

ゆっくりと君は立ち上がって 向かい合っているボクの所に来てくれた

あぁ・・・・そんなに瞳を揺らして 何て悲しい顔をしているの

顔を見られたくなくて 君はボクの膝の上にうつ伏せた

「大丈夫だよ  いつかきっと これで良かったって言える日が来るよ」

肩を  髪を 撫でながら 空虚な言葉を紡ぐ

こんなありきたりな慰めは意味が無いと知っている

「オレの事 軽蔑してる?  中途半端だったって 思う?」

「何で?? ヒロが納得しないまま 平気で不完全なものを演じ続けていたら きっと軽蔑した」

「でも  プロ失格」

「誰にも 〃プロ〃 〃プロじゃない〃 なんて決める権利ないよ」

「オレってサイテーー!」

いつも穏やかな君が 叩きつけるように 大声を出した

それは 自分を傷つけているの?

ボクはうつ伏せの君の背中を抱き締めた

「・・・泣いて良いよ」

「笑うから ヤダ」

少し拗ねたような言い方が君らしくてボクは笑いを堪えた

「絶対 笑わないよ」

「・・・・・・・・・・・ホント?」

「うん」

 

「・・・クッ・・・・」

嗚咽は自分の手の甲で押し殺しながら 肩が小刻みに震えている

ボクの膝に何粒かの涙が零れていく

 

こんな ふうに 無様な君を見られるのは ボクだけだと 自惚れても良い?

恋をしている人なら誰だって思う

・・・世界中を敵に回しても君を守ってあげる

許されても泣き声もあげられない君をボクは守ってあげたい

 

「寒い冬の次は 暖かい春が来るよ  立ち止まってなんかいられない 」

「・・・そうだね」

君の声が落ち着いてきた  もうすぐ顔をあげる 

きっと 自信に満ちた目をして ずっと先の未来を見つめ始める

   ボクはそんな君が好き

幸せな時も 悲しい時も たくさん 積み重ねて行こう

ねぇ・・・・ヒロ

ボク達は 同じ未来を 見続けていくんだよ

   そして   その先は  永遠

2004/3/14【suika】

◆◇ お く り も の ◆◇

「遅いな・・・何やってんだろ?・・ねぇ・・・」

パパを待ちくたびれた娘は腕の中で眠ってしまった

・・・今日は早く帰れると思うから・・・

最近、レコーディングに追われている彼が珍しく自分から帰りの時間を口にした

芸能界の〃早く〃が決して早くない事を知りながら気持ちは高揚する

自分の仕事も立て込んでいるが、家族との僅かな時間を引き換えにする気持ちは無かった

出来ればいつも彼を待っていたい  それもなかなか出来ずにいるのだが

何時だろう・・・と、見上げる時計の隣には綺麗な宇宙空間の絵のカレンダーがある

「・・・あっ・・・・今日はホワイトデーか」

一ヶ月前のバレンタインデーには自分と娘からチョコレートをあげたっけ

すでにファンイベントの時に両手に余るほどのチョコを貰って来ていた彼

当日も事務所の女性や仕事先の女性から貰って来ていたのに・・・

ボクに 一番嬉しいよ と言ってくれた

きっと本当は娘からのが最高だったと思うけれどね

「ホワイトデーじゃ・・・帰れる訳無いかな」

ポケットにお返しを忍ばせて可愛いお姉ちゃんのいるお店に寄っていたらこんな時間に帰れる訳も無いだろう

自分から行かないにしても、目上から誘われたら断われないもんね

・・・いつからボクは物分りの良い人間を演じるようになってしまったんだろう?・・・

母親になったらドンと構えていなさいと   誰もが判で押したように言う

そんな事出来ない  でも出来てしまっている自分が確かにいるんだ

「ハァ・・・・」

溜め息は零れる度にボクの彼への自信までも揺らいでしまうようで淋しい

愛しい我が子は安心してボクの胸に全てを預けている

伏せた睫の数までも彼にそっくり

ベッドに皺を作る寝相の悪さもそっくり

そんな似た所を探せば探すほど彼がいない淋しさは募ってくる


Pin pon ♪


早く帰れる訳が無いとせせら笑っていたのに ドァチャイムの音は気持ちを逸らせるばかり

その音で娘の目も覚めてしまった

「おかえり」

ドァを開けて見ると彼の姿ではなく  白い花とピンクの花が目の前に広がっているだけだった

「何??」

驚くボクの目の前に差し出される花々たち

白い花は心やすらぐ薫りを運ぶジャスミンの花束だった

「ただいま、大ちゃん」

それをボクの目の前に差し出す彼

いつまでたっても見飽きる事も無い  見慣れる事も無い この世で一番好きな人の顔がソコにある

「う・・・ぅん・・・・ありがとう」

「何だろう??その文句言いたそうな顔はどうしたの?」

「ビックリしただけだよ うん・・・凄く嬉しい」

「でしょ?こっちは大ちゃんが大好きなジャスミン、こっちはね・・・愛に。

ピンクダイヤって言うチューリップの種類なんだけど綺麗でしょう?。 愛に一番良く似合うピンクにしたよ」

嬉しくて嬉しくて言葉が出なくなるのって本当なんだ・・・



今夜この街のたくさんの花屋の「ジャスミン」と「ピンクのチューリップ」を品薄にしたのは彼だった

どんな高価な おくりもの よりも彼が抱えてきたこの花が好き

あとは キスを ひとつだけおねだりしようかな?

2004/5/09【suika】

◆◇ Mother's Day ◇◆

ひどく振り出した雨が車の屋根に当たる音がうるさいのか

隣で眠っていた愛が目を覚ました

寝起きの良い娘はキョトンとした目でオレを見ている

家なのか車なのか・・・フル回転で自分のいる場所を思い出しているんだろう

「愛・・・もうすぐ家に着くからね」

親子二人でママに頼まれた買い物をしに出掛けた帰りだった

店を出た時には曇りだったのに程なく大粒の雨が落ちてきた

娘は水滴が流れるガラスの向こうを見ているようだ

家に帰った後のお散歩を楽しみにしていたんだろうと思うと可哀相になる

トントン・・・

「ん?どした?愛」

小さな手が冷たい窓ガラスを叩く

スピードを緩めて娘の方を見やれば

季節の花を通りに溢れさせんばかりになっている花屋がソコにある

何故か今日はお客が多いような気がして・・・

「あぁ!!」

大きなカゴの中残り少なくなっている赤い花を見て今日が何の日だったかを一瞬に思い出す

「凄く大事な日だってパパに思い出させてくれてありがとうね・・・愛」

娘の柔らかい髪にひとつキスを落として車を店の前に着けた


『余分なモノは買わないでよ』


「ごめん、でもこれは余分なモノじゃないから」

いつもオレが買ってくるものに溜め息を零す彼に心の中で言い訳しながら2人分の花束を作ってくれるように頼んだ



「ちょっと寄り道しようか」

車の後部座席に花束を置いてチャイルドシートに娘を乗せる

浅草と所沢・・・

オレ達のお母さんへ「母の日」のプレゼントを渡しに行く

普段、迷惑かけているから特別にみんなが思い出す日くらいはオレも「良い子」になってみようか


東京に戻る頃には日は暮れてしまっていた

まだまだ雨足は優しくなってはくれない

やっと我が家に戻って来た


「・・・何か忘れているような気がする・・・」

娘を車から降ろしながらオレは何か必死に思い出そうとしていた

「あぁ!しまった!!!一番大切な人に買って来るの忘れちゃった!!オレってバカ」

場所を気にせずに上げてしまった大声にバギーに乗った娘がキョトンして顔だけこちらに向けた

「あ・・・可愛い・・・すっげぇ大ちゃんに似てる」

こんな非常時でも娘はオレを癒してくれる

苦笑しながら怒られるのを覚悟で部屋に戻った


「ただいま」

「お帰り・・・・ん?愛??これって」

大ちゃんがまだバギーに乗ったままの娘と同じ目線になっている

「ヒロ」

「ごめん、遅くなって。実はさ・・・」

名前を呼ばれて彼が怒っているのかと良い訳しかけたオレの前に差し出された少しくたびれた赤いカーネション

「それ・・・?!」

「愛が持ってたよ、、凄く嬉しい。ヒロが持たせてくれたんだよね」

・・・そう言えば

花屋を出る時に優しそうな店主が愛の手に一輪持たせてくれたっけ

『これは可愛いお嬢さんへ・・・ママに渡してあげてね』

オレはすっかり忘れていたが、娘はずっと持っていたんだろうか?

・・・・何はともあれ、こんな素敵な偶然をありがとうとオレは神様に感謝した


「ゴメンね、大ちゃん。立派な花束じゃなくて」

「ううん、きっとこれが世界で一番綺麗なカーネションだと思うよ。どうしよう・・涙出て来た・・・どうしよう・・ヒロ」

そう言いながらオレの胸に顔を隠すのを黙って抱きしめてあげる

「いつもありがとう、大ちゃん」

涙がすべて嬉しい時にだけ流れるように、オレは二人を守ってあげよう



オレ達の母から・・・大ちゃんへ・・・そして愛へ・・・命は続いてゆく

2004/6/19【流花】

■□■ あっち向いてホイ ■□■


「ヒロ〜、あっち向いてホイ、やろっ?」

『いきなりだね〜、テレビかなんかでやってた?』

「へへっ、まーね・・・じゃいい?」

『うん、せーのっ』

♪ジャンケンポンっ! あっち向いてホイッ♪

「あ・・・」

『はい!大ちゃんの負け〜』

「もう1回!」

『はい、はい・・・』

♪あっち向いてホイッ♪

「あぁ〜〜〜!」

『ははは、大ちゃん弱いね〜』

「もう1回!」

『・・・・・やだ』

「なーんで?」

『これ、大ちゃんとはやりたくない』

「どーして?」

『あっち向いてばっかじゃん』

「は?」

『大ちゃんには、ずーっとこっち向いてて欲しいな』

「/////」

2004/6/20【suika】

◆◇甘えて・・・(Father、s Day)◇◆

「あれ・・・?」

エレベーターホールに小さく響く赤ちゃんの泣き声

普通の人なら絶対反応しないくらい それは儚くて小さい

でも、オレの耳は他のどんな音よりも確実にそれを捕える

少し早足になってドァを開けた


そこには涙とハナ水と涎とを総動員した凄い顔の娘が泣いていた

「あ・・・ヒロ、おはよう」

「おはよう・・・どうしたの?何で泣いてるの?」

右手にミルク、左手にオモチャを持ったままアベちゃんが首を横に振った

「知らないわよ。本人に聞いてくれる?」

オレは泣き続けている娘を抱き上げて、胸に抱き抱えた

瞬間・・・今日は下ろし立てのシャツだった・・・と、思ったけれど

短い腕をオレの首に巻きつけて、キュウとしがみついてくるその愛しさに代わるものはない

「愛ちゃん・・・どした?パパだよ・・・大丈夫だからね」

軽く背中をポンポンと叩きながら娘に語りかける

嗚咽を繰り返しながらも娘は泣くのをやめた


「流石・・・パパよね」

苦笑しながらアベちゃんがテッシューを渡してくれる

「まぁね・・・しかし、凄い顔だね」

まだしゃくりあげる娘の顔を優しく拭いてやる

これが嫌いな娘はイヤイヤするけれど

「愛・・・キレイにしないと美人が台無しだよ」

オレと愛だけの魔法の言葉・・・

アベちゃんが吹き出しながらもう一枚テッシューをくれた

「このナルシスト親子・・・・」

「何か言った?」

「いえいえ・・・」

3枚ほど使った後には可愛い顔があらわれた

「わぁお!ベリーキュート!パパに似て美人だよ」


「でさ・・・大ちゃんはいないの?愛のあんな泣き声聞いたら仕事どころじゃないよね」

「いるわよ・・・仕事してる」

「嘘!!」

「ホント・・・プロデュースの方の仕事なのよ。今日中に出来ないとCDが出ないから・・・

いつもなら愛を見える所において置くんだけど、今日だけは心を鬼にしてね。

もちろん、もう少ししたらダイスケを呼びに行くつもりだったけど。    怒った?」

愛の背中に伸ばしかけた手を触れる事無くアベちゃんは引っ込めた

オレや愛に悪い事をしたと思っているようだ

「アベちゃん。オレ怒ってない・・・もちろん、愛もアベちゃんを嫌いになってないから。

そう言う事ってあるよ、仕方ないって」

「ごめんね、愛。  でも、どうしてあんなに泣いたのかしら?どこか具合でも・・・」

「大丈夫・・・見て・・」

いつのまにか娘はオレの胸の中で気持ち良さそうに眠ってしまっていた

小さな手がシャツの端っこを握り締めたまま・・・

「パパに抱かれて安心しちゃったのね」

「大人と同じ・・・自分の感情がコントロール出来ない時があるらしいよ。子供って不思議だね」

アベちゃんがオレをジっと見ているのに気付いた

「何?オレ何か変なこと言った?」

「ううん・・・大人になったんだなぁって思ってのよ」

「やだな。まだ赤ちゃんじゃん」

「愛じゃなくてヒロが!頼りないと思っていたのに、立派になったなぁって感心してるのよ」

今までアベちゃんに誉められた事なんて数えるくらしかないオレは途端にくすぐったくなった

「明日雨かな?車洗車したばっかりなのに」

こんのぉ・・・とアベちゃんはオレの背中を殴ろうとした瞬間、何かに気付いたようだ

「そっか・・・愛はパパが来るのを待っていたのね。  今日が『父の日』だから」

「父の日!!!  そっか、そっか・・・『父の日』かぁ・・・待っていてくれたのか・・・そっか」

オレはスヤスヤと眠る娘にそっと頬摺りをした


・・・こんな見かけだけパパのオレでもちゃんと甘えてくれるんだね

・・・君のパパになれた事がオレの誇りだよ

・・・宇宙で一番幸せな女性になってくれるのがパパの願い

・・・覚えておいて  愛



駄文集その2

 

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